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7章第1話 継戦能力剥奪

ガルシア島空港。


ガルシア島空港は"チャスタイズⅡ"作戦時に比べれば静かだが、その静かな中で準備を行っている機があった。


AIM-9XとAIM-120D AMRAAMを装備する最新鋭ステルス戦闘機のF-35AライトニングⅡ。


ヨルジア連邦が開発したF-2AにSEAD任務遂行能力を付与し、AGM-88E AARGMと自衛用空対空ミサイルを装備したF-2Jワイルド・ウィーゼル。


AGM-65Hとハイドラ70ロケット弾ポッドを混合搭載し、最強の対地攻撃機と名高いA-10CサンダーボルトⅡ。


そのA-10CをCOIN機に改修したOA-10C。


制空戦闘機に爆撃能力を付与し、あのB-29を超える搭載能力を得たF-15EJストライクイーグル。


そして大陸間輸送機のベストセラーとして数ヶ国が採用しており、ヨルジア空軍の主力輸送機ともなっているC-17ERグローブマスターⅢ。


それぞれの航空機がミサイルや誘導爆弾、そして空挺部隊まで積み込んで行く。


その駐機場を歩く1人の男が居た。


アルヴィン・キャラハン、階級は大尉。

彼はF-35Aのパイロットで、今回の作戦で飛ぶ事になったパイロットの1人だ。


そんな彼の背後から、そっと近く影があった。


「せーんぱい♪」


そう言って誰かがアルヴィンの肩を強めに叩く、アルヴィンは振り向いて声をかけた。


「フルカワ……いや、"ライズ"か……」


「あら、クラーラって呼んでくれても良いんですよ?"ビーター"さん?」


アルヴィンを揶揄う様に話す亜麻色の髪の女性の名はクラーラ・フルカワ、階級は少尉だ。

"ライズ"とはクラーラのTACネームである、理由はアクロ飛行チーム"スカイ・フラッシュ"の演目である"サンライズ"という演目が1番好きな為、だそうだ。


因みにアルヴィンのTACネームは"ビーター"、高校の頃はバスケ部だったらしく、ブザービートをよく決めていた為。そしてバスケ部らしく彼も身長は高い方だ。


彼女もF-35Aのパイロットである、もちろん持っているヘルメットもJHMCSだ。


2人は世間話をしながら駐機場を歩く、遠目から見ればまるでカップルだが、決してそんな関係ではない。


この2人の所属は、第204戦闘飛行隊、F-35Aを20機ほど保有する飛行隊で、コールサインは"ジャスティス"だ。

垂直尾翼に刻まれたエンブレムも、天秤の中心で2本の剣がクロスしている物だ。


アルヴィン達の乗るF-35は他の戦闘機とは違い、風防(キャノピー)は前方を起点に後ろ側が跳ね上がる。

梯子(タラップ)を上がり、コックピットのシートに座る。


外部動力を借りて機体の電源を入れ、エンジンを始動させる。

空気を吸い込む高い音が、徐々にエンジンを回す甲高い音に変わり、外部動力を必要としなくなって高い音が消える。


F-35AのF135ターボファンエンジンは、1基だけだとしてもユーロファイターの2基の合計推力を凌ぐパワーを持つ力強いエンジンだ。


そんなパワーのエンジンが飛ばすのは、最新鋭のステルス戦闘機。


HMDの装備されているJHMCSを被り、酸素マスクのホースを機体と繋げてしっかりと着用、マスクに酸素が供給されている事を確認する。


整備員が梯子(タラップ)を外し、風防(キャノピー)を閉ざす。


薄い、とは言え飛行には支障が無い、ポリカーボネート製の風防(キャノピー)が前から降りて来て、外界とコックピットを隔離させる。


JHMCSのHMDを作動、バイザーの内側に情報が投影され、正面に機関砲用のレティクル、スイッチを切り替えてミサイル用のサークルが映し出される。


グラスコックピットの究極形と呼べる一枚のタッチパネルが前面の計器パネルで、大型ディスプレイに搭載兵装、レーダー情報、システム情報、航法情報などが映し出されている。


右手でサイドスティックの操縦桿を握り、左手でスロットルを握る。


『こちらジャスティス01(ワン)、ガルシア・タワー、指示を乞う』


無線を開き、管制塔へと繋ぐ。


『ガルシア・タワーよりジャスティス隊、ブリッツ隊が先に離陸する、タキシングを許可する。誘導路にて待機、2番目に離陸せよ』


Roger(了解)、タキシングし誘導路にて離陸を待つ』


フットブレーキを解除、エンジンの推力を少しだけ上げ、前進する。

傍で整備士達が敬礼で俺たちを見送る、俺はそれにサムズアップで返した。


右のフットペダルを踏み込み、垂直尾翼(ラダー)が右に切れると同時にステアリングを右へ、フットペダルは前脚(ノーズ・ギア)のステアリングと連動しているのだ。


エプロンに黄色い蛍光塗料で引かれた線に沿って滑走路へ向かう、途中でクラーラ機の前を横切り、誘導路へ、後方からはクラーラ機がタキシングして着いてくる。


前方の滑走路にはF-2Jの灰色の機体が、翼の下に真っ白なミサイルを吊り下げて待機している。


『ガルシア・タワーよりブリッツ・リーダーへ、離陸を許可する。風は上空3-0-8から6kt』


Roger(了解)、ブリッツ01(ワン)、ランウェイイズ・クリアー、テイクオフ』


02(ツー)、テイクオフ』


03(スリー)


