3章第3話 迎撃
『バシキール1-1、ロスト!』
『ケノランドよりスクランブル、バシキール1-3、1-4が離陸、続いてジャスティス1-1、1-2の離陸準備を確認』
『ハートホードよりブラッキー1-3、1-4が上がりました』
エターナルからバシキールチーム被撃墜の通信を聞いたブラッキー1-1は歯噛みした。
『こちらエターナル、ブラッキー1-1、交戦を許可する。敵機を撃墜せよ』
『了解エターナル。高高度の反応、多分Mig-31だな』
『Mig-31ってこんな航続距離長かったっスかね?』
『空中給油でもして来たか、とにかくやるぞ。』
『了解』
ブラッキー1-1、1-2は増槽を投棄、操縦桿を引き、機体を上昇させる。
レーダー表示では高度68000ftに居るMig-31と思われる反応4機に向って行く。
===========================
『2機を撃墜』
『了解』
上空のMig-31は、高高度を高速で飛行していた。
高度68000ft、約20740m
速度6448kt、3467km/h、M2.83
この速度と高度が、戦闘機による迎撃を困難にしている。
イージス艦が居れば迎撃出来るかもしれないが、国籍不明の領空侵犯機は即座に撃墜出来ない。
この国の交戦規定に則って、交戦許可が下りない限り、国籍不明機に並び2回の警告射撃の後に初めてミサイルを撃てるのだ。
しかし、この機体に対してそれが可能な機体はこの国に存在しない。
まぁ、先程撃ったミサイルで敵と判断されただろうが、迎撃機がこちらに向って来る前に持ち前の速度で離脱すればいい話だ。
『新たな目標2機、ミサイル準備』
隊長機がF-15をレーダーで発見し、Mig-31全機がミサイルの発射準備に入った。
ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!
『な、何だ⁉︎』
突如としてコックピットに鳴り響くミサイル警報
『くそッ、何処からだ⁉︎』
隊長機のパイロットは、叫んだ左側を飛行している2番機を見たその時。
2番機が爆散した。
『2番機がやられた!』
『回避!回避!ウワァァ!』
隊長機は周りを見回すと、3番機、4番機も次々と爆散していき、ついに1番機にもミサイルが直撃。
Mig-31の全機は為す術もなく全滅した。
===========================
『スプラッシュ・ツー』
『同じく』
キャノピー越しに、自機より高高度で爆散するMig-31を横目に見ながら撃墜を報告するブラッキー1-1と1-2。
『こちらブラッキー1-3、敵編隊にインターセプト、いつでも撃てる』
『ブラッキー1-4、同じく』
『こちらバシキール1-3、インターセプト』
『こちらバシキール1-4同じく』
『了解、こちらブラッキー1-1、これよりそちらへ向かう』
ブラッキー1-1と1-2は機首を敵編隊に向ける。
===========================
『こちらエターナル、防空司令部より通信が入った。現時点を持って国籍不明機編隊を敵と判断、繰り返す、現時点を持って国籍不明機編隊を敵と判断。撃墜せよ、との事』
『了解エターナル、これより戦闘に移行する』
ブラッキー1-3、ケン・クリサワ中尉。TACネームはブラン。
目の前には編隊から散開していくSu-27フランカーが4機。
ブラッキー1-3と1-4はAMRAAMを選択、4機のうち2機をロックする。
『FOX3!』
『FOX3!』
2機のウェポン・ベイが開き、AMRAAMが発射される。
放たれた2発のAMRAAMはマッハ4でフランカーに直撃し、撃墜。
残った2機のフランカーはF-22の背後を取ろうと旋回している。
『バシキール1-3、1-4!そっちはフェンサーをやれ!こっちはフランカーを!』
『バ、バシキール1-3了解!』
『1-4、了解!』
いかにF-15とはいえ、フランカーと真正面から挑んでも勝てる可能性は無くは無いが低いと言える。
空中格闘戦でF-15がSu-27に勝てる可能性は47%
それに比べてSu-27に対するF-22の勝率は91%にもなる。
それなら可能性の高いF-22にSu-27を対応させた方がいいと判断した結果だ。
指示を受けて2機のF-15CJはSu-24の追跡を始める。
『ブラッキー1-3、交戦!』
ブランはSu-27を追う。
ヘッドアップ・ディスプレイのレティクルをGUNにセット。
『巫山戯んなよこいつら……っ!FOX1!』
ヴヴヴッ!ヴヴヴッ!
