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5章第6話 遭遇空戦

『どこからだ!』


『こちらスワロー02(ツー)!敵は山陰から出て来た!レーダーを欺いていたのか⁉︎』


『こちらスワロー01(ワン)、落ち着け!増槽を投棄して回避行動に移れ!死にたくなければ避けろ!』


ユニスはリーダーのその声を聴いて増槽投棄スイッチを入れる。


バスッ!と言う音と共に3本の増槽が一斉に投棄され、機体が身軽になり浮き上がる。


操縦桿を左へ倒す、機体が左へロールし、90度に傾いた所で元に戻し、手前に引くと旋回を始める。

旋回すると、死角に入っていたミサイルが2発見える。

死を運ぶ光球が自機より遥かに早い速度で迫って来た。


スロットルのスイッチを弾き、チャフとフレアを展開、熱源とレーダーの囮をばら撒いてミサイルのセンサーを欺瞞する。


ミサイルはAA-11"アーチャー"、2重の赤外線誘導方式を採用している為、フレア等の赤外線デコイの対策がされている。


『くぅっ……』


ユニスは腕に力を入れ、操縦桿を右へ倒して機体を連続でロールさせる。

視界はグルグルと左回りに回転し、慣性力で首は左に置いていかれそうになるが何とかこらえる。


今度は操縦桿を左へ、反対回転(ロール)しながらフレアを出す。

フレアは全方位にばら撒かれ、囮を作り出すが、AA-11は食いつかない。

左ロールを続けながらバレルロールに入る。


回転で酔いそうだが、ユニスの鍛えた三半規管は伊達じゃない。


自分の体重の8倍以上の重力がのしかかるが、もともとの体重の軽く、その上で訓練を積んだ彼女はその重力下でも適確・冷静に機体を操っていた。


激しい機動により進路が交叉してしまった2発のミサイル同士は互いにぶつかり合って爆発、無力化された。


旋回し、ミサイルが発射された空域まで戻る。

新たな不明機(アンノウン)_____いや、敵機(ボギー)を確認した。


『エターナル、こちらスワロー・リーダー!現在不明機(アンノウン)の攻撃を受けている!』


Roger(了解)スワロー、交戦を許可する、敵機を撃退せよ』


交戦許可が下りた、遠慮は要らない。

ユニスは目線を少し下げ、レーダー画面に向ける。

最も近い敵機(ボギー)は目視でも確認出来るMig-29だ。


山陰に隠れていたのはMig-29と25、そしてSu-27が大体2機ずつ位。


やれる、と確信したユニスはMig-29に狙いを定め、交戦に入る。


『スワロー03(スリー)交戦(エンゲージ)!』


エンゲージコール、無線ではエンゲージコールが次々と鳴る。


Mig-29とヘッドオン、正面からかかる。

操縦桿を左に倒し、左へ旋回。スロットルを吹かしてドッグファイトに突入。

機体後部に搭載された2基のF100-PHI-220Eエンジンが唸りを上げ、F-15CJに推力を与える。


背後を取り合い、Mig-29と旋回を繰り返す。

スロットルを少しだけ絞り、操縦桿を右に倒した。左旋回の繰り返しだった為、敵機の反応が少しだけ遅れる。

再びスロットルを全開に、一瞬左旋回に戻し、また右旋回。


上昇、降下。


敵機(ミグ)の後ろに着いた。

撃てる、撃つ。

HUDのボックスが敵機(ミグ)を追う円と重なる。

赤外線パッシブホーミングミサイル"AAM-3(シルバー・アロー)"のシーカーが目を覚まし、敵機(ミグ)のエンジン排気口から出る膨大な熱を捉えた。


FOX2(フォックス・ツー)!』


FOX2のコールと共に操縦桿のミサイル発射ボタンを押す。


右翼からAAM-3が飛び出し、蛇のように獲物に食らいつく。

ミサイルのロケットモーターは内部のロケット燃料をあっという間に燃やし尽くし、速度はM(マッハ)2.5にも達する。

スピードを得た銀の矢は、Mig-29に命中、右エンジンを完全に吹き飛ばし、尾翼と主翼をもぎ取った。

パイロットは脱出、機体と共に燃え尽きるよりはマシだろう。


上空で1つの爆炎の花が咲く。


『スワロー03(スリー)1機撃墜(スプラッシュ・ワン)


『こちらスワロー01(ワン)、1機撃墜』


『スワロー02(ツー)2機撃墜(スプラッシュ・ツー)だ!』


Mig-25 2機とMig-29 1機、Su-30MKが3機、Su-34 2機が残り、残った機は国境を越えて逃走を開始する。

撃墜したのはMig-29 1機とSu-27 2機、そしてSu-30MK 1機だ。


こう言った偶発的な衝突はほぼ日常茶飯事だ。

敵航空機との遭遇の場合、囮を飛ばす間に山陰に本隊を隠して囮に食いついた機を迎撃するのが向こうの常套手段となっている。


エターナルが何かを捉え、無線を入れてくる。


『スワロー隊、西の方角より、IFFに応答の無い機が高速で接近中だ。至急対応を』


Roger(了解)


全機が機体を操り、接近中の機体に機首を向ける。

機数は5機、真っ直ぐこちらへ突っ込んでくる。


『全機、中距離AAM(ダーインスレイブ)の発射準備をしろ』


Roger(了解)


戦闘態勢を整える。

AWACSとリンクしているレーダーに目標が被らない様にマークする。


『スワロー01(ワン)、FOX3!』

『スワロー02(ツー)、FOX3!』

『スワロー03(スリー)、FOX3!』

『スワロー04(フォー)、FOX3!』


各機が2発ずつのAAM-4を発射、暫く母機に誘導されたミサイルはある程度の距離で自身のレーダーが作動。

打ちっ放し能力のお陰で、発射後即離脱が出来た。

対して不明機(アンノウン)は中距離AAMを撃とうとはしない。


『無理やり空中戦に引き込む気だ……!』


5機の不明機はAESAレーダーを駆使し、イーグルの発射したAAM-4を全て交わした。

あの編隊、かなり技量の高い奴らだ……!

