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27. オシノチギリは気づかない

前回のあらすじ!

海に潜む暗殺者ステルスダイオウイカを成敗しました! ……まあピスケスさん一人の活躍でしたが……

これにて一件落着です! もう一日カプルポートに滞在することになったのでのんびり遊びたいと思います!


────────────


 「何で私たちだけ置いてけぼりなの?」


 シルちゃんは不満顔です。今朝、ピスケスさんが少し話があると言って、宿のお部屋にやってきたのですが……


 「ごめんね~子どもに聞かせる話じゃないの~」


と言って私たちは仲間に入れてくれませんでした! どんな話をしてるのか気になります!


 「ドアに耳当てたら聞こえないかな……」

 「ぶひ!」(みみっちいな、シルコ!)

 「そんなのよりもっといい方法がありますよ!」


私が子どもだからって甘く見すぎですよ! 魔法を使えば盗み聞きなんて簡単にできちゃうんですから! ラスターさんが女性といい感じになった時に備えて練習していたのです!


 「それじゃあ行きますよ……盗聴魔法・地獄耳アウリス・ディアブロス

 「おお、聞こえる!」


さてさて、どんな会話をしてるんでしょうかね、っと……


 『あのね~シルコちゃんのことなんですけど~』


 「チギリちゃん、突撃!」

 「えっ、何でです?」

 「いいから!」


シルちゃん凄く焦ってます。どうしたんでしょ……


 「そぉれっ!」

 「何で!?」


シルコちゃんは素早くドアを開け、3人が話している部屋の中に私を投げ込みました! そして私は一直線にピスケスさんの膝の上へ! あっ半径1m……


 「なんでぇ~⁉」

 「あっ、ピスケスさん……」

 「ごめん、遊んでたらこうなっちゃって」


シルちゃんは何食わぬ顔で部屋に入ってきました。あんなに焦って、一体何があったんですか……


 「ピスケス延びちまってるぞ……」

 「お話とは、一体何だったのでしょう……」

 「ねえねえ、そんなことより遊びに行こうよ!」


今日のシルちゃんはなんだか積極的です。でもピスケスさんを放ったらかしておくわけには……


 「俺が看ておくから、お前ら3人で出かけてこいよ」

 「あっ、じゃあ私も残る!」


てなわけでボマードさんとウリたんと私で出かけることになりました! シルちゃんも一緒がよかったなぁ……


────────────


 「お前も行きたかったんじゃないのか?」


 ラスターは枕元でピスケスの様子を見ながら、少し離れた所で手持無沙汰に立っているシルコに尋ねた。


 「あんたがその人に変な事しないように見張ってるだけ。男はみんなオオカミだってお姉様が言ってた」

 「……お姉様?」

 「あ! いや、その、お姉様って言っても、えっと、本当のお姉様じゃなくて、昔お世話になった人っていうか、その……」

 「分かってるよ、何焦ってんだ?」


相変わらず余計なことを言って墓穴を掘るシルフィー。しかしこの勇者はまだ何も気づいていないようである。


 「あんたこそ、どうして残ったの?」

 「別に。昔からの友達ってだけだ」

 「ふーん、よく分かんないや。私友達いないし」

 「チギリは違うのか? あいつメチャクチャ喜んでたぞ」

 「ああ、うん、そう。それまではいなかった、ってこと」


シルフィーは喋れば喋るほどボロが出そうになる自分が嫌になった。その時ピスケスのかぶっている布団がもそりと動いた。


 「う~ん……あっ、ラスターくん~」

 「案外早く起きたな」


ピスケスが目を覚ました。どうやらシルコも部屋の中にいることにはまだ気づいていないようだ。


 「私が寝てる間に変なことしてませんか~?」

 「……しねぇよ」

 「分かってますよ~……そんなことより~あのシルコちゃんって子……」

 「それ以上言うな!」


焦ったシルコは飛び出してピスケスの口を抑えた。半径1m以内。しかし、当然ピスケスに電流は流れない。


 「あっ……」

 「……どうなってんだ?」

 「やっぱりそうだったんですね~?」


シルフィーは取り返しのつかない大ポカをやらかしてしまった。仕方ないじゃないか。幼女センサー(捨て身)なんて普通想定していない。しかし言い訳を並べてみても失敗は消えない。


 「あ、ははは……」


笑って誤魔化すしかなかった。さあ、どうするシルコちゃん。


────────────


 繁華街には屋台がたくさん並んでおいしそうな臭いをこれでもかと漂わせています。港町だけあって新鮮な海産物がいっぱいです。ウリたんも満足そうにイカ焼きを頬張っています。


 「もぐもぐ……シルちゃんとラッさんにお土産買っていきませんか?」

 「それは良い考えです! 何を買いましょうか……」


 「旅の記念にお一ついかがですか~」

 「ですかー」


糸目のお兄さんと背の高い女性がカゴを持って何か売り歩いています。旅の記念って言ってます! ちょっと見てみましょう!


