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72. リリスの家で

前回のあらすじ!

ラスターさん、お父さんと無事に打ち解けて仲直りしましたよ! 良かったですね!

リリスさんのお家にお泊りしているチギリちゃん達ですが、そこに何やら不穏な影が……!?

 「リリスさん、お背中流しますよ!」

 「ひぃっ!? なんだチギリちゃんか……」


ラスターさんはまだまだ強情ですからね、先にリリスさんを懐柔して外堀を埋めてしまいましょう!


 「ごっしごし~お加減いかがです?」

 「ぅふっ……ちょっと、くすぐったい……かも」

 「ちょっと強引な方がお好みなんですね」

 「言い方ぁ……」


リリスさんの白い背中を見つめながら思います、すっと背筋が伸びて、キレイな曲線が滴る水滴にきらめいています。初めて会った時の猫背はどこへやらです。


 「リリスさん、背筋は個性です」

 「え?」

 「伸ばしていきましょう!」

 「ああ、そういう……」


自信を持つのはよいことです、見た目の良さも際立って見えます。これも姉御(アムールさん)の激励とラスターさんの告白のおかげですかね。


 「あ、チギリちゃん、今度は私が……」

 「お、洗いっこ!」


私にもかなり心を許してくれている感じですよ。こういうのって、いいですよね。


 「……えいっ」

 「ひやぅん!」


脇腹の辺りに細っこくて柔らかい感触。そう、リリスさんがくすぐってきたのです。


 「ちょっと、リリスさん!」

 「アッ調子に乗ってごめんイヤだったよね私ごときにこんなことされてちょっと仲良くなったと思って調子に乗っちゃって……」

 「楽しいです!」

 「……よかった」



────────────



 「……賑やかだな」

 「後で俺達も一緒に入るか?」

 「狭いだろ」



────────────



今日は楽しかったです。明日も早朝から修行なので早く寝なきゃですけど……ああ、ウリたんは宿に残ってるんでした。まあ一人でも寝られるので大丈夫ですけど。リリスさんのおうちには、多分幽霊は出ないはずです。


──おい


!? 誰の声ですか!? まさかここにも幽霊が!? ゴードンさんの奥さんみたいな良い幽霊かもしれませんけど、やっぱり怖いものは怖いです! 寝てるふりしてれば諦めて立ち去っていくはずです!


──起きてんだろ


ばれてます!? オバケからは逃げられないのですか……? 恐る恐る目を開けると枕元にはあの人が立っていました──


 「ししょー!?」

 「やっと起きたか」


師匠がどうしてこんなところに……それは師匠だったらどこでも侵入し放題でしょうが、裏切り師匠が今更私に何の用でしょうか……まさか!


 「見損ないましたよ! 私みたいな年端のいかない少女に夜這いをかけるなんて!」

 「んなわけがあるか。ていうか見損なうポイントもっとあるだろ」

 「確かにそうです!」

 「それはそれでだな、おい」

 「一体何をしに来たんですか!」

 「その前に一旦起き上がったら? 警戒心薄すぎか?」

 「確かにそうです!」



────────────



 「あら、遅かったじゃない。また凍り付いてたのかしら?」

 「黙れ小娘。さっさと作戦を説明しろ」


「マジカル☆ケミカル」向かいの服屋にリッキーが降り立つ。お察しの通りこの娘はサラメーヤである。


 「あー、はいはい、その前にこのオジサマに擬態しといて」

 「……この店の元の主人か。死んでいるのか?」

 「いいえ? 食べるんだったら新鮮な方がいいんでしょう?」

 「我輩はどちらでも構わんがな」

 「じゃあ聞くなよ~さっさとして~」


リッキーは元の主人を消化し手早く擬態した。


 「解せんな、お前の幻術を使えばこんなことをせずとも……」

 「ダメよ、余計なコトにパワー使いたくないもの。節約できるところは節約しなきゃね。まあ単細胞生物には分かんないか……」

 「何だと貴様、この我輩に向かって……」

 「勇者サマとの我慢比べだからね。一瞬でも眠ったら一気に畳みかけるよ」

 「ちっ、後で覚えとれよ……」


リッキーは不気味に笑うサラメーヤを睨み付ける。


 「そんな顔しないの。一応仲良し親子ってことになってんだから、気持ち悪いけど」

 「こっちのセリフじゃ。それで、策はあるのか?」


サラメーヤは勿体つけるように微笑んでから問いかけに答えた。


 「私が夢を見せてあげるの。二度とお布団から出られなくなるぐらい、とびっきり都合がよくて幸せなヤツをね。それでその隙に……」

 「我輩が勇者の父と恋人を始末する、ということか」

 「ご名答~♪ 最高の夢から覚めた先に待ち受ける最悪の現実! なかなか悪趣味でいい作戦っしょ?」

 「ふむ、うまくいけばあの勇者が“良い表情”を見せてくれるやもしれんな。やるじゃないか」


上から目線で褒めてくるのでサラメーヤは少しイラッとした。


 「しかしあやつがそう簡単にお前の幻術にかかってくれるか?」

 「……随分カレのこと買ってるのね。ああ、自分が無能と思われたくないから持ち上げざるを得ないのね……カワイソウニ」

 「何だと、貴様……我輩が作戦の穴を指摘してやったというに……」

 「はいはい。ま、私だってそんな簡単にいくとは思ってないけどね」

 「ならばどうするつもりだ」

 「特別なことは何も。ただ……ご近所さん(・・・・・)とはナカヨクしないとね?」


そう言って笑うサラメーヤは本当に楽しそうだった。



続く!


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