エピローグ
「なぁ、巫あれから数百年この花畑はどんどん綺麗になっていったぞ」
俺はここにはいない人物に語り掛けるようにつぶやく。
吸血鬼が血を吸った人物は吸血鬼になる、または不死者になる。
俺はそれを拒んだ、人間らしかったアイツをそんなモノにしたくはなかったからだ。
だからこうして待っている、輪廻なんてモノが本当にあると信じて。
また会えると信じて。
「あなたが花の吸血鬼、ですか」
チッまた教会の連中か。
しかもまだ若い女だな声から解ったが。
「何の用だ?俺はここ数百年血を吸った覚えはないんだがな」
「えぇ、そのようですね。しかもここへ来てしまった人間に危害を加えるどころか花を見せ少しなら摘ませている。教会は何か細工をしていないか疑問なのです」
あぁ、なんて短気になっちまったんだろうな。
アイツの好きだったここを馬鹿にされると、殺したくなっちまう。
俺は翼刃を展開して戦闘体勢に入る。
「にーちゃんを虐めるな!!」
「おい、浩太やめろ」
なんでこんなところにいやがる。
今はあっちに向かわせてたはずだったが。
「いじめるなー」
「美奈、お前もどうして」
「これはいったいどうして子供たちが?」
教会の女は戸惑いがちに浩太と美奈を見ている。
「そいつらは捨てられた子供だ、俺がここで育てている。もういいから浩太も美奈もこっちへ来い」
俺の声を聞いて浩太と美奈は俺の傍に寄る。
身体は震えている。
勇気がいるよなそりゃ怖いもんな。
俺は翼刃を消ししゃがんで浩太と美奈の頭をなでる。
「やっぱり、変わってないねヴァン」
「あ?」
俺は教会の女を見る。
その女は気品を感じさせる動作で長い金色の髪のもみあげを耳にかける。
そして俺に微笑んできた。
涙が流れた。
「にーちゃんなにされたの痛いの?」
浩太が心配した口調で俺に言う。
俺は首を振りながら立ち上がる。
「いや、嬉しいんだ……お帰り巫」
「ただいま、ヴァン。今度はずっと一緒にいてね」
「あぁ、当たり前だ。絶対に一緒だ」
俺と同じように涙を流し抱き付いてきた巫を俺も抱きしめる。
もう絶対に離さない、俺は今度こそ護らないといけない。
この身が砕けようとも朽ちようともなにがなんでもお前を護り続ける。
愛する人を……この花畑で。