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6話-3

「はっ!」


 山中の修練場、オーダシューが一閃を放つ。それを見て、槙野涼子は黙りきり、周囲に静寂を保つ。風だけが吹く光景が、心の揺るぎのなさを表す。


「そこ!」


 ふと、涼子がナイフのような短刀で背後向けて斬りかかる。そこには確かにオーダシューの残像があった。否、本体ではない、残像なのだ。


 すると目の前に槍の先が鋭く、涼子の喉を狙い、そのままで静止した。この時点で、この練習は決したということだ。


「すごいわね、オーダシューちゃん。ゐ合の空間(ゾーン)読みのゐ合空間(ゾーン) )に入って、私に気づかれないように行動してみせた。もうゐ合の技術はバッチリね」


「これも、涼子さんの教えが上手いからだよ」


「ほ、褒めても何もでないわよ!」


 確かにファンタスクの2体は、技量を少しずつ、少しずつ身につけていた。


「これなら、奴らも討てるだろうか……」


「前言ってた仇のロボット? 一応師匠たちにも伝えておいたけど、そんなものこの辺では見たことも……」


「焦眉だ! 焦眉の急だぁよ!」


 こちらに向かって走ってきたのは、一人のゐ合剣士。少し田舎訛りのある、ちぎれた裾の襤褸ぼろの彼は、涼子たちを呼んでいた。


「何? キンキ」


「特にオーダシューたちには、伝えておきたいことだぁよ。緊急の依頼が、オラらゐ合の集に来ただ!」


 オーダシューはふとこの言葉初めに疑問を抱いた。


「なぜ、わざわざアタシを?」


「それは、聞けばすぐわかるだ!」


 言われるがまま、寒空の野をオーダシューたちはかけて行った。


 集まるよう言われたのは一つの穴蔵。董仙が集中できると棲家に利用しているものだ。決して広くはない入り口から、やや屈んで中に邪魔をする。


「あ〜、オーダシューも来たんだねぇ」


 ファンティはすでに真ん中の火の前で座っていた。それはオーダシューが今まで見たこともない、足を折った正座だった。


 うって変わってあぐらの董仙は、地図を睨み、依頼書もまた目を通した。火の粉が巻物につきそうになり、それをたまに追い払う。


「お主らに集まってもらったのは他でもない、この依頼の為だ。このマレイド山に隣る土地に、恐るべき機械の群れが現れたとのことだ。それはまるで少女のような大きさのものが変形したような見た目をしておって……」


 これを聞いたオーダシューは黙っていられなかった。彼らのそばまで姿勢を崩してまで駆け寄り、思わず火に頭を突っ込みかける。もっとも金属の頭は、そう易々と焼けない。


「……師匠! それはどのような方法で襲ってきたと!?」


「……襲ってきたとまでは、まだゆうとらんかったが……後々話すつもりであったものだ。奴らはビームや各々の武器を操る、黒いロボットであったと言われておる」


「……蜘蛛のようなやつは!」


「……おったと聞いておるな」


「少女ロボットを割った内部から足が生えたものは!」


「……そこまでは聞いておらんが、悍ましい姿のものがあったとは聞いておる」


「師匠!」


 オーダシューは地面をクオリアギアの槍で強く突いた。そして、彼向けて啖呵をきり始める。


「アタシらにも、この任務、参加させてください。もし奴らがまた悪事を働いていると思うと、腹のバグが収まらないんです!」


「……好きにするがよい」


 董仙は煮え切らない思いで答えると、地図を改めて確認させた。ここより北の、とある国を指して。


「先ほどの恐るべき機械が現れた場は、ここだ。とてつもない大国にして、富国強兵の権化、アイゼブルトゥライヒ!」


 この国の名を聞き、オーダシューは苦々しく顔を引いた。アイゼブルトゥライヒ、トリフルールにとっては恐れの目線を置いている相手だ。


「アイゼブルトゥライヒか……」


「オーダシューよぉ、なんか問題でもあんのか?」


 刀を肩にかけた金龍の問いに、オーダシューは口を開く。


「我らのトリフルールはギルダームの国全てと包括的な同盟を結んでいる。例えどのような戦いの最中でも、貿易を妨げることはあってはならない、共通の通貨を使い貿易する、そして国境を容易に跨いでもよい……ということを主にした契約を皆で結んでいる。ただ、それらはほとんど建前に過ぎない」


「どういうことだ?」


「実際はそれぞれの国での争いは禁止していないということさ。それは経済的な争いに限らず、武力を駆使した争いもだ。アキラメッドが定期的にトリフルールを攻めていることはここにも噂に届いているはずだ」

「確かに、そうかもしれねぇがよぉ」


「皆、上辺で笑顔を取り繕いながら、裏では刃を磨いている。その中でも!」


 オーダシューが急に地面を叩くものだから、ファンティは戸惑っているように見えた。他の剣士らは幾分落ち着いていたが、実際はそうも言えないのだろう。


「アイゼブルトゥライヒは、最も武力による成長が激しい! 奴らは定期的な侵略も行い、こちらの土地を奪って領土を広げる。このギルダーム同盟を裏で牛耳り、支配している国なんだ! アタシは、彼らがあまりにも恐ろしい!」


 うち震えるオーダシューに、ファンティは気を緩めるように伸びをしてみせた。


「そんなに難しく考えなくてもいいのよ〜。ちょっとお邪魔させてもらって〜、すぐ帰ればいいんだから〜」


「……ありがとう、少しは気が楽になったよ」


 ファンティのこう言う能天気なところに、オーダシューは案外支えられている。トリフルールにいた頃は、彼女がいなければ自身はもっと政治的に染まっていただろうと考えているほどに。


「それでは決行とさせてもらおうか。今夜にも決められた隊にて、ここを出発する!」


 董仙は風の流れを読むように空を見ると、地図を拾い、皆に宣言する。


 おおっ、と大きな声が洞窟の中にこだました……。

サカタ「今日のカード紹介! 今日のカードはこれだ!」

ゐ合総師範 董仙

火属性 種族:トウヨウ・ドラゴン/マスターネーム

コスト6 攻撃力7 守備力5 速さ-1

お互いにドローできない。

お互いに山札の一番上を見れる。そのカードを使えれば、使うこともできる。(コストは支払う)

攻撃時に山札の上から3枚を見て、ゐ合と名にあるカードを全て手札に加える。残りは山札の上に好きな順番で置く。

サカタ「オレたちの師匠で、ゐ合デッキの切り札! なんと完全にドローを封じてしまう凶悪極まりない効果だ!」

董仙「しかし、山札の上の札だけは変わらず使われてしまう……。気をつけることだな」

サカタ「これでお互いに今引いたカードだけでしか動けない……と思いきや師匠は攻撃した時に強力な手札補充が可能! 一方的に選択肢を確保できるぞ!」

董仙「ゐ合でっき、引く引かぬの管理がちと難しいが、組んでみる価値、大いにあるぞよ」

サカタ「これでオレたちゐ合のカード紹介は一旦打ち切り! この先は新弾、『ファンタスクの冒険』を開けて自分の目で確かめてくれ!」

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