4章第12話 Operation GONG〜攻勢〜
独特のエンジン音を響かせて飛行するA-10Cの編隊、その更に上空にはエア・カバーに就くF-15CJとF-2A 4機ずつの編隊もいる。
陸軍より支援要請を受け、目的地まで飛行する。
『ムーンライトよりアヴェンジャー・リーダー。目標は依然進行中、交戦を許可する。速やかに敵車輌部隊を排除されたし』
『了解、目標を発見次第、攻撃に移る』
地上索敵を行うE-8 J-STARSからの通信が入る。
E-8は攻撃隊に先行し、敵の情報を掴んでいた。
200輌以上の戦闘車両に加え、Su-25対地攻撃機が8機とMi-24Dハインド攻撃ヘリコプターが8機、Ka-52アリゲーター攻撃ヘリコプターが6機、Mi-28ハヴォック攻撃ヘリコプターが4機も飛んでいるらしい。攻撃機やヘリコプターはもっと後方に居るらしく、まだ味方と接触していない。
『こちらウィザード01、中距離AAMで出来るだけ攻撃機を排除する。AAM-4の発射準備に入るぞ』
『了解ウィザード、助かるぜ』
『こちらトライデント・リーダーよりウィザード、トライデント隊はヘリを攻撃する。攻撃機は任せた』
『了解任された!』
上空を飛ぶF-15CJとF-2AがAAM-4の発射準備、レーダー上の敵機をデータリンクを介してそれぞれの目標が重複しない様に"マーク"する。
敵編隊との距離は40nm、有効射程距離50nmのAAM-4には十分に射程距離内である。
『ウィザード各機、FOX3!』
『トライデント各機、FOX3』
まずは1発、続いて2発が各機から発射される。
AAM-4はM4のスピードで敵との距離をあっという間に詰め、敵のレーダー警報がなる頃には18nmの位置まで迫っていた。
攻撃機やヘリは電子妨害装置を搭載していなかった為妨害電波を出してミサイルをジャミングする事が出来ず、激しく回避機動をとる。
しかし、高度・速度共に有利な位置から発射されたミサイルを避けきれた機の方が当然ながら少なかった。
Su-25は6機が撃墜され、2機が残る。
Su-25よりも更に速度の遅い攻撃ヘリには全弾が命中、Mi-24Dが残り5機、Ka-52が残り3機、Mi-28が残り2機となった。
『こちらムーンライト、敵近接航空支援機が1分で味方上空に到着する。高射砲兵は対空戦闘用意』
『クソッ、撃ち漏らしたか……』
『大丈夫だ、味方の高射部隊が叩き落す』
そしてほぼ同時に
『アヴェンジャー・リーダーより全機へ、目標視認!』
地上を土煙を上げて爆走する機甲部隊が姿を現し、ルーデル少佐はニヤリと笑った。
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『こちらムーンライト、空軍の撃ち漏らしのCAS機がそちらに向かった、高射部隊は対処せよ』
「了解!」
海岸の頭堡から進出し防衛線を構築していた高射部隊に通信が入る。
地上主力部隊をカバーする高射部隊には96式装輪装甲車ファミリーの1つである04式機動高射砲と、見た目から"ガンタンク"と呼ばれる87式自走高射機関砲が配備されている。
04式機動高射砲は、96式装輪装甲車の屋根に索敵レーダーと追尾レーダーを一体化させたレーダーユニットと、武装に25mmガトリング機関砲"イコライザー"とスティンガー発射機を備えた国産の車輛である。
優れたレーダーユニットとガトリング機関砲の弾幕によって、飛行してくる攻撃機やヘリコプターはもちろん、巡航ミサイルや対戦車ミサイル、落下してくる爆弾までにも対処可能なのだ。
87式も近代化改修が施され、砲塔傍にスティンガー発射機が取り付けられている。
足の速い攻撃機が先に到着。
Su-25のパイロットはニヤリと笑い、操縦桿の爆弾投下ボタンに指をかける。
投下されたFAB-250 250kg爆弾はヨルジア陸軍と海兵隊の頭上に降りかかり_____空中で次々と爆散する。
「なっ⁉︎」
一時離脱、爆弾は明らかに空中で爆散している。
地上では高射部隊が頑張っていた。
そこら中で25mm機関砲と35mm機関砲の砲声が轟く。
1機のSu-25が地上にロケット弾を連射するが、04式機動高射砲のレーダーは脅威度の高い目標を自動で選別し、迎撃を開始。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!ヴヴヴヴヴヴヴ!
