2章第3話 出撃
===========3日後============
格納庫内で増槽タンクを取り付け、燃料の補給と兵装の装填を終えたF-22Aラプター6機が駐機場から誘導路へタキシングする。
ジーク01:カナデ・ミサワ大尉 ベクター
ジーク02:ヒロキ・カザカミ中尉 フリーダム
ジーク03:タケル・ニノミヤ中尉 ライダー
ジーク04:レイカ・クシモト少尉 クイーン
ジーク05:ケン・クリサワ中尉 ブラン
ジーク06:ツバサ・ナルミ少尉 フェネック
6機のラプターが滑走路に入り、離陸準備を整える。
エンジン回転数、フラップ位置、補助翼、垂直尾翼、水平尾翼、推力偏向ノズル正常、データリンク良好。
よし、とカナデはコックピットの中で呟く。ヘルメットと酸素マスク、耐Gスーツで身体はかなり重いが、空へ上がってしまえば気にならない。
『…管制塔、こちらジーク01、出撃コードAF098、離陸許可を』
『……確認した、ジーク隊、離陸を許可する、Wind1-5-0at2』
離陸許可が下りた、離陸方向は北を起点に330度、ほぼ正面から2ktの微風だ。離陸には最高の風である。
『さ、行きましょうか、隊長殿』
今回の任務でウイングマンに選抜されたヒロキから気合いを入れる為か、通信が入る。
カナデはマスクの中で微笑み、流した。
『ラジャー、ランウェイイズクリアー、ジーク01、テイクオフ』
左手のスロットルをミリタリー推力に叩き込む。
背後でエンジンが唸りを上げ、出力が増していく。
途中でステアリング・ブレーキを解放し、離陸滑走に入った。
それに続く様に仲間も離陸に入る。
全機は8秒弱の滑走でふわりと空へ浮かぶ、直後にランディング・ギア・レバーを上げ位置に持ってくる。
油圧によってノーズ・ギア、メイン・ギアが引っ込み、がこがこと音を立てて完全に格納される。
僅か30秒程で6機のラプターが空へ舞上がった。
6機でエシュロン編隊(航空機が隊長機を先頭に斜め後ろに並ぶ航空編隊)を組み、高度を20000ftまで上昇させて給油機と共にヨルジアの領空を出る。
今回の作戦は航続距離よりも隠密性が優先の為、増槽は途中で投棄する。しかし流石に往復攻撃は無理があるので、ギリギリまで空中給油機による航続距離の延長をはかる。
C-17はジーク07と08に護衛され偽装のフライトプランに乗ってグルーバキア領空に入るのでここには居ない。しかしAWACSなどとのデータリンクによってC-17を護衛しつつ飛行しているのが確認出来た。
450ktで約1時間半飛行するとグルーバキアの防空識別圏へ侵入する事になる、その前に任務前最後の空中給油を済ませた。
『タンカー01よりジーク各機、これより離脱する。幸運を祈る』
空中給油機からエールが送られて来る、それに隊長が翼を振って応えた。
給油機のコックピットから副パイロットが手を振り、大きく旋回し引き返して行った。
『ジーク01より全機、ターゲットに向かう。編隊を崩さないで。』
F-22Aはアフターバーナーを使わずとも、超音速で巡行する"スーパークルーズ"がある、燃料の消費を抑えて目的に急行するには最適だ。
各機が了解を返すと、増槽投棄ボタンを押す、バスッと各機2本の増槽がパイロンごと投棄され、機体は身軽になった。
スロットルをミリタリー推力に押し込む。
速度はどんどん上がって行き、音速に到達、しかしエシュロン編隊は崩さない。
マッハ1.4に加速、既に防空識別圏を越え領空に入る所だ。
このまま5〜6分で目標地点へ到達する。
===========================
グルーバキア連邦 トロール郊外
ベルナ大橋のたもとは十字路になっている、十字の上部分が橋だ。
今日はこの橋を奪取した衛星探査機が渡るが、十字の右部分に当たる路上に2台の乗用車、セダンとバンが路上駐車していた。
その6分後、先頭からBTR-70装甲車2両、BMP-3歩兵戦闘車2両に護衛されたコンテナトラック2両が橋に差し掛かる。
その瞬間、セダンとバンに乗っていた男達が動き出した。
F-22Aラプター
言わずと知れた最新鋭ステルス戦闘機。
BTR-70装甲車
ロシア製装甲車、別名「燃える車輪付き棺桶」
ガソリンエンジンだった為燃えやすかったらしい。
BMP-3
ロシア製歩兵戦闘車
100mm低圧砲を搭載し、攻撃力は高い。




