覚醒~黙示の獣~
ツプリと首に牙を立て巫の血を吸う。
甘くて甘くて力を感じる血液、巫の血を半分程飲む。
悪いな少し乾いちまったか。
力が漲る身体の奥底から湧き出てくるかのような感覚だ。
あぁ、何百年ぶりだろうなここまで身体が軽いのは。
血を吸わねぇって決めていたのにな。
「なんなんだ!!あの化物は!?」
うるせぇ囀りだな耳障りな。
テメェら巫を追い詰めてた時のような顔しねぇのかよ豚どもが。
「我ここに誓いを立てる、赤き竜の力を我がもとに黙示の獣よ……蛇の力よ今ここに我が命を糧に目覚めよ」
懐かしいなこの力。
ったく二度と言わないための封印の解呪コードだったのによ、しっかし赤き竜だの黙示の獣だの、蛇ですらちょっとした不死性から吸血鬼の遠い親戚ぐらいの関係だってのにこんな更に親戚が出てくっかね。
だが、まぁいいか……これで心置きなくこの下衆共をぶっ殺せるからなぁ!!
俺は背中に禍々しい黒と赤の翼を広げる。
翼の一部は腕の外側と脚の後ろ側に広がる。
これが本来の霧常、その正体は霧のように見えず様々な姿に形を変える全ての獣の血を喰らった俺の血からできる刃。
「お前ら覚悟はいいか?俺は……加減する気はねぇぞ」
そう酷く怒りと悲しみに満ちた瞳で冷たく言った。
「怯むなぁ!!敵はたった一人我らの方が数で有利だ!!」
うるさい奴だな、しっかし周りが見えてねぇのか。
「なぁ下衆野郎、もう半分近くは沈んだぜ」
その言葉を理解できていないのか誰もがアイツの言葉を真に受けている。
あぁそうか、こいつら自分が斬られたことを理解していないのか。
俺を囲み正義を振るうゴミ共が血を吹き出しながら崩れ落ちる。
「きたねぇな、巫に付いちまったらどうすんだよ」
俺は巫を片手で抱えて血を浴びないようにさせる。
「キサマが現れなければ!!神人魔全てを屠れし闘神よ今我身に宿りたまえ」
「へぇ巫女でもない豚が神降ろしか」
だが、何の恐れもない。
俺はただここに居る全てを葬る。
それが俺が巫にしてやれる最後のことだ。
神を降ろしただからなんだよ、俺はとうに神にケンカ売ってんだ今更怖くもなんともねぇ。
それよりも怒りで身体中の血管がブチ切れそうだ。
「そうか、キサマのその翼が武器か」
「だったらなんだよ」
ゴミの親玉が横に手を振ると同時に周りの連中が一斉に飛び掛かって来る。
そうか、親玉のために命を捨てるか。
「そいつらに足止めされてるところを止めを差してやる!!」
ゴミの親玉が剣を持って突っ込んでくる。
さすがに闘神を降ろしたことだけはあるな。
捨てる神あれば拾う化物あり、お前の名前借りるな巫。
「散れ、ゴミ共が。……真なる闇は永久に、真なる光は我が身に残されし闇と融け混ざり神を葬る力なり」
なぁ見せてやろうぜ、巫。
俺たちが力を合わせたらどうなるのか。
「消し飛べ、全てを薙ぎ倒す翼刃……神薙!!」
三十メートル以上に伸びた血の刃は辺り一面を薙ぎ払いその存在ごと斬り裂いた。
「ハハハハハハハハハハ、ゴミ共がテメェらのしたことがどんなことか分かったかよ!!ハハハ、ハハ。……クソが」
残ったのは虚しさだけだ、守れなかったんだ俺は巫を……。
「ごめんな、巫ここに眠るのは嫌だろ、少し遠いけどお前の好きだったあの花畑に行こうか」
俺は巫を両手で抱え直し飛ぶ。