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81. 八方大臣とリアルプリンセス

前回のあらすじ!

魔王の幹部の一匹、スライムリッキーを撃破したチギリちゃん達!

そんな私たちの所にある人がやってきて……?

今日はとても良い気分です。私の手で、リリスさんを守ることができたのですから。寝不足でちょっとしんどいですけどね。


 「ふぁ~……」

 「チギリちゃん、大丈夫?」

 「ふぁい……」

 「店の手伝いはいいから。寝てていいよ」

 「それじゃあお言葉に甘えて……」


せっかく魔法屋さんのお仕事を体験できる機会なのにもったいないです……まあ、それはまた別の日にってことで、睡眠は大事です……


 「あ、お客さんかな。私見てくるね」


ドアの前に人影です。前までのリリスさんならカウンターで固まっていたところですが、成長しましたねぇ……それじゃあ私は寝てきます。


 「ぅえぇえええええっ!?」


リリスさんの叫び声です! また上裸エプロンの変態オネエさんでも出ましたか!?


 「お母さん! ……あれ?」


急に叫ぶから何事かと思ったら、優しそうなお兄さんじゃないですか。ちょっとふっくらしてますけど、それぐらいで人を差別するリリスさんではないはずです。


 「おや、チギリさん。こちらにラスターさんがいると伺ったのですが……」

 「あ、いつぞやの侍従さん!」


私が初めてこの世界に来たときにお城の中を案内してくれた人じゃないですか!(2話) こんなところでお会いできるとは!


 「チ、チギリちゃん、その人、大臣さんだよ」

 「へっ!? じゃあ偉い人ですか!」

 「偉いかどうかはともかく、まあ、そういうことです」


大臣さんは、軽く一礼して、改めて自己紹介をしてくれました。


 「ギューホゥ=タウラスと言います。魔法大臣兼、農耕大臣兼、商工大臣兼、交通大臣兼……」

 「どんだけ兼ねてるんですか!?」

 「あ、それから十二神官です」

 「オマケみたいに言いましたよ!?」



────────────



そして、「ここではなんだから」と、ラスターさんともども王宮へ連れて行かれました。


 「私の執務室へどうぞ」


各大臣に一つずつ、執務室があるそうなのですが、ギューホゥさんが8つも兼任しているので部屋が余って仕方ないそうです。


 「ラスターさん、例の件ですが、やっと承認が降りましてね。今日はそのご報告をと」

 「そうですか……ありがとうございます」

 「例の件って何ですか?」


私は何も聞いていませんが、ラスターさんが何か相談していたようですね。


 「お父様とフィアンセの警護を、王国騎士団の方にね」

 「おお、なるほど!」

 「無理言ってすみません……」

 「いやいや、こちらとしても狙われると分かっていて放置するわけにいかないので」


そういうことでしたか。ですが、ということは、ラスターさんとリリスさんは国公認のカップルということに……? ということは、それすなわち公式カプ……?


 「はい、私もいいお話だと思います!」

 「……変な事考えてないよな?」


失礼ですね、推しカプの大勝利を祝していただけだというのに! なぜかギューホゥさんは私を見てクスクス笑っています。


 「思った通り、すっかり仲良くなられて」

 「え? まあ、親子ですから」

 「違う!!」


そういえば、私がラスターさんの娘になったきっかけは、ギューホゥさんからラスターさんの生い立ちを聞いたことでした。


私たちが親子となること、最初から見抜いていらっしゃったんですね……


 「親子かどうかはともかくとして」

 「ちょっと!?」

 「当たり前だろ」


こんなの裏切りです……


 「そんなことより」

 「そんなこと!?」

 「最近何か変わったことはありませんでしたか?」


ラスターさんは昨晩のスライム退治のお話をしました。魔王軍の幹部、一人撃破ですよ!


 「ああ……そんなことが……すみませんね、手続きに時間がかかってしまって」

 「いや、いいんだ、結果的にみんな無事だったし」

 「そうですか……タテ割り行政の不便なとこですね」


世知辛いですね。ま、チギリちゃんの大活躍によって事なきを得ましたがね!


 「こうして役割分担することで権力の集中を防ぐ、という側面もありますがね」

 「へーっ!」


大臣職を8つも兼任しながら言うことではないと思いますが。


 「そうだ、ラスターさん、せっかくですから陛下に謁見してきては? 会いたがっていましたよ」

 「…………分かったよ」


ラスターさんはしぶしぶといった感じで出ていきました。王様好きですねぇ、ラスターさんのこと。


 「もしかしたら陛下は、ご子息とラスターさんを、重ねているのかもしれませんね」


どっかで聞き覚えのあるセリフですね。それは置いといて、どういう意味でしょうか?


 「生まれてすぐ、行方不明になりましてね……生きていればラスターさんと同じ年齢に……」

 「そうだったんですか……王様にそんな悲しい過去が」

 「……ホントに親子だったりして」


そういえばラスターさんも生みの親の顔は知らないとか言ってましたね。


 「……いやぁ、それはないでしょう」

 「ですよねぇ。顔も全然似てらっしゃいませんし」

 「ですです! ラッさんは王子様ってキャラじゃないですよ!」


ですがお子さんがいないなら後継ぎはどうなってしまうんでしょうね? 国が滅びてしまいますよ。


 「ああ、いえ、ご令嬢が一人、いらっしゃいますので」

 「おお! リアルプリンセス!」


本物のお姫様がいるんですね……ぜひとも会ってみたいです!


 「でもそんな簡単に会えませんよね?」

 「構いませんよ、どうせお暇を持て余していると思うので」

 「ちょっとディスってません?」


簡単でした!


続く


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