89. 十二神官どきどきスタンプラリー
前回のあらすじ!
十二神官どきどきスタンプラリー……覚えていますか?(章「不屈の巫女と試練への道」にて説明されていますよ!)
随分時間がかかりましたが、いよいよスタートです!
いよいよ始まった、十二神官どきどきスタンプラリー。スコッピさんが、ラスターさんを目隠し連行しています。バラエティ番組を思い出しますね。
「これからあなたには、一つ目の試練の場へ行ってもらいます。着くまで絶対に目隠しを取らないでくださいね」
スコッピさんが棒読みで事務的に説明します。とはいえ、私たちにはおなじみの場所ですがね!
「着いたから目隠し取っていいよ」
事務的な口調で話すのが面倒臭くなったようです。ラスターさんは目隠しを取ると、「だろうな」という感じで鼻を鳴らしました。
「よく来たな、ラスター! 力の試練へようこそ!」
ザラアストゥラ寺院正門前にて、リオさんが腕組みしながら待ち構えていました。最初の試練、スタートです!
────────────
「……そしてラッさんとスコッピさんはどこへ?」
試練に立ち向かうラスターさんの勇姿を見届けるものと思っていたら、リオさんの試練開始の宣言とともに、忽然と姿を消してしまいました。
「試練用の特殊な空間に転送されたんだよ。そんでスコッピ……ていうか忍辱の神官は付き添い」
「勇者が行き詰った時に導く役割も兼ねています」
ボマードさんとリオさんによる姉弟解説、なるほどなぁ、って思いました。「試練用の特殊な空間」という謎のワードを除いては。
「ラッさん、無事に帰って来られるといいですね」
「大丈夫だよ、ラスターだし」
「ですな、ラスター殿ですから」
────────────
「ここは?」
「試練用の特殊な空間だね。詳しい説明は省くけど……」
二人は鬱蒼とした森の中にいた。スコッピはキョロキョロと周囲を見渡す。本来なら、ここで力の神がやってきてラスターに試練を与えるはずなのだ。
「……ちょっと歩きましょうか」
草木をかき分けながらしばらく歩いていると、山道の真ん中に、巨大な岩が転がっているところに出くわした。
「何これ、これじゃ通れないじゃん……」
「どかせばいいだろ……ッ!」
ラスターが全力で押してみるが、ビクともしない。
「プニュスタージ様も出てこないし、困ったねぇ……」
「あんたら見ない顔だね」
岩塊の前で途方に暮れる二人、そこに一人の女性が現れた。細身だが筋肉質な背の高い女であった。
「誰だ、あんた?」
「この辺に住んでる者だ。それさ、通れなくて皆困ってたんだよね。これも何かの縁、それどかしてもらえない?」
さっき押してもびくともしなかったのを見ていなかったのか、と思ったが、女性の勢いに押されたラスターは思わず
「……分かった」
と、答えてしまった。
「えぇっ!?」
「お、本当? ありがとう、助かる! どかせたらお礼するから、よろしく!」
女性は嵐のように立ち去っていった。スコッピは予想外の展開に面食らっている。
「ラスター? あんな約束してよかったの? ホントにできるの?」
「それは……分からない」
「もしかしてノープランなの? さっきは微動だにしなかったじゃん!」
スコッピとて、本当はこんな試練に付き合いたくはない。さっさと帰ってオリオンといちゃつきたい気持ちを押し殺して、己の使命を全うしているのだ。
「一生出られなかったらどうすんの!?」
「心配するな……あっ! 策ならある」
「明らかに今思いついたやつー!」
ラスターは剣を抜いた。岩を切り刻んで、道を開いてやろうという考えだ。
「今思いついた割には名案だ! 父さんの打った剣は鋼をも切り裂く!」
「そういうことだ……ッ!」
しかし刃は岩に弾かれ通らない。
「……マジかよ」
「ちょっと、これよく見て」
スコッピに言われて目を凝らしてみると、剣は紙一重で岩に触れていなかった。しかし、そうなると先程の弾かれたような感覚はいささか不自然であった。
「障壁かしらね。魔力かなんかの」
「道具使うのはナシってことか」
「……てことは、もしかしてコレが!」
スコッピが察した通り。この大岩こそが、力の神が与えた試練。そしてそれ即ち──
「じゃあさっきの女性がプニュスタージ様!?」
「……プニュスタージって女神だったのか」
「今更!?」
ということである。
「さてと……今の勇者の“強さ”見せてもらおうか」
続く!




