4章第10話 Operation GONG〜午後の部〜
空軍が午前中の作戦を終えて帰投、ガルシア島飛行場に戻って来た。
ほぼ同時に、ヨルジア本国から爆撃機が到着。B-2A 2機、B-1B 4機が本国に残るF-22Aの護衛を受けてガルシア島飛行場に着陸した。
兵装は既に満載、エンジンを掛けっぱなしで燃料の補給だけを行う。
「いつ見てもでけぇなぁ……」
「あぁ、空飛ぶ黒いハンペンだ……」
フリーダムとブランがB-2を眺めながらそう漏らす。
同じハートホード空軍基地でも、B-2がお目にかかれる機会は少ない。
良くて航空祭と共同作戦、演習の時だけだ。
昼飯は既に済ませてあるため、出撃準備が整い次第出撃するだけだ。
午後の空軍の仕事は爆撃機での爆撃とその爆撃機の護衛、午前中の作戦で反撃準備を整えている敵車両への攻撃だ。
A-10C攻撃機も本国から到着し、更なる攻撃を仕掛ける。
出撃時間だ。
パイロットはそれぞれの機体に乗り込み、エンジンスタート。
機体の各計器をチェック、異常が無いか確かめてから風防を閉める。
エンジンが徐々に暖まり、離陸準備が整う。
離陸許可が出た隊から、順番に滑走路に入って空へと飛び立っていった。
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『こちらガルシア・タワー、B-2が離陸。コールサインは"ダガー01"だ。以降、管制をエターナルに譲渡する。グッドラック』
『Roger』
2機のB-2の護衛はミーティア隊が担当する。
目的は敵空軍基地への爆撃だ。
もちろん正面からぶつかり合うわけにはいかないので、囮としてヨルジア空軍のF-15E 4機とF-15C 4機の編隊と、F-35A 6機とF-2A 8機、B-1B 2機の編隊を別方向から侵入させる。
B-2の攻撃を確実に遂行させるため、二重の囮をかけるのだ。
もちろん、囮の編隊にはそれぞれブルームーン隊のF-22Aが着く。
作戦開始、航空機編隊はそれぞれの目標に向かった。
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その上空に上がった航空機の中に、異様な雰囲気を放つ機体があった。
第2次大戦時の機体の様な直線翼。
胴体上方左右に剥き身で存在するジェットエンジン。
先端の丸い機首とその機首に取り付けられている大口径の機関砲。
翼の下には大量の爆弾とミサイルが搭載されている。
A-10CサンダーボルトⅡだ。
独特のエンジン音を響かせ、獲物を求めて飛んでいく。
そのコックピットに座っているのは_____ヴェルナー・ルーデル少佐だ。
『さァて、行くぞお前等!』
『Roger!』
『上空にはF-15CJとF-2Aが空対空装備で張り付いてるから、攻撃に集中出来るぜ!』
作戦は8機のA-10で敵の輸送車列と機甲部隊を攻撃する事だ。
現在派遣されているA-10は12機だが、残りは別の作戦がある。
翼下の武器ステーションには、着陸脚外側のパイロンにAGM-65G/Hマーヴェリック対地ミサイルが、改良されて信頼性の向上したLAU-117 3連装ランチャーに6発取り付けられている。
着陸脚内側のラックには3連ラックを介してMk82自由落下通常爆弾が計6発。
マーヴェリック対地ミサイルの外側のラックにはCBU-97 SFWが計4発搭載されている。
左主翼外側のパイロンにはECMポッドが、右主翼外側のパイロンには自衛用にAAM-3"シルバーアロー"赤外線パッシブ短距離空対空ミサイルを2連ランチャーを介して搭載している。
午後からの作戦には爆撃機と攻撃機が投入され、午前中の作戦で空けた防空網の穴を更に広げ、敵航空機の脅威を味方の制空戦闘機が排除し、攻撃隊が浸透する。
もちろん他国の戦闘機や攻撃機も、飛行場の直掩を残して出撃した。
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「急げ!迎撃準備だ!」
海岸に頭堡を築いていた陸軍と海兵隊が慌ただしく動き始める。
きっかけは30分前、敵の大規模機甲戦力が我が軍めがけて反撃に出ようとしているとの情報が空軍の無人機によってもたらされた事だった。
その数、何と250輌以上。
T-72とT-80を中心とした戦車150輌、BMP-2とBMP-3が100輌、10数輌の対空車両だ。
どこから掻き集めたのか、中にはT-90も確認されていると言う。
対して現状あるヨルジア軍の池上戦力は、90式戦車28輌、海兵隊のM1A2エイブラムス28輌、IFVが38輌、その他装甲車が60輌に砲兵2個大隊だ。
装甲車には非武装のHMMWV等も含まれている為、実質戦力になるのは100輌程である。
戦車の数は圧倒的に少ない為、戦力が拮抗しているとは言い難い。
この戦力で対抗するには、航空機の支援が必要だ。
揚陸した指揮官や隊員達は、こんな絶望的な状況を打開する為に準備を進めた。
ここに到着するまでは、まだ1時間半程時間がある。
Operation GONG、午後の部が始まる。
B-2A:世界一高価な爆撃機。同重量の金より高いとか、イージス艦1隻より高いとか言われるが大体合ってる。
ヨルジア空軍は4機を保有している。
A-10C:ヨルジア空軍が保有する攻撃機。
低速低空での旋回性能はどんなジェット機よりも高い。
第2次大戦機のような直線翼と2つの大きなジェットエンジンが特徴的。
翼の2/3を吹き飛ばされたり、被弾でエンジンが片方ぶっ飛んでも平気な顔で帰ってくる位には頑丈、何と全面風防は23mm機関砲にも耐えるという。
4km先から戦車を真っ二つに出来るアヴェンジャーを運ぶ為に飛ぶ。




