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5章第4話 無人兵器討伐

作戦を立てたエドワーズ達がまずやった事は、6人の部隊を3つの班に分ける事だ。


エドワーズとエイミー


デリックとクリスタ


アーロンとエメリア


見つからない様に、無人兵器の周辺に散開、取り囲む。


「エイミー頼むぞ、お前が勝敗のカギだ」


「了解、任せてください!」


84mm無反動砲、カールグスタフM3にHEAT573対戦車砲弾を装填しながらエイミーが笑う。


無人兵器はずっとその場に居るわけでは無く、獲物を求めて常に移動している。

それに合わせて、エドワーズ以下2-5(ツー・ファイブ)も移動し、適切な位置を探る。


常にあのモーター音と四つ脚が地面を踏む油圧の音が聞こえる距離にあの鉄の猟犬が居るのだ、もし攻撃が外れれば猟犬はこちらに牙を剥く。


エドワーズが路地から出ようとした時、驚愕の表情を浮かべる。


大通りを、2体目の無人兵器が我が物顔で歩いていく。

あんなのが2体も居るのか⁉︎


とっさに隠れてやり過ごし、部隊の全員に無線を入れる。


2-5(ツー・ファイブ)各員良く聞け!2体目が現れた!繰り返す、2体目が現れた!だが俺達に2体同時に相手をする暇も火力も無い、1体を倒したら2体目に見つからないウチに撤退するぞ!」


『了解』


『了解!』


各班からの返信を待ち、返信が来次第また移動、KZ(キルゾーン)で待機する。


「こちらにE(エコー)KZ(キルゾーン)到着」


『こちらD(デルタ)KZ(キルゾーン)、位置に着いた』


『こちらA(アルファ)KZ(キルゾーン)到着、どうぞ』


3班全てが攻撃位置に着く。


「良いか、タイミングを合わせる……カウント、5、4、3……」


2……1……


バシッ!

シュタァン!シュタァン!


1発の.338Lapua Magと、2発の7.62×51mmNATO弾が頭部カメラを潰す。

更にもう1発の.338Lapua Magが首元を直撃し、奴の動きが止まる。


アーロンとクリスタが狙撃し、頭部のカメラと頸部の配線を破壊したのだ。

一瞬だけ動きが止まる無人兵器。


デリックが無人兵器の後方50mの路地から飛び出し、パンツァーファウストⅢを構える。

プローブを伸ばした対戦車弾の引き金を引くと、発射器の後方からカウンターマスを噴き出し、ロケット推進で弾頭が飛翔する。

デリックは命中を確認する間も無く路地へ戻るのと、無人兵器が反応するのは同時だった。


バルルルルルルルルルルル!


無人兵器に搭載されたコンピューターが後方からの脅威に気付き、頭部がデリックの方を向いて搭載された7.62mmガトリング機関銃が弾丸の暴風を浴びせる。


弾丸は空中を飛翔するパンツァーファウストⅢの弾頭に命中、撃墜した。

しかし、無人兵器がパンツァーファウストⅢの弾頭に反応した瞬間、エイミーは動いていた。

前方40mの路地から飛び出し、カールグスタフM3を構える。


バコン!


バックブラストを噴いて反動を相殺したカールグスタフM3にHEAT573が、パンツァーファウストⅢ以上の速度で無人兵器に迫る。


パンツァーファウストⅢを迎撃した機銃付き頭部が戻る瞬間、砲弾は無人兵器に命中。

弾頭の凹みに圧力が集中し、その内貼りの金属が爆圧によって金属流体(メタルジェット)となり、それがマッハ20以上の速度で無人兵器を貫通した。


味方部隊を壊滅に追い込んだ無人兵器は、ただの燃え盛るスクラップへと変貌したのだった。


『ぃよっしゃぁ!』


「やったぞ!」


ついでにエメリア伍長が40mmグレネード弾を頭部に撃ち込んで確実に止めを刺す。

1度集合した2-5は離脱へと入る。

通りを渡りエドワーズの場所へ集合する。


「よし、本隊まで撤退、合流する」


「「「了解」」」


道を引き返し、大通りを渡る。

殿のデリックが渡り切り、路地に入る寸前、新たな銃撃が道を凪いだ。


バルルルルルル!


