7章第12話 バイパーとバイパーゼロ
『敵機は8機、多いぞ』
『了解』
F-22と編隊を組んだF-2Aの先を飛ぶアヤメ少尉は、分かっているとばかりに返事をする。
手元のスイッチで兵装を選択、AAM-4Bを選択すると、兵装発射スイッチに指を掛けた。
『ミーティア1、FOX3』
『ミーティア2、FOX3!』
ミーティア隊は1発ずつのAMRAAMを発射、敵が多く弾を温存するつもりか、2発は撃たない。
『バイパー5、FOX3FOX3』
『バイパー6、FOX3FOX3!』
バイパー隊の2機のF-2AAAM-4Bを2発連続発射、発射後ロックオン機能を搭載したミサイルは敵を見つけていない内にハードポイントから躍り出た。
発射されたミサイルは音速の数倍で敵編隊の方へ向かっていくが、その目はまだ獲物を見つけてはいない。
突然耳元で不快な音が鳴り響く、レーダー警報装置だ。
軽く舌打ちをして敵をレーダーロック、その一瞬の内に目標を振り分け、ミサイルが自分の目でしっかりと獲物捉えた。
チャフを散布しながら急旋回、舵を切る直前にまたチャフを発射しながら今度は急上昇する。
体重の数倍のGと失神しない様に下半身を締め付ける対Gスーツの感覚を感じながら操縦桿を捻り、90度右ロール、操縦桿を引いて反転、ミサイルを引きつけてから急降下していく。
敵が放った中距離空対空ミサイルは急上昇で勢いを失い、チャフに戸惑い自爆する。
近接信管を作動させたつもりだろうが、アヤメのF-2は既にそこにはいない。
機首を敵の方に向ける、改めて見ると8機、相手にするにはかなり多い。
橋を攻撃する予定のマスタング隊と、対空火器を潰すバイパー隊1部は一旦離脱して、周囲の山陰に隠れる様に飛んでいる。命中した中距離ミサイルは1発、4機で合わせて6発撃って、1発だけだ。
生半な腕ではない、確信した彼女はロールを打って背面飛行の状態を維持しつつ交差、その瞬間パイロットと目があった。機体の色、形、アヤメの記憶の中からそれに一致する機体を探し、答えを出す。
『……バイパー5、敵機と交差、F-16、けどCFTが付いてる』
『こちらミーティア1、そいつらF-16Eか!』
AMRAAMを発射して上昇していったF-22の1機からの通信にアヤメは目を細めた。
F-16Eは、F-2の原型となったF-16の発展型だ。
コンフォーマル燃料タンクを背負う様に搭載して航続距離が伸びている上に、電子装備も新型になっている。
スロットルを開き、操縦桿に力を入れると背面のまま降下、スプリットSで高度を速度に変え、低高度を高速で飛び抜けながら先程すれ違ったF-16Eの背後に付く。
1機に狙いを定めようとした瞬間、敵編隊がブレイク、エレメントを組みながら散開していく。
その内の1組に噛み付いたアヤメは、AAM-3をロックしながら敵の動きを注意深く観察する。
1機が1機をカバーする様に動いている……そう思った瞬間、2機が左右に分かれた。
振り切ろうとした急旋回だが、目星を付けていた方に着いて行く様に飛ぶ。
混乱して付いてこれないと思っていたF-16Eのパイロットは逆に混乱し、アヤメを振り切ろうと機体を振り回す。
彼女は冷静にF-2を操り、聞き慣れた電子音がAAM-3をロックした事を告げる。
『FOX2』
操縦桿のボタンを押してミサイルをリリース、主翼外側のパイロンに吊るされたAAM-3が滑り出し、シーカーが目標を見つけて喰らいつく。
左に大きく旋回してフレアを撒こうとするF-16Eだが、アヤメはそれを見越して機関砲を射撃した。
ヴヴヴッ、と短く唸ったバルカンの曳光弾が伸びる。外しはしたが、F-16Eのパイロットに狙われていると示すには十分だった。
