7話-2
「しかし意外ですね、師匠が免許を所持していたなんて」
「はるか昔に1度、な。今やただの身分証明以上の役割はせんぞ。だが、乗り物の扱いには常に自信がある」
すでにアイゼブルトゥライヒに入り、数十分が経過している。あたりは暗く、夜の帷が覆い尽くす。董仙側の車には涼子とファンティが乗っており、ゐ合の剣士も合わせると5人(厳密には4人と1機)だ。
窓際では退屈そうに外を見るファンティの姿。いかんせんローダシューもおらず、外の景色は森と夜景のみ。自然はなかなかトリフルールでは見えないが、それでもこんなに見せられると飽きるものだ。
「ねー、いつになったらつくのー?」
「此方もずっとゐ合空間で探知しておるわ。しかし、奴らから出向いてもらわねば、探しようもない」
どこまで行っても景色は黒く、空に浮かぶ影も飛行機が時々飛ぶ程度であった。ただただファンティにとって退屈な時間、それは延々と続くものと思われた。
「……む、なんだ?」
突然後ろから爆音が響き渡り、道路を破壊するほどの勢いで何かが横を通り過ぎる。そして、前に陣取ったり、こちらの車を回って囲ったり、こちらを煽るように動いてきた。彼らは見たところバイクのようだが、その運転手はまるでその車体自体と融合したような、奇怪な見た目をしていた。
「オイオイオゥオーイ! ここが自動破の縄張りだって知っての通行かぁ〜?」
「トロトロ奔りやがってよぉ! 俺たちの本気暴走の邪魔なんだよ!」
「しまったわね……」
完全に行く手を塞がれたゐ合ら。少しイラついていた董仙が、その割にドアをゆったりと開けて高速道路に立つ。
「よいだろう。何かしらの要求があるのだな? 金か? 車か? 場合によっては問答無用で叩き斬ることもできるが……な」
「へっ、そんなのつまんねぇよ。総長! こいつらに言ってやってくれ!」
幽霊のような模様を入れた車体の車男が、後ろに待機していた一際大きな車男を呼ぶ。その車体はいかついスパイクと排気口だらけの見た目、さらに頑強な装甲、まるで戦車の如くであった。
「まず先に自己紹介だ! 俺はクライゼクス・アオスブルフと言う漢」
爆音をかき鳴らして現れたその車男は、タイヤを何度も地に切りつけて言葉を続ける。
「要求るのはただ一つ、お前ら、外部から来たんだろ? 俺はそんな奴との激しい爆音疾走が目当てなんだよ。どうだ? 対戦るか? 対戦らねぇって選択肢はねぇけどな!」
挑発を受けて、涼子は董仙に相談する。
「どうですか? これ、抜けられそうでしょうか?」
「あやつら、意外と鍛え上げられておる。それに、あれだけの族よ、増援が来たれば少数のこちらはひとたまりもない。もはやすべなしかも知れぬ」
「ありゃあ、なんだ?」
後ろからついてきたサカタはようやく車を路肩に停めた。外には出たが、未だに様子が掴めないようだ。
「仕方がない」
地を蹴り車に乗り込む董仙。皆もおおよそ理解したのか、全員で車に乗る。
「そうか、搭乗り気か! やってやろうじゃねぇか! 仏地斬でな!」
「あっ、もしやそうゆうこと?」
やや遅れたサカタが運転席に乗り込んだころには、爆音が周囲に響いていた。そして、周囲を取り囲んだ車はほとんど居なくなり、子分の中型のバイクと融合した奴らだけだ。
「まいったな、こりゃ遅れたか」
「大丈夫、ある程度ならあらかじめ渡したこれで探索できる」
ローダシューは簡易クオリアギアを握りしめ、ライトを消して集中した……。だが、サカタは気を遣って進もうとしない。
「アタシのことは気にするな! ファンティらの場所は随時伝える! 今はなんとかついていくんだ!」
「ああ、悪いね。りょーかい」
サカタはアクセルをベタ踏みし、横に車体を振って前進する。夜闇の中を、暴れるが如く速度で駆ける車らは、まるで周囲の一般の車が見えていないかのようであった。
アオスブルフ「今日のカード紹介! 今日のカードはこいつだ!」
自動破エモツィオン・アインガイスト
チェイサー
闇属性 種族:メカボーグ・レーサー/ゴースト
コスト1 攻撃0 守備2 速さ+1
これが墓地以外から出た時、手札を1枚捨てる。
ターンのはじめに山札の上から1枚を墓地に置く。その後、墓地にカードが3枚以上あればこれを破壊し、墓地からコスト3以下のチェイサーを出す。
アオスブルフ「墓地の扱いに長けたチェイサーだ! 普段は手札を捨てることに利用し、墓地が貯まってきたら上のコストの展開にチェンジ! まさに墓地利用デッキの申し子だ! ただ、気をつけることがあるとするなら、破壊からの蘇生は強制! 墓地にチェイサーを用意できなかったり、呼び出したくない奴、例えば《時戻しの灰使い》なんかを召喚しまったら、エナジー全滅で目も当てられねぇ。一応気をつけるべきだな。俺ら自動破含む鉄血国の連中は、墓地利用に長けてんだ! 是非ともその動き、体感してみてくれ!」




