4章第2話 集結
途中友軍機の空中給油支援があり、4時間程の飛行でリドリス共和国・ガルシア島に着陸した。
ガルシア飛行場は、3200×60mの滑走路が2本あり、北側ステーションと南側ステーションに分かれている。
ヨルジア軍の管轄区域として貸与されたのは南側ステーションだ。
広いエプロンに空軍の戦闘機が飛行隊毎に纏まって駐機する。
反クーデター派リドリス空軍の生き残りは南側ステーションに集まっている。
Mig-25が8機、Mig-29が6機、F-5Eが7機、F-16Cが5機の26機だ。
そして更に滑走路に進入して来る機体が4機居る。
ヨルジア空軍所属のC-17ERだ。
衛星奪還作戦でも活躍したこの機には、飛行場警備部隊と航空機の整備士が搭乗している。
最初に投入される戦力は海軍海兵隊600人だ。
着陸した4機はエプロンに入り、兵員と車輛を下ろす。
警備の為に海兵隊がヨルジア空軍機の周囲に(特にF-22Aラプターの周囲に)展開し、派遣部隊の司令官がリドリス空軍の生き残った司令官に挨拶し共に庁舎に入っていく。
戦闘機のパイロット達はヘルメットを取り、機体を降りた。
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パイロット達は初めて感じる"戦場"の空気に様々な感情を抱く。
フリーダムは飛行隊仲間のブランと一緒にリョウ中尉____TACネーム・マックのもとを訪れた。
「よっ、マック」
「おう、フリーダムか」
「お疲れ」
「ようブラン、この前はお疲れ様だったな」
タックネームの由来は、某ハンバーガーショップにパシられた際に持っていた紙袋の量が半端ではなく、隊員達にからかわれたから。
3人とも"実戦"は初めてではないが、こうした海外派遣は初めてだ。
「あっ、お、おい見てみろ」
ヒロトが何かに気付き、指差す。
明らかに周りの海兵隊員とは違う雰囲気を醸し出す兵士数10人が庁舎へ入っていく。
腕につけたパッチには、銀の矢が描かれている。
「シルバー・アローズ……特殊部隊だ……」
シルバー・アローズ
ヨルジア陸軍の精鋭特殊部隊であり、陸軍最強の戦闘集団でもある。
内部はA中隊、B中隊、C中隊と通信小隊、武器小隊といった風に分かれているが、公開されていない"D中隊"という極秘部隊があるという噂がある。
"D中隊"が存在するかどうかとういうは軍上層部どころか政府も認めていないので、未だ噂の域を出ない。
部隊章には名前の通り"銀の矢"が描かれており、A中隊の場合は背後にアルファベットの"A"が、B中隊の場合は背後に"B"が、C中隊の場合は背後に"C"が描かれている。
中隊毎に名称も異なり、A中隊の場合は"シルバー・A"、B中隊は"シルバー・B"、C中隊の場合は"シルバー・C"といった具合だ。
今回ここに入った部隊は市街地・室内戦闘得意とする"シルバー・A"だ。
「特殊部隊も投入されてんのか……」
「特殊部隊だけじゃないよ」
上から声が降ってきた。
いつの間にかF-22の近くまで歩いて来ていたらしく、ツバサ少尉がラプターの梯子から飛び降りる。
「さっき聞いた話だけど、陸軍内ではレンジャー資格を持つ隊員を集めて"レンジャー大隊"を編成するらしいね」
「んで、"シルバー・アローズ"と"レンジャー大隊"を合わせてタスクフォースを組織する訳か……」
「おーい!ブリーフィング始めるぞ!全員集合!」
遠くでミラー少佐が手を振る、どうやら今後の予定についての会議があるらしい。
「悪いなマック、また後で」
「おう、また後でな」
そこでマックとは分かれ、3人はミラー少佐の下へ走った。
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出航した海軍は4日後、ガルシア島軍港へと到着。
"ドラグーン帝国"戦闘機が港を爆撃しようと出撃したが、当然護衛に上がっていたヨルジア空軍と空母から上がった海軍の戦闘機や他国_____エリーザやF-15Cやレイレガリアのユーロファイターで追い返し、尚も爆撃コースに入ろうとする機は敵機と見做し、撃墜した。
工作部隊等の妨害も受けず、無事にヨルジア海軍は陸軍や海兵隊部隊の揚陸を終えた。
もちろん、揚陸したのはヨルジア軍だけでは無い。
フランデンベルグ連邦共和国の海兵隊やレイレガリア共和国の陸軍、エリーザの陸軍派遣部隊なども揚陸し、各隊は前線基地を構築した。
各国の海軍はガルシア島沖100kmの海上で国ごとに艦隊を組み、待機に入った。
ヨルジア海軍は原子力航空母艦CVN-22以下6隻の空母打撃群と、強襲揚陸艦LHA-06以下11隻の遠征打撃群を展開させている。
FOBの構築と部隊編成、作戦会議は3日で終了した。
戦いの鐘は、鳴り始めていた
次回は来週、4/22 18時の更新です!




