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3章第12話 平和が崩れる音

フィミニア空軍基地 16:55


アラートハンガーのサイレンが鳴り響く。

スクランブル5分待機に就いていたパイロットが整備士と共に駆け出し、F-22に座る。


2人の名前はエルヴィン・ハルトマン大尉と、レオンハルト・バルクホルン大尉。

今回はエルヴィン大尉がリーダー機、レイピア1-1、レオンハルト大尉がレイピア1-2でアラートに就いていた。


2人はコックピットに着席し、ヘルメットと酸素マスクを装着する。


エンジンを始動させると、アラートハンガー内を徐々にエンジンの甲高い音が満たしていく。


エンジンの回転数が安定し、整備士にサインを送る。

整備士はタイヤ止めとミサイルの安全装置を解除し、サインを返す。


ブレーキを離し、エンジン出力を上げて駐機場(エプロン)をタキシング、その間に管制塔からの無線が入る。


『こちらフィミニア・タワー、旅客機全機の離着陸を待機した、離陸を許可する、Wind(風は) 0-0-5 (北を起点に5度) at(から)3(3kt)


了解(ラジャー)国籍不明機(アンノウン)の情報は?』


『現在ステビス島北東洋上10nm(マイル)1000kt(1860km/h)で飛行中、本土に向かっている。低空を飛行していた為レーダー探知が遅れた』


滑走路末端(ランウェイ・エンド)に到達、離陸態勢を整える。

素早く補助翼(エルロン)垂直尾翼(ラダー)水平尾翼(エレベータ)の作動チェックを行い、離陸位置に着く。


了解(ラジャー)、ランウェイ・イズ・クリアー、レイピア1-1、テイクオフ』

『レイピア1-2、テイクオフ!』


スロットを押し込み、出力上昇、ブレーキ解除。

機体が滑り出し、加速のGがゆっくりと身体にのしかかる。

数秒の滑走の後、ロケットの様に上昇する2機のF-22。


『絶対に本土にたどり着かせるなよ、バロン』

『あぁ、全くだライガー。お帰り願うか、あまりにも駄々を捏ねたら灸を据えてやろう』


バロンはレオンハルト大尉のTACネーム、ライガーはエルヴィン大尉のTACネームだ。


『こちら空中管制機ヘブンゲイザー、目標(ターゲット)の輝点は4機、誘導する』

『レイピア1-1了解(ラジャー)

『1-2了解(ラジャー)


2人は機体を旋回させ、管制機の誘導に従い国籍不明機(アンノウン)へと向かった。


===========================


誘導中にレーダー反応が変わっていった。

4つの輝点が6、8つ、更に増えていったのだ。

恐らく、編隊を密集させ、まとめてレーダーに写るように欺瞞していたのだろう。


2機のラプターは幾つかの雲を抜け、低空の編隊を発見した。


『レイピア1-1、目標視認(タリホー)目標(ターゲット)はSu-24 8機、Su-27 6機それとPAK FAが4機だ』

『レーダーに映らなかったのはステルスか』

『その様だな、ヘブンゲイザー、交戦の許可を』

『防空司令部より交戦許可が出ている、各地でテロが起こっている為、交戦を許可する』

『了解』


交戦許可は拍子抜けする程アッサリ下りた、どうやら各地で同様の事案が発生し、死傷者などの被害も出ているらしい。

止めよう、ここで止めなければこいつらは市街地へ侵攻するかもしれない。


『レイピア1-2、AMRAAM発射準備』

『了解1-1』

AWACSとのデータリンクを元に、AMRAAMの発射準備に入る。

多目的ディスプレーに表示された敵影にマーク、レーダーで捉えられないPAK FAにはドッグファイトを挑む。


Su-27 6機とSu-24 2機をマークした。


『……レイピア1-1、FOX3FOX3!』

『レイピア1-2、FOX3FOX3!』

4発ずつ合計8発のAMRAAMが機体下部の主兵装(メイン・ウェポン)ベイから撃ち出され、空中でブースターが点火、僅かな白煙を残してM(マッハ)4で獲物へと喰らい付いていく。