味方や自分の車輛に当たる可能性のあるものから撃ち落としていき、全弾迎撃とはいかないものの、迎撃出来なかった他数発は被害の出ない地面に突き刺さって爆発した。
ヨルジア陸軍の驚異の近接防空能力に驚いていたSu-25は、1機は87式自走高射機関砲の35mm弾が主翼を撃ち抜いて撃墜、もう1機は地対空ミサイルの餌食となった。
高射部隊の目標は、次の攻撃ヘリコプター群に移っていた。
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『アヴェンジャー01よりアヴェンジャー全機へ、俺に続け!』
『『『Roger!』』』
ルーデル少佐が降下、機首が下方を向く。
『アヴェンジャー01、ライフル!』
『アヴェンジャー02、ライフル』
『アヴェンジャー03、ライフルッ!』
8機のA-10が次々ライフルをコールする。
同時に翼の下に装備されていたAGM-65マーベリックが各2発ずつ発射され、対空車輛を優先的に破壊する。
ルーデル少佐は操縦桿を引いて上昇、旋回して再び機首を敵に向ける。
高度4000ftで攻撃進入する。
『Bombs away!』
ガコッ、と翼の下の爆弾が一斉に外れる。
他の機も同じ爆弾を投下する。
投下したのはCBU-97 SFW_____子弾1つ1つにセンサーと誘導装置がついたクラスター爆弾だ。
1機につき4発、計32発が投下され、空中で爆薬によって外殻が3つに割れて中から10個のキャニスターがパラシュートで降りてくる。
敵車輛部隊の頭上に満遍なく降りてくるキャニスターは、高度が低くなるとロケットモーターに点火して回転しながら上昇、"スキート"という子弾をキャニスター1つにつき4発ばらまく。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド!
"スキート"に着いている赤外線センサーとレーザーセンサーが敵の戦闘車両を捕捉すると、捉えた車両目掛けて"スキート"が自らのロケットモーターに点火、自己鍛造弾となり敵車両に降り注ぎ突き刺さる。
1発で理論上は機甲師団を丸ごと壊滅させる性能をもつSFWだが、実際にそんな効果が発揮される事は少ない。
32発のSFWから320個のキャニスターが分離、1200発を超えるスキートが敵車両に降りかかったが、センサーが捉えた目標の重複や捉えられなかったセンサーもあり、実際に破壊出来た車輛は戦車82輌とBMP75輌だった。
更に追い討ちをかけるようにMk82通常爆弾を全て投下、航空支援だけで90輌の戦車と80輌のBMPが撃破された。
残りは地上部隊の要請に合わせてミサイルと機銃掃射による支援を行えば良い。
『そろそろ砲撃支援が始まる、砲兵に任せよう』
『了解』
"破壊神"の活躍はまだまだ続く。
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「撃てェ!」
ダコン!ダコン!ダゴン!ダゴォン!
元々揚陸していた陸軍砲兵大隊の99式自走155mm榴弾砲と、海兵隊第1砲兵大隊のM109A6パラディン、それから急遽揚陸されたCH-47やCH-53K等大型ヘリはおろか、MV-22やUH-60等中型輸送ヘリで輸送可能なM777A2 155mm榴弾砲が隊列を組んで火を噴いた。
MLRSはまだ揚陸艦内に残っている為頭堡には無い。
『初弾命中、同一諸元、効力射始め!』
観測ヘリのOH-1Bからの弾着観測の通信、初弾から命中されたのはヨルジア陸軍砲兵隊の訓練で磨いた技術が高いからだ。
砲兵の腕の見せ所である。
絶え間なく155mm砲弾を浴びせる為、20輌の99式自走155mm榴弾砲と20輌のM109A6パラディン、M777A2が時間差で火を噴く。
砲弾が空を裂き、敵の車輛部隊に襲いかかる。
真上から落下してくる砲弾には、流石の戦車も耐えられない。
直撃弾を受けた戦車は次々と破壊されていく。
流石に至近弾では戦車も耐え、爆発反応装甲が爆発するだけに留まる。
しかし戦車よりも薄いBMPには至近弾でも効果を発揮した。
少しずつだが確実に、車輛の数を減らしていく。
退避が遅れたのか、Mi-24DとKa-52が1機ずつ砲撃に巻き込まれて墜落する。
その退避したヘリを狙い、高射部隊が12式地対空誘導弾を発射。
それに加えて87式自走高射機関砲の35mm機関砲KDAと04式機動高射砲の25mmイコライザー機関砲の弾幕が退避したヘリに襲い掛かる。