ユニスはそう確信した。


『こちらスワロー01(ワン)、敵はSu-35だ!』


『うわっ⁉︎マジかよ⁉︎』


スワロー02(ツー)が驚きの声を上げた。

Su-35はF-22を攻撃し、被弾させた事で話題になっている。

F-15では……対抗しきれないかもしれない。


否が応でも格闘戦に持ち込まれる。

格闘戦はSu-35の十八番だ、引きずり込まれるとマズイ。

しかも撤退したと思った奴らも戻って来ている。


Su-35からミサイルが発射される。

背筋が凍った、だが狙っているのはユニスじゃない、スワロー02(ツー)だ。

スワロー02(ツー)はフレアを放出、高熱原体を放ちミサイルを欺瞞しようとするが、AA-11は騙されない。

激しく回避機動を取り、何とか躱そうとする。


近接信管が作動、ミサイルが爆発し、破片がショットガンの様に弾ける。

ばら撒かれた破片の一部が、F-15の主翼と尾翼に食い込んだ。

しかし回避機動のお陰か、被撃墜は免れる。


『クソッ!こちらスワロー02(ツー)被弾!エマージェンシー(緊急事態)コール(宣言)!』


Roger(了解)、スワロー02(ツー)、基地まで戻れるか?』


『……何とか、戻れます』


『了解わかった、帰投しろ』


『スワロー02(ツー)帰投します(RTB)


被弾したスワロー02(ツー)が空域を離脱しようとするが、フランカーが追いすがる。

傷付いた仲間を更にやられてたまるか。

ユニスは旋回し、スワロー02(ツー)を追うSu-35に食ってかかる。


スワロー02(ツー)が射線に入らない様に気をつけながら、機関砲のトリガーを引く。


機関砲弾はSu-35のコックピット付近を掠め、敵機が回避に入る。

お陰で傷付いたF-15CJ(イーグル)は離脱出来たが、ユニスは2機のSu-35(フランカー)に取り付かれる。


スロットルを少しだけ絞り、左旋回。

相手も追ってくる。今度はエルロンに切って逆に旋回。


後ろを振り返ると、屹立する2つの垂直尾翼の間に2機のフランカーが見える。

よし、と自分に喝を入れ、一度水平飛行に戻す。


操縦桿を倒す、270度ロール、右へと旋回。

シザーズ、1機の後ろに着いた。

シーカー作動、HUD正面にフランカーを捉える。

円とボックスが重なり、ロックオン完了。


FOX2(フォックス・ツー)!』


AAM-3"シルバーアロー"が主翼下から飛び出した瞬間に右に旋回。

AAM-3は無事に敵機に食らい付き、機体後部を吹き飛ばして撃墜してくれた。


『もう……1機……!』


1機は撃墜したが、まだ1機が残っている。

急降下、シザーズにバレルロールを挟む。

"バーティカル・ローリング・シザーズ"と言う空戦機動でフランカーをオーバーシュートさせた。

敵の後方に着いた……!

距離は約720m、ガンキルしようと機関砲の引鉄に指を掛けた。

が、直後にフランカーが機首をもたげ、急減速した。


『ここでコブラなんてズルいよっ⁉︎』


驚きの余り声が出てしまう。

推力とベクタードスラストに任せて機種を持ち上げ、その場で急減速して敵機をオーバーシュートさせる"コブラ"はフランカーのお家芸だ。


降下中だったユニスは操縦桿を引き、なんとか高度を回復させようとするが、フランカーに頭を抑えられている。


そこで、ユニスはある事に気付いた。

フランカーが徐々に距離を詰めているのだ。


マニューバー・キルでも狙っているのだろうか、速度を出しつつ接近してくる。

ユニスにとっては好都合、旋回するだけで敵機は速度を抑えられずオーバーシュートしてしまうからだ。


ユニスはなんとか高度を上げ、水平旋回に入る。

これでオーバーシュートするはず……だが、まだ視界にフランカーは現れない。


一周の円を描き、振り向いたユニスの視界にフランカーの姿は無かった。

どこだ、と周囲を探す。


ふ、と影が出来た気がして上を見ると、上空から突っ込んでくるフランカーの姿が。


速度が出すぎているのはフランカーのパイロットも気が付いていた。

その為オーバーシュートせず、F-15(イーグル)を仕留められる様に"ハイスピード・ヨーヨー"をかけてきたのだ。


殺られる。


そう思った瞬間。


上空から光の雨が降り注いだ。

直後、Su-35(フランカー)が火を噴き、煙を曳きながら堕ちていく。


『……?』


ユニスは不思議に思うと、灰色の影が下りてきた。


『こちらブルームーン01(ワン)、危なかったな』


『ブルームーン⁉︎今までどこに居たんです?』


『こっちにも敵機が来ててな、PAK-FAだったが、皆追い返してたら対応に時間が掛かっちまった、すまない』


戦闘空域に、F-22A(ブルームーン)が合流した。

戦闘の流れは一変する。

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