F-16Eの右翼側、コックピットのすぐ近くを突き抜けた機関砲にパイロットがビビり、左旋回に切り替えようとする迄の一瞬のタイムラグが発生したその隙に、AAM-3がF-16Eのエンジンに噛み付いた。
エンジンを吹き飛ばした弾頭のワイヤーは機体の構造を引き裂き、燃料タンクの区画をぶち破って機体が炎に包まれる。ここまで0.3秒、パイロットが脱出する暇は無かった。
1機目を撃墜したアヤメは、破片を躱した後は火達磨になる被撃墜機を見送ったりはしない。
超音速で行われる命のやり取りに、そんな暇など無いに等しく、彼女は既に次の標的をその瞳に捉えていた。
後方から迫り、僚機が落とされて怒っているのかこちらに機関砲を撃ってくる別のF-16Eをじっと見つめる。
その時、ヘルメットに仕込まれたヘッドセットから耳障りな音が流れてきた。
『こちらは"ドラグーン帝国"空軍、オルト1。貴機は我が国領空を侵犯している。今すぐベイルアウトしなければ撃墜する』
恐らく敵のパイロット、コールサインから隊長機の声だろう、狙いを定められない様に機体を振り回しながらチャンネルをそこに合わせ、返答しようとした瞬間再びそのパイロットの声が聞こえた。
『フン、フェイクファルコンなぞ使いおって、穢れた紛い物はこの空を飛ぶべきではない』
その言葉が放たれた瞬間、もしバイザーとヘルメットがなければ、アヤメの表情は僅かに歪んだ様に見えただろう。
余り表情を変えない彼女が僅かながら表情を歪めたのだ。
エアブレーキを一瞬だけ全開にして、追跡機とぶつからない様にロール、エアブレーキを閉じて失った速度をアフターバーナーを点火する事で取り戻す。
『……こちらは連合軍ガルシア島飛行隊、今からそちらを撃墜する』
抑揚の無い声でアヤメが宣言すると、急旋回して振り切ろうとするF-16Eを追い回す。
がっちり噛み付いて離れず、F-16Eが振り切ろうとしてもアヤメのF-2は付いていく。
F-16Eは左に急旋回し、バレルロールからシザーズに入る。
『フェイク・ファルコンめ、紛い物は墜ちろ!』
『原型留めてない癖によく言うよ、この不細工』
オルト1は無線に怒鳴り、アヤメはそれに抑揚の無い声で返す。彼女の声には静かな怒りが含まれているのは、彼女をよく知る者だけが知っている。
オーバーシュートさせようとしたF-16Eだが、アヤメはエアブレーキとスロットルで推力を調整してF-16Eの背後から離れず、また振り切られない場所をキープする。
F-16Eはシザーズを諦めて逃亡、孤立した味方と合流しようとするが、先手を取って進行方向にガンを撃ち、行く手を塞ぐ。
彼女の空戦の真髄は徹底的な観察にある。どこへ何を撃てば敵はどう動く、敵が好んで使う回避機動や攻撃機動、追われる側から追う側へ移る為にどの様な機動をするか。それを観察して記憶し、その1つ1つを確実に潰していく。
1度周囲を確認する、レーダーとキャノピーの外、他に自分を追っている敵が居ないか探す。
後方、上方、下方と左右に敵機は見えない、見える範囲には居ない。
次にレーダーに一瞬だけ目を落とす。
バイパー6は2機を相手にしている、難しいが、彼は任せて良いと判断した。
ミーティアの方は既に2機を叩き落としていた、エースの噂はどうやらあながち嘘では無いらしい。
データリンクしたレーダー上ではミーティアの1機がバイパー6へ増援に向かうのが見えた、バイパー6はミーティアが助けてくれるだろう。
つまり、私の戦闘を邪魔する存在は無い。存分に戦える。
ここまで確認するのに1秒と掛からず、再び戦闘に集中し始める。
翼端のAMRAAMのシーカーを開く、この距離ならまだAMRAAMの得意分野だ。
レーダーでF-16Eを捉える、捉えられた向こうはレーダー警報装置が耳元でがなっている事だろう。
ふっ、とF-16Eが上昇する。付いていく様に操縦桿を動かした途端、左に急旋回。