 「すみませーん! 何売ってるんですか?」

 「これね、記念のメダル! この街をイメージして一枚一枚心を込めて彫ってます!」


女性の方がカゴから一枚取り出して見せてくれました。片面には大海原を進む船が、その裏にはその船に手を振る人々が彫られています。


 「いいですね! 私これ好きです!」

 「ありがとうございます! お父さん、娘さんも気に入ったようですし、旅の記念にどうですか?」

 「お父さん……?」


このお兄さんセンスはいいけど失礼です! ここでボマードさんの顔を見る。いや、やっぱり仕方ないです!


 「あれ、違った? 俺ってばまた失礼かましちゃったよ! あはは!」

 「お気になさらず、よく老けて見られますから」


大人な対応です。そしてこのお兄さんは全く反省してませんね。隣の女性もオロオロしてます。


 「そうか、そうか。でも俺達もよく夫婦とかに見間違われるんすよ~ホントは兄妹なんですけどね。あ、俺がディヒ太郎でこっちが妹のギガ美」

 「ですです」


聞いてもいないことをペラペラと喋っています。


 「じゃあ、これはお詫びと名刺代わり、ってことで!」


そう言ってカゴの中のメダルを適当に掴んで、強引に手渡してきました。ちょうど5枚あります。


 「ああ、これはどうも……」

 「俺達もあちこち飛び回って商売してるんで、またどっかで会うかもしれませんね! そうそう、この間行った村にはエルフって種族が住んでましてな、彼ら歳をとっても見た目が変わらないそうで100歳近くなっても子供の姿のままらしいですよ。すごいですよねー。後それから……」


 「ありがとうございましたー!」


あれ以上聞いていると話がとんでもなく長くなりそうでした! さっさと切り上げて立ち去るのがいいです!


 「いやはや……先ほどの商人……」

 「よく喋る人でしたね」

 「いえ、我々があちこちを回っていることをいつ話したかと思いまして……」


そういえば言ってないのに知ってましたね。はっ! まさか……


 「私たちって有名人ですか⁉」

 「……ですな」

 「どうして目を逸らすんですか! ボマードさん!」

 「ぶひぶひ……」(やれやれだぜ)



一方その頃


 「お前は何者だ?」

 「あうう……それは……」


シルフィーは言い訳の言葉を全く思いつくことができず、半泣きになりながらこのように無意味なうめき声をあげていた。


 「ラスターくんを誑かして~どうするつもりだったんですか~?」

 「そんなつもりじゃ……うぅ……」


特にこの女、ピスケスとかいう奴の圧が凄い。シルフィーは心の中のお姉様に助けを求めるばかりだった。


 「ただいまでーす!」

 「ピスケスさんは起きられましたか?」


最悪だ。チギリとボマードまで帰ってきた。ついでにイノシシも。この二人にまで嫌われたら彼女はもう終わりだ。


 「……お取込み中ですか?」

 「ああ、実はな……」


全部バラされた。


 「シルちゃん、どうして……」


何故か両手にメダルを抱えているチギリはとても悲しそうだ。


 「あの……その……」

 「そういうことですね……! 私、シルちゃんの正体分かっちゃいました!」

 「えっ!?」


これは最悪of最悪だ。魔王のしもべだという事がバレれば死刑では済まない。シルフィーはただお姉様に褒めて欲しかっただけなのにどうしてこんなことに。


 「シルちゃんはエルフの者ですね!」

 「どうかお許しを、脅されてたんで……え?」

 「さっきのお喋りお兄さんが言ってました! エルフは100歳近くなっても子どもの見た目のままだって!」


シルフィーは混乱したが、他の者も納得した表情をしている。乗るしかない、この波に。


 「そ、そうなの! 人間のお友達が欲しくて嘘を……」

 「そうだったんですか~だったら早く言ってくれればいいのに~」


シルフィーはどこの誰だか知らないがそのお喋りお兄さんとやらに感謝した。そしてついでにお姉様にも。(?)


 「こんな私でも……ぐず……友達でいてくれる?」

 「もちろんですよ、シルちゃん!」


シルフィーは安心して泣き出してしまった。チギリは彼女をそっと抱きしめた。どっちが年上なんだか。


 「あ、そうだ。これ今日のお土産です」

 「何これ、メダル? ……うぇぇええぇえん、大事にするね……!」




 「小さい女の子同士の友情……美しい光景ですね~」

 「お前ちょっと黙ってろ」


続く!


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