第二話:ユニフォーム!
この前のライオンとの死闘は凄かったな、周りに人は居なかったから、まだ有名になって無いけど…。
町を救ったって事には変わり無いからヒーローだよな?
みんなの為に頑張ったんだもん
『あの感動をもう一度』なんちって(笑)
まぁそれは置いといて、ヒーローに大切なものをすっかり忘れてたんだ。
それはユニフォームである!
…
ば、バカにすんなよ、ヒーローって言ったらユニフォームだろ?
〇〇レンジャーだって生身で戦ってる奴なんか居ないだろ?
ほら〜、やっぱ大切じゃん、俺だってカッコいいユニフォームが欲しい!
あっ待てよ!話聞いてけよ!
*
俺はトラにユニフォームの大切さについて説いていたら、トラはどっかへ行ってしまった。
もっと話していたかったのに…。
ということでユニフォームを作ろうと思う。
俺にはヒーロー資金として中学を卒業してから貯めたお金があるので、それに手をつけて行こうと決めた。
ヒーローの服が売ってるところなんて見たこと無いから、布から作っていくことにする。
…
布を買って来てノリノリで作っていくが、全然上手くいかない…。
仕方ないから仮面だけ作る事にした。
二つの赤い布をガムテープで端だけ貼り付け、被ってから目と鼻と口のところだけハサミで切り取った。
早速、鏡で確認してみるが、そんなにカッコ良く無いけど、顔はちゃんと隠れてる。
でもまぁ仕方ないかと思い、これで妥協した。
そうして、これを被って、商店街へ出掛けた。
…
外へ出掛けて見ると色んな人から好奇な目で見られた。
ひそひそ話をしていたり、子供の目を隠している親もいる。
そんなに目立つかなぁとか思いながら歩いていると、目の前に友達と歩いているトラを見つけた!
〜トラside〜
モリモリがユニフォームを着たいなんて、またアホな事を言い出したが、まぁ俺に頼ってくるか、諦めるかどっちかだろう、と思っていて
今はバド仲間の友達と二人で打ちに行こうと商店街を歩いていた。
俺はモリモリを甘く見ていた…。
「トラーっ!!」
となんか赤い変な布を被っている人物が俺を呼んでいる。隣の友達が声をした方を見て、その後、俺に視線を移した。
「おぃ…トラ、お前…」
「ひ、人違いだろ!」
「で、でもトラって名前そうそう…」
「ち、ちげぇよあんな知り合い居るわけねぇだろ!
あ、俺用事思い出したわ、先行っててくんない? っていうか行けっ! 行かないと殺すっ!」
俺は隣の友達を先に行かせ、俺の名前を大声で呼びながら目の前まで来た幼なじみに目を向けた。
「トラ?さっきの友達じゃ無いの?良いの?」
「別に気にすんな、それよりその頭はどうしたっ!?」
「えへっ、もしかしてカッコいい?」
「はぁ…」
ふと、周りを見渡してみると、オバサンと警官っぽい人がこっちを指差しながら話している。
「お前ちょっと来い!」
…と、人の目から死角になるところへ連れ込んだ。
「悪い事は言わねぇ、その被っているものを二度とつけるな!」
「えぇー、なんで?」
「どこからどう見ても、今から銀行襲いに行くようにしか見えないからだ」
「そうかぁ…一生懸命作ったのになぁ…」
モリモリの落ち込んでいる顔に罪悪感が芽生えるが、さすがにこれを被っていたら、警察に捕まってしまうので、止めさせる。
「別に顔隠さなくても良いだろ? ほ、ほら、弱いものを助けるヒーローなんだろ? 顔見えなかったら怖がっちゃうかもよ。」
…と良く分かんない理屈で押し込めようとする。
「ぅん…分かった…」
返事に元気が無い、これはツラい…
「だ、だからさ、じゃ、じゃあ、あそこのたいやき買ってやるから元気だせ! それに、お前、そのままでもヒーローっぽいよ! お、やべぇヒーローじゃん!」
すると…
「えっマジで?ヒーローに見える? 参ったな、仮面なんかいらないな、ヨッシャ!たいやき5個な!」
と、機嫌が良くなって安心した。
モリモリの手作りの仮面をしまわせて、たいやきを5個買って持たせて…
「ありがとー!トラ大好き!」
「あーハイハイ、じゃあな!」
みたいな感じで別れた。
そうして先で行って待っているはずも無く一部始終を見ていただろう、友人の事を考えて、あいつの事をどうやって話そうか考えながら歩きだした…。