アヤメは冷静にF-2Aを操り、これに付いていくが、今度はF-16Eが右にゆるりと旋回、360°ぐるりと回る。
一周した所でF-16Eがまた左に急旋回した、機体を動かすと無理矢理にシザーズに入り、バレルロールを繰り返しすとF-2はオーバーシュートしてしまう。
『……』
無言のままアヤメは背後に回ったF-16Eを見つめる、背後を取られても彼女は冷静だった。
敵機がガンを撃ってくる、スロットルを押し込んでインメルマンターンで躱し、速度を高度に変える。
頂点に入った所で右に270°ロールし、右へ旋回。撃って来るガンを右へ左へひらひらと躱しながら敵の観察を続ける。
耳元で耳障りな音、ヘッドセットからF-2がロックされたと警告をくれ、このままでは死ぬぞとF-2が叫ぶ。
知ってる、と言いたげに短く呼吸をし、機体を傾けスライスバック。
水平飛行に戻っても直線的な飛行はせず、複雑に飛行を繰り返す。アヤメの視線はF-16Eに固定されたままだ。
旋回するとどう付いてくる、上昇するとどう、降下すると、敵がどうやって攻撃位置に着くかを、時折飛んでくるガンやミサイル警報を躱しながらずっと観察していた。
『……よし』
ミサイル警報が鳴り響く中、久しぶりに前を向いた気がした。正面にHUDが見えると、ミサイル警報の音色が変わる。
敵がミサイルを発射したのだ、恐らくサイドワインダーだろう。
機体を反転、背面飛行になると操縦桿を引き、真っ逆さまに降下していく。
高度計は狂った様に数字を減らし、ものすごい勢いで地表が迫る。
高度が速度に置き換えられ、アフターバーナーを使っていないにも関わらずマッハ1.5にまで達している。
ずっと地面が迫り、操縦桿を握る手に力を込めた。
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機首を下にして飛ぶ、地表が真っ直ぐ迫って来る。
上昇する事も難しい、後ろからはミサイルが迫っているからだ。
良く「戦闘機は相棒」と言うパイロットがいる、ガルシア島のパイロットにも、その様な認識をしているのが何人かいた。
そう思うのは悪くない、戦闘機は命を預けて共に戦える仲間だと言う意識は、私も理解出来る。
だが、私は違う。私は私が操るF-2を「相棒」だとは思っていない。
私にとって、F-2は手足だ。操縦桿を引けば私はふわりと浮き上がり、傾ければそちらへスッと旋回する。
F-2は私の分身、私自身だ。
自分の手足の長さ、動きの限界、それが手に取るように分かる。
そうでなければ、こんな飛び方は私はしない。
操縦桿を引く。
地面スレスレでレベルオフ、ランドール橋が架かる川の水面を飛ぶ。
HUDの高度計は"15ft"、つまり、約4.6mの高さを飛んでいる。
ミサイルは川に突っ込んで自爆、F-16Eは遥か上空で追撃を諦めた様だが、頭上を抑えるように飛んでいて、またレーダー警報が鳴る。
コックピットを満たすのはレーダー警報と地表接近警報の2つ、あぁ、そんな事は分かってる。知っててやってる、耳障りだ。
『終わりだなフェイク・ファルコン!FOX2!』
フェイク・ファルコン?その名前で私を呼ぶな。
後ろからミサイルが迫る、後ろに目を向けている暇は無い。
私の目の前には、攻撃隊の目標である"ランドール橋"が見える。
高度を少しだけ下げ、ランドール橋の橋の下を潜り抜けた。
もしかしたら垂直尾翼の先端が橋の下を掠めたかもしれないが、計器などに異常は無い。
私を追っていたミサイルは橋に命中して爆発した、操縦桿を引いてシャンデルで高度を上げる。
F-16Eの隊長機は追ってこようと旋回するが、速度が付いて上昇してきた私のF-2には付いてこれない。
