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5話-3

 昼の食事の席は、木の箸を突く音や、何やら噂の話で皆、騒がしい。そしてファンティらの身の上事情は、日々無味な生活を送っている剣士たちにとって貴重な異国譚であった。


「アタシたちは、トリフルールを襲った怪ロボットを追ってあの国を出てきたんだ。今はそのロボットを倒すために力をつける段階にある」


「へぇ〜、怪ロボット。どんな見た目をしていたんだ?」


「……語るにもおぞましいよ」


 ロボット知識を齧ってたサカタや、ファンタスクに惚れ込んだ涼子は、特に話をよく振っていた。


「ねぇねぇ、オーダシューちゃん? 他にもあなた達みたいなロボットはいるの?」


「ファンタスクはあと4……いや3体いるね」


「そう、いつか会ってみたいわね」


 ふとAIをよぎったアンドンターブルの顔、彼女はもはや修復不可能な状態にある。二度と蘇らぬ彼女を思い、なんとか振り払って平然としてみせた。


「いやいや、仲良きことは美しきことでござるな」


「しっかしあのロボガキの武器はかなりのものだぜぇ。あの槍打ったのは凄腕の職人に違いねぇや」


「ラディカルレフレクションのことか?」


 先ほど怪しいアイテムということで飾ってあった持ち込みの槍は、ふっと浮き上がり、空気を泳ぐようにしてオーダシューの手元に向かっていった。今度こそ話すまいと槍を握りしめたオーダシューに、周囲はどよめきが起こり、老師董仙は戦慄く。


「すげぇ、それは魔法かよ」


「まぁ、ある意味な。クオリアギアというファンタスク特有の技術なんだ。さらにこういうこともできる!」


 そう言って彼女は槍を布張りの天井向けて投げつけた。このままではテントの布は破れ、雨風しのげなくなってしまうだろう。しかし、そんなことを案ずる間もなくオーダシューの姿が消え、次に姿を現したのは天井の骨組みにしがみついた姿であった。もちろん、槍は手元にありだ。


「これが、アタシらファンタスクが使える、クオリアギアを生かした瞬間移動術、幻想転送ファンタズムトランスファートプログラム! まあ今は中継がないから、この程度しか移動できないのだけど」


「こんなこともできたのか、ファンタスクは!」


 先ほどのムニエルを食べながらも、驚きに天を見上げるサカタ。その他もろもろもわいわいがやがやと騒がしい修業のはずの場、老師の怒りは限界に達した。


「静まれ! 拾い物の絡繰の分際で気を荒げさせるな!」


 この大声に、ようやく周りはおとなしくなった。オーダシューは仕方ないという風に席に足を折りたたんで座った。老師はこれ見よがしに座り直して説教を始める。


「そもそもこの食事の時間は生物にとって重要なものである。自然の恵みを血とし、肉とする。血も涙もない絡繰には、到底不可能な技術よ」


 老師はこれを試練だと思っていた。絡繰には食事など絶対にできやしない、これを乗り切った存在でなくては生物として認められるべきではないと。


「そうか、じゃあ遠慮なくこのムニエルを」


 オーダシューは自らの腹に格納されていたフォークで、サカタの目の前にあるひらめのムニエルを奪い取る。サカタも彼女が食べるならと、特に何も言わなかった。


 ムニエルはオーダシューが手をかざし、握りしめた。するとどうだろうか。手からは懐中電灯を振り回したような眩い光が辺りを照らす。そして掌から出てきたのは、小さなマメのような物質であった。


「ああ、オレのムニエルがこんな姿に……」


 さすがに食物にこの扱いをされると思っていなかったサカタはショックを隠せないようだ。オーダシューは口元の金属板に小さな穴を開けると、掃除機をかけたかのごとく、ひょいとそれを吸い込んだ。


「やはり、トリフルール産のムニエルは美味しいな」


「えっ、味、わかるの?」


「むしろ食材そのままでは、ファンタスクは味わえないんだ」


 咀嚼のような動作で頭が微振動するオーダシューに、老師は未だ不満を抱いていた。


「しかし、それを血肉には変えられぬだろう!」


「老師、彼女はロボットですよ! 燃料がわりに使用できれば、食事の価値はあるじゃないですか!」


 箸を置いて抗議をしてくれた涼子の肩に、オーダシューは手を添えた。そして、自らの胸の部分を指さす。


「アタシたちファンタスクは万能動力で動いている。今見せたオイルマメの形にすれば、液体燃料、固体燃料、ご家庭の電力から原子力、果てはバイオマスまで、あらゆる燃料を使って機体を動かすことができるんだよ。まさしく魔法の如く、もっとも魔法動力でも動くんだけどね」


