7章第4話 工場陥落
お待たせいたしました……何分ここのところ忙しく文が書けない状況が続き、重ねて鮮明なイメージが弱くなっている事から投稿が遅れました……申し訳ない……
CV-22Bが6機、兵器製造工場を取り囲む様にホバリングを開始する。
工場施設の大きな資材搬出用通路や工場の周辺にCV-22Bからロープが下ろされ、ロープから次々と兵員が降下していく。
彼らは第3レンジャー連隊、ヨルジア統合軍5つの緊急即応部隊の内、唯一特殊作戦の遂行が可能な精鋭部隊だ。
CV-22BにBのコールサインを持つ16人2個分隊、6機に合計96人が分乗して、広大な広大な敷地面積を持つ工場を包囲、飛行場と分断する。
兵員を下ろしたCV-22Bは敵の対空砲火を避ける為、低空を高速で飛行してすぐさま離脱した。
続いて侵入して来たのは、MH-6Mだ。
Nのコールサインを持つこの部隊は、1機当たり4人の狙撃手が乗っており、全4機が建物の屋上にタッチダウンする。
飛行場の格納庫の屋根、工場施設の屋上、そして倉庫の屋根に狙撃手が展開し、味方の包囲を更に強固なものとする。
地上に降り立った第3レンジャー連隊の狙撃手は、M24A2SWSやSR-25を手に狙撃で支援する態勢を整える。
『こちらN、包囲完了』
『こちらB、包囲完了』
『了解、こちらR、これより降下する』
先んじて降下したレンジャーの狙撃手及びオスプレイから降下した援護組は、主力であるMH-60Mから降下するレンジャー隊員のサポート、降下地点の確保と、敵の排除を行う。
「敵だ、RPG!」
狙撃手のSR-25が甲高い音を立てて7.62×51mmNATO弾を発射、RPG-27を持つ敵兵士の首元を貫通し、糸が切れた人形の様に敵が倒れる。
『RPG及び携行SAMは優先的に排除しろ、ヘリ部隊を守れ』
『了解』
その号令と共に、ヘリ部隊を守る為に援護組が戦闘を開始、RPGや携行SAMを持ち出して来た敵兵に一斉に射撃を開始する。
狙撃手はM24A2 SWSやSR-25の狙撃で仕留め、援護組はM4A1やM249を射撃して道を封鎖、降下地点確保を行う。
「屋根だ!」
屋根の上に敵を見つけ、M4に乗せたACOGやELCAN SPECTORの狙いを定めて射撃するが、敵も屋上の壁に上手く隠れながら、AKS-74を発砲してくる。
が、そんな彼らの頭上から、弾丸の嵐が降り注いだ。
「Rが降下する!」
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ヘリが降下姿勢に入りながら、両舷のガンナーがドアガンとして乗せられたM134ミニガンを撃ちまくる。
その掃射が、施設屋上に展開していたSURPAT迷彩の敵兵を薙ぎ払った。
"射程の長いショットガン"的な扱いをするミニガンが撃ち出す7.62×51mmNATO弾の奔流は、敵を見つけ次第獰猛に喰らいつく。
ここより上空はF-2JとF-35A、A-10Cがカバーしている。
ヘリも、AH-64Eが援護に入っている、逆に、敵が防御を固めている場所にヘリで攻め込むのはそれだけのカバーが必要になる、という事だ。
R2-5エドワーズ・スコット軍曹は、2-5の副官である。
彼はMH-60Mブラックホークの中で、ポーチに入れたマガジンの調子を確かめていた。
普段はヨルジア陸軍特殊部隊"シルバー・アローズ"の隊員だが、出向で第3レンジャー連隊に来ている。