04(フォー)、テイクオフ』


滑走路の端で準備を行っていたF-2Jに離陸許可が下り、返答をした順にアフターバーナーに点火、轟音と膨大な熱量を残して大空へと駆け上がる。


『ガルシア・タワーよりジャスティス・リーダーへ、離陸を許可する、滑走路へ進入せよ』


『ジャスティス・リードからタワー、離陸許可確認、滑走路へ進入する』


先程と同じ要領でタキシング、離陸位置に着くと一旦機体を止める。

ふと誘導路を見ると、俺たちの次に離陸するA-10Cが4機、待機していた。


思考を戻し、目視で主翼と尾翼の補助翼を確認、操縦桿を操りペダルを踏み込むと、パタパタとフラッペロン、ラダー、エレベータが動く。


全てのシステム・動作チェックが完了すると、再び無線を管制塔に繋ぐ。


『ランウェイイズ・クリアー、ジャスティス01(ワン)、テイクオフ』


そう離陸を宣言した直後、アルヴィンはスロットルを押し込んだ。

A/Bアフターバーナー点火、座席の後ろからエンジンの唸り声が上がる。


フットブレーキを解除、機体は滑走路を真っ直ぐ進み出す。


『ジャスティス02(ツー)、テイクオフ』


03(スリー)、テイクオフ!』


04(フォー)


アルヴィンの後から次々と、同じ飛行隊の仲間も離陸していく。

わずか数分の間で、4機のF-35Aが空に上がった。

上空でエシュロン編隊を組み、任務を果たす為に西へと向かった。


===========================


レギュラス国際空港、事務室。

陸軍第3レンジャー連隊や陸軍特殊部隊"シルバー・アローズ"、空軍特殊救難部隊"パラレスキュー(P)ジャンパー(J)"、空軍戦闘管制官"CCT"の拠点にもなっている施設だ。


チャスタイズⅡ作戦の時と同様、男2人が事務室でコーヒーを飲んでいた。

ノア・クリストフと、リョウ・アンダーソンである。


「お前、また出撃か?」


「あぁ、もちろんな」


ノア・クリストフはレンジャーの擲弾手(グレネーダー)、リョウ・アンダーソンは事務員である。


「俺も出撃したいんだよなぁ……」


「お前は元々事務員だろ?」


「バカ言え、伊達にレンジャー・スクールで訓練受けてねぇよ。列記としたレンジャーだ」


リョウはそう言ってコーヒーを啜る、この男、事務中はタバコを吸っているかコーヒーを飲んでいるかどちらかだ。


「ふぅ、それじゃ行って来るわ」


「気を付けてな」


出撃前の恒例のやり取りを交わし、ノアは出撃準備を行う為に待機場所へ。


格納庫の一角に、出撃準備を行うスペースがある。

この格納庫も、もともとは大型の旅客機などが格納されていたのだろう。

国外に持ち出されたのか、今は旅客機の姿は無く、MH-60MやMH-47G、CV-22Bなどの軍用回転翼機が駐機してあったり、HMMWV(ハンヴィー)や96式装輪装甲車などの装甲車が停めてある。


EAGLE CIRAS(サイラス)ボディーアーマーを身につけ、身体に合わせて固定。


4連マグポーチに5.56×45mmNATO弾の詰まったSTANAG弾倉を押し込み、左のカマーバンドにも押し込む。

使うライフルはM4A1 BlockⅣ、コルト社がBlockⅡを改修したモデルで、全レンジャーの相棒である。


今回のミッションでは、屋内戦となる為、擲弾手、SAW手なども関係なくM4A1を装備する。

そして照準器もそれに合わせて、EOTech(イオテック) EXPS3やM553などのホロサイトや、Aimpoint(エイムポイント) COMP(コンプ) M3ダットサイトなどの近接戦に適した光学照準器に換装してある。


「皆聞け!」


声の主に視線を向ける、今回の作戦でノアの分隊の指揮を執るブル中尉だ。


「今回の作戦は、迅速に兵器製造工場を強襲!目標を占拠する事だ!俺達は工場内部を制圧、これを制御下に置く。これでドラグーン帝国(奴ら)も継戦能力が低下するだろうな」


これまでも何度か、野戦弾薬庫や補給基地の襲撃を行なって来たが、今回は規模が違う。


何しろ、空軍の援護があるというそこそこ規模の大きな作戦だ。

それに、やはり敵もその工場を重要視しているのか、航空機を警戒して厳重なSAMサイトを敷いている。


更に衛星からの画像によると、滑走路には戦闘機が見えた、それ程厳重な警戒をしている、何かあるに違いない、という事だ。


「ハドソン少将の言う通り、相手の力を見縊るなよ、敵はテロ組織とは言え、かなりの練度と規模がある。全員生きて帰るぞ!」


「了解」

「了解」


各々が武器を持ち、ACHを被りヘリへと向かう。

小走りで飛行場に出ると、かなり多くのヘリが待機していた。


基地の周囲を包囲するCV-22Bが6機、飛行場を制圧、そして工場を占拠する部隊を乗せるMH-47Gが4機、狙撃部隊を降下させるMH-6Mが4機、更には空からの援護を行なうAOH-1BやAH-64Eなどの攻撃ヘリがローターを回している。


ブル中尉率いるR(ロメオ)-25(ツー・ファイブ)を乗せるのは、MH-60M"ブラックホーク"だ。


「ほら、乗れ乗れ」


ブラックホークに8人全員が乗り込む。


隊長のブル中尉。

副官のエドワーズ軍曹。

普段はSAW手をしているデリック軍曹とエイミー軍曹に、普段は擲弾手のエメリア・ホーキンス伍長。

ライフルマンのショウにトーマス、そしてノア。


ブル中尉は乗り込んだ事を確認すると、それをパイロットに知らせる。

キャビンドアに最も近いエドワーズが安全の為にワイヤーを掛ける。


管制塔の指示が下りると、R-25を乗せたブラックホークは、周囲のヘリと共に離陸していった。

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