濃密な対空砲火により、敵のヘリ部隊に対戦車ミサイルを発射する隙を与えない。
そこへ洋上の揚陸艦から海兵隊のAH-64DJアパッチ・ロングボウ攻撃ヘリコプターが到着した。
武装を取り付ける小翼_____スタブ・ウィングの翼端に装備されたスティンガー空対空ミサイルで敵のヘリを攻撃する。
それに加え揚陸艦から出撃したF-35BとAV-8B+が上空援護の為に駆けつけた。
ヘリと海軍攻撃機、それと高射部隊の連携により、敵の攻撃ヘリは全機撃墜された。
海軍攻撃機と味方のヘリ部隊は補給の為揚陸艦へと戻る。
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『来たぞ!』
上空を飛行するE-8J-STARSから敵の現在の情報が入る。
250以上居た敵機甲部隊は、戦車が残り50輌とBMP残り10輌程度まで減らされていた。
続いている砲兵大隊の砲撃支援と前段階の空軍の猛烈な航空支援のお陰である。
全面で隊列を組み、敵機甲部隊との交戦に備えるのは1個中隊ずつの90式戦車とM1A2エイブラムス、89式装甲戦闘車とM2A3ブラッドレー。
そして機動戦闘中隊から4輌の01式対戦車戦闘車と10式機動戦闘車、海兵隊のM1134ストライカーATGMとM1128ストライカーMGSだ。
量を考えれば敵は未だ圧倒的な戦力を残していた。
それでもこの少ない戦力でヨルジア軍が布陣出来るのは質の高い航空支援があるからだ。
向こうの航空支援の為の近接支援機と攻撃ヘリコプターは全機が撃墜されている。
敵の戦闘集団が戦車砲の射程内に入る。
『撃てェ!』
陸軍の90式戦車の搭載するヨルジア製鋼所製の44口径120mm滑腔砲が火を噴いた。
空中でサボットの外れたAPFSDSは先頭を切るT-80の砲塔正面に命中、弾薬庫まで達して砲塔を吹き飛ばした。
M1A2もM256 120mm滑腔砲を唸らせ、T-90を撃破する。
高性能FCSによって次々と屠られていく敵戦車だが、今度は向こうが反撃に出る。
戦車数輌が被弾、うち1輌は砲塔の隙間に命中して炎上する。
『クソッ!ゴーレム2-4が殺られた!』
M1A2 1輌が敵戦車の砲弾の餌食となる。
加えてT-90が90式戦車にAPFSDSを発砲し、履帯に被弾、切れて行動不能になる。
10式機動戦闘車とストライカーMGSがBMPに105mm砲の砲撃を浴びせ、BMPを破壊していく。
『RPGだ!』
BMPから歩兵が降車、撃破された戦車を盾にRPGを発射してくる。
RPG射程外からの攻撃な上狙いも定まっていない為、幸いな事に命中する事は無かったが、戦車がどんどん前進してくる為押され気味だ。
その時、目の前でT-90が真っ二つになる。
『待たせたな!ルーデル飛行隊のお出ましだ!』
ヴェルナー・ルーデル少佐率いる8機のA-10Cの航空支援が駆けつけた。
4km先から戦車を切り裂く30mm機関砲により、上空で無双乱舞するA-10。
時折味方に近い位置にいる戦車に向かって30mm機関砲では無く残っているAGM-65マーベリックが発射され、的確に戦車を撃破していく。
早々にミサイルの残弾が尽きたルーデル少佐は敵に30mm機関砲の嵐を浴びせ、戦車を燃える金属塊に変える。
操縦桿を引いて旋回、ささやかな抵抗かこちらに向けてAKを発砲する敵が生きているBMPの近くに数名見える。
機首をそちらに向け、機関砲の引き金を引く。
バヴヴヴヴヴヴゥ"ゥ"ゥ"ゥ"ゥ"ゥ"!
30mm機関砲は発砲する敵兵を血煙にし、BMPをスクラップにした。
流石に被害が大きすぎると判断したのか敵の戦車隊は撤退を開始するが、撤退中のT-72が撃破される。
『こちらストーンヘンジ1-1、交戦を開始する!Panzer vor!』
陸軍と海兵隊合同でエドヒムから進軍してきたヴィットマン達がここで合流した。
M1A2と90式戦車は敵戦車を狙い、M2A3と89式装甲戦闘車はBMPを狙う。
勢いに乗って頭堡防衛部隊も前進、敵を更に追い込む。
混乱する敵は統率を失い散り散りに逃走を開始するが、どの敵車輌もルーデル少佐の機関砲の餌食になるか、ヴィットマン達の砲の餌食になるか、頭堡防衛部隊の餌食になるかどれかの末路を辿った。
最後にはヨルジア陸軍がダメ押しとばかりに対戦車ミサイルを満載したAH-64Eを投入、敵機甲部隊はただ1輌の車輌も残さず全滅させられた。
航空部隊が最初の交戦を開始してから約40分程度の事だった。