「降下するぞ!総員降下用意!」
分隊を指揮するブル中尉がそう叫ぶ、M4のチャージングハンドルを引いて離し、初弾装填。
MH-60Mがホバリングに移行、降下ポイントに近づき高度を下げ、機体を安定させる。
ホバリングするヘリにRPGが向けられるが、ドアガンのM134が即座に射手を始末し、ヘリ及び降下部隊の安全を確保した。
「ロープ降ろせ!」
両舷の隊員が、ファストロープ降下用のロープを切り離して降ろす。
降下分隊は8人、始めに降下するのはノア・クリストフとデリック・ハートマンだ。
「降下だ!行け行け!」
ブル中尉の指示通り、まず2人が降下、それを追うようにエイミー・ハングとエドワーズ・スコットが降下する。
ブル中尉が降下するまで途切れる事なく降下し、ヘリから全兵員の降下が完了した。
『こちらバトラー61、分隊降下、警戒する』
『バトラー62、分隊降下、上空からの警戒に入る』
『バトラー64、分隊降下、援護する』
他の部隊も降下が完了、ブラックホークは離脱し、上空からドアガンでレンジャーを支援する。
上空にはAH-64EやA-10Cも居るが、こちらは基本的には重装車輌への対処がメインになる。MH-60Mは、敵歩兵への対処がメインだ。
R-25が制圧に掛かるのは、第4格納庫だ。
衛星写真によると、ここにはシートのかけられた物体が出入りしており、機密や重要度のかなり高い物が隠されていると推測される。
しかし、やはり警備は厳重、恐らく航空支援無しでは進めないだろう。
「コンタクト!右側方!」
右側に展開していたデリックがM249を向け、射撃開始。路地の向こうから撃って来る敵に向かって応射する。
銃声、空薬莢とベルトリンクが落ちる音がヘッドセット越しに聞こえる。
敵は5名、エドワーズはM4を構え、角から少しだけ顔を出してセミオートで射撃。
敵の遮蔽物にしている建物のコンクリートを抉り、コンクリの破片が飛び散る。
エドワーズはM4に乗せているACOGのレティクルを合わせ、敵が出て来るタイミングを狙って引き金を引く。
タイミングが合い、角から飛び出した敵の頭に5.56mm弾が命中、脳みそと血飛沫が飛び散り、敵はAKS-74を取り落して倒れる。
「正面!敵車輌!」
ブル中尉が叫ぶ、正面を見ると、BMP-3が砂煙の向こうからこちらに向かってやって来る。
「砲撃!来るぞ!」
BMP-3の100mm低圧砲が火を吹く前に、貫通しない遮蔽物に身を隠す。
BMPの砲弾は手前の建物の角に命中し、コンクリートを壁を大きく抉る。
小銃弾じゃ相手にならない……そう思った時は、上空からミサイルが降ってきた。
音速近くで滑空する対戦車ミサイルは精確にBMP-3を貫き、HEAT弾頭が装甲を貫く。
上を見ると、M230 30mmチェーンガンをこちらに向けたAH-64Eが旋回している。恐らく、あの機がやってくれたのだろう。
しかし、脅威は去らない。その後ろからBMP-2が接近中、30mm機関砲を撃ちまくりながら接近して来る。
先程からBMP-3の砲撃を受けていた建物の壁が早くもボロボロになり始め、そろそろ遮蔽物として心許なくなっている。
近くに停めてあった乗用車にも30mm砲弾やコンクリートの破片がバラバラと降り注ぎ、ボディが穴だらけになっていく。
「ピックアップ接近!右だ!」