左旋回すると敵の背中が見えた、すかさずガンを射撃すると、敵が背中を狙われている事に気付いたのか右に旋回する、
恐らくこいつは右利きだ、緊急回避の時に左旋回する癖がある。
着いて行きながらAMRAAMのシーカーをオープン、こいつの癖は把握してる。
奴のF-16Eはまたロックオンを振り切ろうと左に機体を傾けた瞬間、ガンを撃つ。1秒にも満たないその射撃で発射された100発弱の射線に、F-16Eが割り込むように入ってきた。
垂直尾翼と水平尾翼、それから主翼にも命中したのか黒い煙を吹き上げながら左へF-16Eの機体が流れていく。
動きが明らかに鈍ったF-16EにHUDのボックスとサークルを合わせ、AAM-3をロック。
『FOX2』
主翼下外側のパイロンから、ロケットモーターが点火されたAAM-3が切り離される。
速度が乗ったミサイルはカナード翼で向きを変え、F-16Eのエンジンが木っ端微塵に吹き飛ばされた。
空中爆発を繰り返しながら墜ちていくF-16Eに向けて、先程話していたチャンネルで通信を開く。
『さよなら、不細工さん』
私のその声が届いたかどうかは分からないけど、そう言い終えた次の瞬間、F-16Eは空中で爆散した。
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『くそッ!ケツに付かれた!』
バイパー6は2機のF-16Eに追われている、1機の背後を取ると、もう1機が援護する様に背後に入ってくる。
そいつの背後を取り返すと、さっきまで追っていたF-16Eが背後に入り、攻撃してくる。
2機が連携し、追い込まれると状況を脱し、逆にこちらを追い込んでくる。
『こちらミーティア1、援護する。ブレイクしろ、こいつらを分断する』
バイパー6のパイロットは後ろを振り向く、自分を追う2機のF-16Eの更に上方から、F-22が"降ってくる"のが見えた。
右に旋回、付いて来ようとする2機のF-16Eの間にF-22が機関砲を撃ち、狙われていると思ったF-16Eが離脱、ミーティア1は2機のF-16Eの間に機体を滑り込ませる様に飛び抜ける。
離脱したF-16Eはバレルロールを打ち、F-22を追撃に入る。
ミーティア1は降下からの右旋回、左にロールして敵の射線を躱す。
そして敵との距離が適正な距離になる、"フリーダム"は、その瞬間を狙っていた。
操縦桿を引き、スロットルを引いて軽く推力を絞ると、一瞬機体が失速して機体の尻が縦に滑る。
失速を知覚する前にはスロットルを押し戻してエンジンにパワーを取り戻させ、ベクターパドルのお陰で更に機首は後ろを向く。
フランカーファミリーのお家芸、"クルビット"だ。
ミーティア1は機体の下を通り過ぎる瞬間、引き金を引いていた。
すれ違いざまにF-16Eは機関砲で蜂の巣にされ、そのまま空中で爆散した。
『ミーティア1、スプラッシュ・ツー』
『バイパー6、1機撃墜した』
『バイパー5、スプラッシュ・ツー』
『ミーティア2、2機撃墜、上空クリア』
『ミーティア・リーダーよりマスタング・リーダー、上空クリア、爆撃よし』
『了解、こちらマスタング1、爆撃を開始する。マスタング隊、続け!』
敵戦闘機出現により、山の陰へと待機していた攻撃隊が姿を現す。
4機のF-15EJストライイーグルが、爆弾を満載したまま全て生き残っていた。
『こちらバイパー1、露払いは任せろ』
更に隠れていた攻撃隊、バイパー隊の本隊が4機のF-2Aを引き連れて先行する。
バイパー5と6、そしてミーティア隊が敵戦闘機を相手している間に復活しかけた対空砲を潰しにかかるのだ。
『バイパー2、ライフル』
早速ロックしたのか展開を終えたばかりの2K22ツングースカ自走対空機関砲に向けて、AGM-114ブライムストーンを発射した。