「⁉︎デリックさん!」


「よせ!」


エメリアが路地を飛び出し、エドワーズの制止を聞かずにデリックの援護に入る。

銃撃の原点に向かって数発、それから40mmグレネード弾を発射して援護する。


「おい大丈夫か⁉︎」


「大丈夫だ、問題ない!」


「こっちも大丈夫です!」


デリックは無傷、エメリアも負傷していない。

2体目が追ってきた。


「逃げるぞ!本隊まで下がる!」


「本隊って、車輌は全部撃破されてますよ!」


「負傷者も多数!味方を危険に晒すだけだ!」


路地を走りながらどこまで後退するかの議論が続く。

味方の方まで戻れば、追って来た無人兵器を満身創痍の本隊と共に迎え撃たねばならず、味方を危険に晒す。

かと言ってここで立ち止まれば、分隊が全滅する。


「くそッ!ならどこまで……」


「エドワーズ伏せろ!正面だ!」


バルルルルルル!


2体目は大通りから現れたが、それとは違う新たな攻撃。

3体目が出現したのだ。


しかも路地から現れた為、エドワーズの分隊は大通りの交差点陰で立ち往生してしまう。


挟まれた……


全滅を覚悟した瞬間、突如無人兵器の矛先が上に向いた。

目の前の無人兵器は上空へ向かってガトリング機関銃を連射するが、間を置かずに爆散する。

上空から対戦車ミサイルが降ってきたのだ。

後方の無人兵器にも、弾丸の雨が降り注ぐ。

近くに大き過ぎる薬莢が落ちてきた。

上を見ると、味方の航空支援が居たのだ。

AH-64Eガーディアン・アパッチである。


『2-5、こちらキラー21。大丈夫か?』


「こちら2-5、エドワーズ。良かった、助かったよ」


エドワーズ達は、ふぅ……と一安心して息を吐く。


『こっちは援護する。回収のヘリが本隊へ向かっているから後退しろ』


「了解、サンキューキラー」


『2-5、こちら6-4。回収のヘリが後5分で到着する。直ぐに戻れるか?』


「ええ、その位置から2ブロックの位置に居ます。直ちに戻ります」


『そうか、そっちは無事か?』


「全員無事です」


本隊の方は、回収の為のヘリが向かっている様だ。

無線を切り、本隊に戻る為に歩き出した。


===========================


本隊では、攻撃され走行不能等、使い物にならなくなった車輌の機密保持の為、戦闘工兵が車輌の爆破を行い、2機のMH-47Gが大通りに着陸。

本隊の生存者と負傷者、戦死者を回収していた。

上空では攻撃ヘリが援護の為飛び交っている。


「エドワーズ軍曹!」


回収ヘリのMH-47Gに近づくと、本隊を指揮していたブル中尉が歩み寄る。

エドワーズは敬礼で迎えた。


「大丈夫だったか?」


「ええ、大した怪我はありません。我々だけで1体を撃破しました」


「そうか凄いな!おめでとう!……いや……皆も良く生き残ってくれた!」


ブル中尉はエドワーズと握手する。


「ええ……でも戦死した本隊の仲間は……残念です」


「そうだな……」


損害を受けた車輌の爆破が終了する、数少ない無事な車両はレンジャー隊員が運転して帰る。

後はエドワーズ達がヘリに乗るだけだ。

指示を受けてヘリに乗ると、後部ランプを閉じながらMH-47Gが離陸した。


===========================


「でさ、銃口が向いた瞬間、ブワァ〜って毛が逆立ったけど、ここで死んでたまるか!って思って何とか逃げたんだ。あいつにパンツァーファウスト向けた時なんて、一瞬が凄く長く感じたよ」


帰投した後、夕食の場でデリックが周りの仲間に話す。

しかし、突然神妙になり。


「でもまぁ……殺られた本隊の仲間達は……悔しいよ……仇を討ってやれたら良かったんだが、あいつは無人兵器だ」


既に上位の部隊に無人の4足歩行兵器の存在は報告し、上官もそんな兵器が存在したのかと驚いていた、中にはまだ信じていない上官もいる。

自動索敵して無差別攻撃を仕掛ける無人兵器というSFじみた話は信じたくないのは確かだが、エドワーズ達はその目でしっかりと見たのだ。

決して精神錯乱の幻覚なんかじゃない。


おそらくあの街が無人になっていたのは、あの兵器の実験場だった事だと思う。

誰だって自動索敵の無人兵器に殺されたくはない。


ビュッフェ形式の食堂で各員が好きな物を取って盛り付け、席に着く。


エドワーズも自分のトレーに盛り付けをし、席を見つけて座る。

デリックが向かい側、その隣にエイミーが座る。

エドワーズの隣にはエメリアが座った。


4人は互いを労いあい、夕食を食べ始めた。

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