奴らとの距離は20マイル(37.2km)を割っている。


レーダー警報でF-22(俺達)の存在に気付いたのか、回避起動を取るがもう遅い。


速度に乗ったAMRAAMは、敵機の尻に突き刺さり爆発した。


その間にも4機のPAK FAが反転、こちらに向かってくる。


向こうは機体の性能を試したいらしく、中距離ミサイルを撃って来ずに接近しドッグファイトを仕掛けてくる。


いいだろう、その挑発乗ってやる。


『ヘブンゲイザー、リース空軍基地に緊急発進(スクランブル)要請!撃ち漏らしを片付けてくれ』

『了解、必要性を認める』


===========================


3分後。


『これで最後だ、FOX2』


サブ・ウェポンベイからAAM-3"シルバーアロー"が放たれ、PAK FAに突き刺さって爆発した。


4機のPAK FAは、この2機のラプターを前に全機が撃墜されていった。


Su-24も、リース空軍基地のF-15CJが相手取り、4機を撃墜し、残りは撤退したらしい。


こちらの戦闘は呆気なく終了した。


『こちらヘブンゲイザー、周辺の敵性反応の消滅を確認。流石"あの2人"のお孫さんだ』

『止せよ、ヘブンゲイザー。何も出ないぜ』

『誘導感謝す、帰投する!』



===========================


次の日の朝。


街頭のニュースや新聞の号外で、国民が事件の全容を知る事になる。


"ドラグーン帝国"なるグルーバキア系の武装テロ組織が、ヨルジア連邦共和国に攻撃を仕掛けてきた事。


領空侵犯、爆撃未遂に原発や空軍基地の襲撃。客船のシージャック、民間航空機の爆破、国際空港の占拠、大都市の駅に対する自爆テロ、海軍軍港への巡航ミサイル攻撃、そして首都への弾道ミサイル攻撃。


領空侵犯には空軍の各飛行隊が、原発や空軍基地の襲撃は守備隊から陸軍へ防御を交代して対処。


客船のシージャックには海軍特殊部隊によって強襲し、テロリストを排除。


駅に対する自爆テロには警察の機動隊と特殊部隊P-SMATが対応、軍の憲兵隊も警察からの要請により出動し、テロリストを射殺若しくは拘束した。


国際空港は一時占拠されたが、空港警備員からの要請を受けて陸軍特殊部隊"シルバーアロー"が展開。

空の便は別の空港へと回し、クリスタ・ヘイへという狙撃手がテロリストと次々と排除していった。

人質は全員無事に解放されたという。


海軍軍港への巡航ミサイル攻撃は、幸運に幸運が重なり被害が出る事は無かった。


なぜなら軍港を出発した直後のイージス艦が巡航ミサイルを捉えて迎撃を開始、素早く警報が別の艦に飛び、軍港停泊中の駆逐艦や巡洋艦も長距離艦隊空ミサイルSM-2ERで対空防御に加わった。


時を同じくして、偶然近海を航行していた潜水艦な奇妙な音を探知、音紋称号の結果、グルーバキア海軍の潜水艦が巡航ミサイルを発射している事が判明し、司令部からの命令を受け、魚雷で潜水艦を撃沈したからだ。


静粛性が世界一高いと呼ばれるヨルジアの潜水艦だからこそ出来た芸当だ。


民間航空機と首都への弾道ミサイル攻撃には、悲しい事に犠牲者が出てしまった。


更にドラグーン帝国はグルーバキアの東部でクーデターを起こし、軍部を掌握、テロリストに不釣り合いな程強力な武力を手にしたドラグーン帝国は武力を以って東部と南部の政権を握り、周辺諸国へ侵攻。

周辺諸国に潜んでいた大量の工作員が侵攻した国でもクーデターを発生させ、着実に勢力範囲と戦力を拡大していることが判明した。


グルーバキア連邦は世界でもかなり強大な国家だが、クーデターを起こされてしまい、"牙を抜かれた獅子"状態となってしまっている。


ドラグーン帝国は、ほぼグルーバキア連邦を掌握したと言っても良いだろう。


そこでヨルジア政府は緊急議会を開き、このテロ組織"ドラグーン帝国"の排除を提案した。

しかしそれに野党が反発、「テロに立ち向かってはいけない、話し合う事が大切だ」と主張した。

が、そのタイミングでクーデターを起こされた1国"リドリス共和国"から書面による集団的自衛権行使の要請が来た。

リドリス共和国の軍の8割が乗っ取られ、防衛は不可能だという。


議会での賛成反対の割合は8:2で、他国と共に"ドラグーン帝国"の脅威からリドリス共和国を延いては自国を守る為に集団的自衛権を行使する決議がなされた。

国連でも、批難決議、経済制裁が決定した。


戦いの合図は、鳴り始めていた。

テロ描写を全て描けずに終わって申し訳ありません……

ただ、決して手を抜いた訳ではありません!


では、ここで3章は終了です。

次回から4章へと入ります!

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