「というわけらしいですよ、老師」


「ムムム……」


 老師はその場では引き下がるしかなかった。



 剣士たちとファンタスクの2人は師を除いて打ち解けたらしく、切磋琢磨してオーダシューの槍のキレや、ファンティの気配絶ちを鍛え続けた。機械には筋力増加の概念はない。しかし、その分AIの成長は目覚ましく、外の特殊な武術に触れたことでメキメキと強くなっていった。


「ぐおっ、足元から!」


「もらった!」


 日も完全に沈み、冷え込んできた頃には、オーダシューはサカタに一撃入れられるほどに実力をつけていた。


「いやはや参った、やっぱりその槍からワープしてくる技は応用が無数に効きそうだ」


「これまで一撃ももらってなかったサカタもすごいよ。国の外にはこんな鍛え上げられた霊長種がいるなんて、考えたこともなかった」


 そうやって話しながら小屋に戻っていく2つの影。扉を開くと、オーダシューが初めて来た時と変わらぬ光景が広がっている。木で組まれた壁にしっかりとしたコンロ、水は井戸水だが、ここはかなり整備されているように見える。


 扉を閉めようとしたところ、大きな影がまた入ってきた。老師が監視のつもりでこの小屋を覗いてきたのだ。


「何用ですか、老師」


「いや、この時間ともなれば年寄りには眠くてな、早めに確認しておきたかったのだ。その絡繰は果たして眠るのか」


 部屋の端にはファンティが、うつらうつらと首を動かす。それは、まるで人間と同じく眠るという感覚があるようであった。


 やがて、ファンティは完全に目のライトを消し、一切の動きを見せなくなった。これは、一般的にいうスリープモードなのだろう。


「ほら、眠りましたよ。老師は考えすぎですよ」


「しかし、いびきの一つもかかんではないか」


 と、嘲笑する老師を知ってか知らぬか、ファンティはなにやらつぶやき始めた。


「みんな〜、虹の道は、ゆっくり……ね……」


 まるで寝言、上の空に言の葉を吐く様に、老師も薄々勘づいてはいた。スリープモードとはいえ、僅かに外的反応は残していると。そして、それで夢を見ることも、あると……。


 だが、老師は首を振り、突然、かのファンティに刀を突きつけた。あまりに急だったので、オーダシューが槍でその刀を妨害するのも、ギリギリのタイミングであった。


「何をするんだ、老師さんよ!」


「貴様もだが、この絡繰はわしには末恐ろしい、もはやここに置いておくことはままならぬ。よって一刀に切り捨てようと思ったが、それもやめだ。明日、貴様らとは正当な方法で決闘を申し込む。これに敗北するようであれば、そこまでの奴、まとめて廃棄だ」


「そこまで……蔑するか!」


「老師、気を確かに! 彼女たちはまだ……」


「それも聞き飽きた、決闘は確実、いいな!」


 全てを言い捨てた老師は静かに部屋を去っていく。槍を納めたオーダシュー、サカタはまだ来たばかりの来訪者の一体を見る。こんな騒ぎの中でも眠り続けるファンティ。彼女に戦いは任せられない、おそらくは保護者のオーダシューが戦うのだろう……そう考えていたのだった。

キヨヤス・ゲンベエ「今日のカード紹介、今回はこちらのカードでござるよ」


ゐ合の風来 キヨヤス・ゲンベエ

チェイサー

火属性 種族:ヒューマノイド/サムライ

コスト4 攻撃力4 守備力3 速さ+2

速攻

このチェイサーが攻撃した時、相手のオブジェクトに4のダメージを与えるか、守備力のないオブジェクトを1枚破壊する。

ターンの終わりにこのターンドローしていなければ、山札を見て好きなカードを手札に加える。


キヨヤス・ゲンベエ「1枚で守備力8まで取れるスーパーアタッカー! アーティファクトなどもついでに取れる実力もポイントでござるよ」


キンリュウ「この下の山札から任意のカードを持って来れるっつうのも癪な性能してんな!」


キヨヤス・ゲンベエ「まさにじわりじわりと有利に進めるこのカード! 是非とも新弾で手に入れて欲しいでござる!」

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