こちらに向けて機関砲を撃ってくるが、バイパー2に機関砲が届く事は無く、ミサイルはツングースカ自走対空機関砲に命中した。
『バイパー4、Bombs away』
更に1機のF-2からは別のF-2からレーザー誘導されたGBU-38 500ポンドLJDAMが投下され、SAMを破壊する。
バイパー隊はミサイルで、爆弾で、機関砲で、マスタング隊の爆撃を妨害する兵器を潰していく。
『こちらバイパー・リーダー、道は出来たぞ』
『了解、こちらマスタング・リーダー、援護に感謝する』
バイパー隊のF-2が切り開いた道を、F-15EJが飛んでいく。
投下の適正高度まで上昇、2機1組になり、JDAMの投下準備に入る。GPSの座標を入力、JDAMにデータを送って照準する。
『マスタング1、Bombs away』
『マスタング2、Bombs away』
2機から8発のGBU-31 2000ポンドJDAMを投下、誘導翼が受け取った情報を元に、指定された座標を目指して落下していく。
そして橋桁のど真ん中を目掛けて、叩きつけるように命中した。
命中した橋は崩れ落ち、コンクリートと金属がひしゃげ砕ける音を立てながら川の中へと沈んでいく。
これだけでは終わらない、後続で侵入してくるマスタング3・4も、同じ兵装を抱えていた。
『マスタング3、Bombs away』
『マスタング4、Bombs away』
崩れ落ちた橋だが、橋脚はまだ川から顔を出していた。
かろうじて無事だったその橋脚を、GBU-31は木っ端微塵に粉砕していく。
2000ポンドのJDAMを16発投下しても、F-15EJはEGBU-16を4機で合計16発も残している。
『マスタング1、Bombs away』
後席に乗る兵装システム士官が照射したレーザーに乗り、主翼下の爆弾ラックに搭載されたEGBU-16が切り離されて、損傷の少ない橋脚や橋梁に突き刺さり爆発、川の中に次々と消えていく。
『マスタング3、Bombs away』
マスタング3と4は、川岸の橋の残骸を爆撃しにかかる。橋の残骸が残っていると、そこからさらに敵が橋を再建しかねない。
だからこそ、徹底的に破壊する必要があるのだ。
両岸の橋の残骸を片付ける様に、EGBU-16が放り込まれていき、爆弾はその全てが寸分の違いもなく命中した。
橋梁と橋脚は完全に川に沈み、両岸の橋の基部は堤防から削ぎ落とされる様にクレーターに変わっていた。
『マスタング1よりマスタング各機へ、残弾を報告』
『こちらマスタング2、残弾なし』
『マスタング3、こちらも残弾なし』
『4、残弾なし』
『了解』、マスタング・リーダーより作戦全機へ、全機残弾なし』
『こちらバイパー・リーダー、同じくバイパー隊、残弾無し』
『了解、こちらミーティア1、ここからも煙の中に崩れた橋がよく見える。作戦終了だ』
『詩人だねぇ、フリーダム』
『自由人だからな』
誰も1機も失う事無く作戦が終了し、安堵した空気が流れる。
その中でアヤメは、今日の戦闘を振り返っていた。
私に直接援護は来なかった、けど、追われていたバイパー6を、ミーティア隊は助けた。
「自分の為に」ではなく、間接的に自分の為になる様に、「仲間の為に」彼らを信じても良いのかもしれない。
そうすれば、私が戦っている間、敵の邪魔が入る事無く、目の前の敵を狩る事に集中出来るのだから。
アヤメはそう思いながら、僚機と編隊を組み直した。
『鶴ちゃん、何で助けてくれなかったんだよー』
『……情けない事言わないで下さいよ、私は2機落としましたよ。あと私は"クレイン"です』
『わぁ辛辣、ま、2機を引き付けてくれてありがたかったよ』
『それはどういたしまして、今度は2機をちゃんと落とせる様になって下さいね』
基地へ戻っていく空路で、彼らはそんな話をしながら飛んでいた。