BMP-2とは別方向、先程敵の歩兵が顔を出していた方向にDShk38重機関銃を搭載したテクニカルが停車、火力支援なのか、こちらに向かって射撃して来る。
『こちらHQ、R-25、大通りから顔を出すなよ。A-10が航空支援に入る』
「了解!頭引っこめろ!」
中尉がそう叫ぶ、遮蔽物に身を隠すと、バリバリと音が降ってきた。
ヘッドセット越しにも耳鳴りがしそうな轟音、A-10のGAU-8が地面を薙ぎ、30mmガトリング機関砲がBMP-3の残骸を乗り越えようとしていたBMP-2を紙のように容易く引き裂いた。
大通りの方の車輌はクリアになったが、路地側のテクニカルが残っている。
デリックがM249MINIMIで射撃するが、火力に押し負けてデリックの後ろの乗用車が次々と蜂の巣にされていく。
「ノア!エメリア!あの機関銃を潰すんだ!」
「了解……!」
M4のアンダーバレルにFN Mk13EGLMを追加している2人がM433HEDPを装填し、発射。
グレネード弾は少し逸れて命中し、爆風で機銃の射手を吹き飛ばすが、すぐに代わりの射手が射撃を再開する。
「さっさとアレを始末するんだ!さもないと全滅するぞ!」
グレネード弾を再装填、2人の擲弾手は再びEGLMを発射し、弾頭はピックアップトラックをひしゃげさせて吹き飛ばした。
「行くぞ行くぞ!」
ブル中尉が先頭を切り、相互支援を行いながら第4格納庫に向かう。
遮蔽物から遮蔽物、また遮蔽物へと移りながら敵を排除していく。
陸軍特殊部隊程では無いが、第3レンジャー連隊の隊員達もエリートの集団、その練度の高さを遺憾無く発揮する。
1ブロック移動し、第4格納庫へと接近、当然の事ながら敵は守りを固めている。
土嚢で入口の部分はトーチカ状に固められ、PKMやRPKを構えた隊員が待ち構えていた。
レンジャーの姿を一瞬だけ確認した敵の掃射が始まる。
「隠れろ!伏せろ!」
エドワーズは先頭にいた為、引き返すのが間に合わずそのまま路地へと飛び出してしまう。
転びそうになるのを何とか堪え、銃弾に追われながらも走り抜けて次の角に滑り込んだ。
「エドさん!」
叫んだエメリアがMk13EGLM付きのM4で射撃、周囲の土嚢を抉って土煙を立てる。
敵は反応してPKMを撃ってくるが、火点を見つけ、エドワーズが壁から銃を出してセミオートで射撃。
陸軍特殊部隊で鍛えられた射撃の腕は、レンジャーだからと言って衰える事は無い。
数発撃ったところで土嚢の向こうで血が跳ね、PKMの掃射が止む。
「手榴弾行くぞ!」
向こうの通路でデリックが叫ぶ。
グレネードポーチからM67破片手榴弾のピンを抜き、投擲。
中々のコントロールで飛んで行ったM67破片手榴弾はトーチカ状の土嚢の窓に放り込まれ、爆発。
TNTによって刻まれた金属ワイヤーが飛び散り、RPK射手を始末した。
敵の反撃が止む、その間に素早く移動、第4格納庫の扉へと取り付く。
「周辺を警戒しろ!エド、爆薬を」
「了解、ありますよ」
ドアに持って来ていたC4爆薬を仕掛け、エイミーとノアが閃光音響手榴弾のピンを抜いて待機する。
C4をドアに貼り付け終え、起爆装置を持って離れる。
「爆破する、3……2……1……」
起爆装置のスイッチを捻る。
同時に電気信管が作動し、ドアを内側へと吹き飛ばした。
その隙にエイミーとノアが閃光音響手榴弾を投入、2発投入するのは1発が不発でも大丈夫な様にだ。
バンッ!