20mm機関砲M61A1を2回射撃する。
200発以上が発射されたが、回避されてしまう。
Su-27は背面で急降下を始める、ブランのF-22はそれに食いつくように急降下し、ヘッドアップ・ディスプレイのレティクルの敵機を追う小さいサークルとHUD全面に表示される大きいサークルをSu-27に合わせる。大きいサークルの中に小さいサークルを2秒間補足し続けると、2つのサークルが重なり、センサーが鳴る。ロックオン完了だ。
『FOX2!…くっ……』
側面のウェポン・ベイに格納されていたAAM-3が発射された。
しかし、急降下で遠心重力の負荷をかけ過ぎたため、視界が暗転してしまった。
『ううっ………!』
降下を続けて4〜5秒後にゆっくりと視界が回復、敵機を確認すると、ちょうどミサイルに貫かれて爆散するところだった。
『ブラッキー1-3、1キル』
『了解、ブラッキー1-4、1キル』
ブラッキー1-4もSu-27をミサイルで撃墜した様だ。
『バシキール1-3、1-4、そっちはどうだ?』
『バシキール1-3、今最後の1機を撃墜した』
F-15CJの2機もミサイルや機関砲でSu-24を全機撃墜したようだ。
『残りはTu-95だけだな』
『あぁ、だがどうする?護衛を全機撃墜したから丸腰だろう』
『エターナル、こちらブラッキー1-3。爆撃機はどうする?』
バシキール1-3、1-4は爆撃機の後方に付き、ブラッキー1-3と1-4は爆撃機の横に並ぶ。
『エターナルよりブラッキー、バシキールへ。撃墜許可は撤回しないが、そいつを基地に連れて帰れ』
『ブラッキー1-3了解』
4機はTu-95を挟むようにして拘束、ケノランド空軍基地へ連行する。
が、
『エターナルよりブラッキー、バシキールへ。現在ケノランド空軍基地が不明武装勢力による襲撃を受けている、ケノランド空軍基地への着陸は不能、ハートホードへ帰投せよ、繰り返す……』
『何だと⁉︎』
バシキール1-3が驚きの声を上げる。
と同時に、何とTu-95の爆弾倉が開いていく。
『こいつ!何をする気だ⁉︎』
『こちらブラッキー1-3!ブラッキー1-1、1-2、そこで待機しろ!』
『こちらブラッキー1-1了解』
正面からこちらに向かって来ていたブラッキー1-1と1-2に待機するよう指示。
その瞬間、爆撃機の爆弾倉から細長いものが投下され、空中で白い煙を出しながら本土へ向かって飛んで行く。
『⁉︎こちらブラッキー1-3!ブラッキー1-1!爆撃機が巡航ミサイルを発射!そちらで対処出来るか⁉︎』
『了解ブラッキー1-1、任せろ』
『1-2了解、迎撃に入る!』
Tu-95は巡航ミサイル計4発を発射、同時に対空機銃で火線を張る。
『バシキール1-3よりエターナル、こいつを撃墜する』
『エターナル了解』
全機は火線を避けながら後方でミサイルの発射準備に入る。
バシキール1-3、1-4のパイロットがHUDのサークルに動きの鈍いTu-95を捉えた。
『FOX2』
『FOX2!』
F-15が同時にAAM-3を発射。
発射された2発のAAM-3は別々のエンジンにそれぞれ命中し、Tu-95を木っ端微塵にした。
『ブラッキー1-3、敵機を撃墜』
エターナルに撃墜を報告し、帰投命令を受けた。
その数分後、ブラッキー1-1と1-2が巡航ミサイルを撃墜したと報告が入り、安堵の空気が流れる。
バシキールの2機と離陸したはいいが現場に到着する前に片付いてしまったため手持ち無沙汰になっていたF-35の2機と共にハートホードへ帰投した。
==================================
時を同じくして、首都島沖800マイル
30隻以上のコンテナ船が、約3マイル程間隔を開けて航行している。
突然、そのコンテナ船から火の玉が白煙と共に空へ上がっていった。
F-15CJ イーグル
マクドネル・ダグラス(現ボーイング)社製の制空戦闘機。
"J"はJorjiaの"J"
CJと付いているからと言って、SEAD任務を行う訳では無い。
ヨルジア空軍の主力戦闘機。
F-22Aが登場するまでは、西側最強の戦闘機と言われていた。
Mig-31
ミコヤン・グレヴィッチ設計局製の高高度高速迎撃戦闘機。
NATOコードは"フォックスハウンド"
高高度を高速で飛行し、低高度を侵入してくる爆撃機や巡航ミサイルを迎撃する為に開発された。
その為、ルックダウン/シュートダウン能力が非常に高い。
世界で初めてフェイズドアレイレーダーを搭載した戦闘機でもある。
次回の更新は1/1 18時です!
今回の更新が年内最後になります!
来年も"別世界の現代戦"をどうかよろしくお願いします!
それでは皆様、良いお年を!