通常の手榴弾や爆薬より高い音、こっちまで耳がおかしくなりそうだ。
効力が続いている間に突入、内装は航空機の格納庫の様だ。
目を眩ませ、耳を抑えている敵兵を容赦無く射殺、格納庫の反対側のドアから出て行く敵にはデリックがM249で掃射を浴びせた。
コンクリートの床に空薬莢がいくつも落ち、済んだ金属音を奏でる。
ほぼ全員を射殺、死ななかった奴らは呻き声を上げて硬い床に転がっている。
とにかく、倒れている敵に駆け寄り、手元から武器を蹴って遠ざける。
「クリア!」
「クリア!」
「クリア!」
「ルームクリア!」
第4格納庫の制圧は完了、出入り口を封鎖して敵の奪還や増援をブロックする。
「しっかし……こいつは驚いたな……」
R-25分隊の分隊長、ブル中尉がそう零す。
ブル中尉の視線の先には、漆黒の航空機があったからだ。
「こいつは確か……戦闘機でしたっけ?」
「ただの実験機だったはずだ。デモンストレーター機で終わったはずだがな……こんなモンまで量産してるとは……それほど切羽詰まってるのか、それとも余裕があるのか……」
「どちらも、と言う点も考えられますよ。資金が無いとこれは作れない、しかしこれを量産して実戦配備を急ぐ程敵の空軍力は減っている…….」
エドワーズもその機体を見てそう呟いた。
彼らの視線の先にあったのは______Su-47だ。
黒いボディにレドームだけが白く塗装されており、平たい機体にカナード翼と水平尾翼、主翼のスリー・サーフェイスが特徴だ。
中でも最も印象深いのが、翼端が鋭く前方に向いた前進翼だ。
前進翼のメリットは無理に不安定な状態になる事が出来るので空中での格闘戦で有利に働くが、揚力と迎え角が増え続けるのでダイヴァージェンスという現象が起き、ある速度で翼が破壊されてしまうと言うデメリットも持つ。
そんな前進翼を持つ戦闘機が、この格納庫に収められていた。
それも1機では無く、複数機だ。
「そういえば空軍の報告によると、敵はT-50 PAK-FAまで持ってるらしいからな……」
「最新鋭機まで……どっから調達したんですかね……」
「俺の推測だけどな……要はクーデター軍が正規軍から奪取し、それを使用しているんじゃ無いかと思うぞ。PAK-FA使用部隊が寝返った可能性も考えられる」
ブル中尉の話は大方当たりだった。
このSu-47も、クーデター軍がグルーバキアの倉庫から奪取したものだった。
「こちらR-25、第4格納庫を確保した。繰り返す、目標確保、どうぞ」
『了解、何か見つかったか?どうぞ』
「Su-47とみられる戦闘機がある、この格納庫だけで……7、8、9機。他にもあるとみられる」
『了解、ガルシア島から輸送機がくる。その機体は差し押さえだ、掃討終了まで格納庫を守ってくれ』
「了解、アウト」
通信が切れる。
外では施設の制圧が終盤に差し掛かっていた。
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外の滑走路や飛行場は残骸だらけになっていた。
F-2JやA-10Cを迎撃しようとしていたのか、滑走路の端にはSu-37やMiG-35の残骸が燃え上がっていた。
兵器製造工場の守りは厳重で、最新鋭機が配備されていた様だ。
しかし、その離陸前にミサイルや爆弾で破壊されたのだろうか、空へと上がる前に無残に撃破されていた。
駐機場には機銃掃射を受けたのか、穴だらけになったSu-37やSu-35、MiG-35、Mi-8やMi-24Dなどのヘリまでもが横たわる。
航空機は脆弱で、戦車の様な装甲を持たない分、ライフル弾でも簡単に破壊されてしまう。
格納庫から頭を半分ほど出した状態で格納庫ごと潰されたSu-35もあった。
そんな飛行場を、4機のMH-47Gが降下して行く。
このチヌークに搭乗しているレンジャーの任務は、飛行場の制圧確保、そして敵撤退路の遮断だ。
入り口側から侵入した突入部隊のレンジャーに追われて、敵が飛行場側に逃げるのは当然である。
敵も抵抗してRPGを構えるものの、発射前にMH-47Gのガナードアに据え付けられたM240汎用機関銃によって薙ぎ払われる。
そのままMH-47Gはゆっくりと着陸、着陸した後部ランプドアからレンジャーが展開し、敵を包囲して行く。
敵の兵器製造工場は、あっさりと陥落した。
本当は「ミリヲタ」が詰まった時に投稿したかったのですが……流石に3ヶ月以上の更新が無いと私もまずいと思いまして……




