表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/41

一歩

 

 アイコンにはクエスト掲示板と表示されルールーは歩み寄った。


「まだ、どんな世界かわからないなぁ」


 目の前にはいくつものクエストの名前のついたフォルダーが並ぶ。

 フォルダーには色が付いているものもあり1つ1つに目を通していると日が暮れそうなので、ルールーは適当にファイルを選んだ。


「あんた初心者か?」


 背後から声を掛けられ驚き飛び跳ねるルールー。


「ええ、ああ、はい!」

「驚かせて済まない、おれはメビウズ8。で、あんた初心者だな」


 振り返ればすぐ横に白髪の雀斑の男性が立っていて空中に指を振っていた。

 装備はルールーと同じで初期にもらえるものでレザーの鎧、見回せばほとんどがその装備で珍しさはない。

 不審な動きに少し警戒したが、その動作が画面のスクロールだと知り返事を返す。


「はい、この間始めたばかりなんです。この間は友人がいたんですけど、今日は1人で」

「そうだったのか。意気揚々としているところ悪いけど、初心者ならそのクエストは受けられないな」


 話しかけられ驚いた拍子に指先が触れ、詳細の説明が表示されているクエストフォルダー。

 説明文の最後に点滅する赤い文字でクエスト受注不可と表示されていた。


「レベルが10以上になってからだ。フォルダーの横に星が書いてあるだろ、始めたばかりなら受けられるのは星のついていないクエストだけ」


 そういってメビウス8は検索機能を使いこなし、条件を絞ってルールーの前に白いファイルだけを並べる。


「なるほど、ありがとうございます!」

「ついでに言うなら、ファイルの色が白はソロ推奨、青はパーティー推奨、黄色はギルド推奨ってところかな。検索機能を使えば簡単に受けられるクエストを絞り込める」


「そうだったんですか、ためになります」

「このゲーム、死んでクエスト失敗した時のペナルティが少し重い。よかったらひとクエストだけ手伝おうか?」


「そうなんですか?」

「ああ。敵モンスターを倒したときやクエストを終えたときにもらえる経験値、名声ポイントっていうんだがそれが減る。レベル1より下がることはないが、それでもひとクエストがどんな短くてもそこそこかかる。短い休日をクエストの失敗で終えたくはないだろ」


「そうですね、負けたくはないです」

「白色のクエストは、個人でやるために用意されている。プレイ人数は2人まで、基本的に安全で短時間で終わる。とりあえず、採取は作業が地味だから討伐クエストで、その中でも簡単なクエストそれでいいか?」


「はい、お願いします」


 クエストをメビウス8が受注しようとしていると、金と赤い鎧を着た女性アバターが現れてルールーの肩を叩く。

 現実での知り合いのラオと一緒にゲームをプレイした友人。


「フルムーンさん」

「ログインしてたのが見えたから、来てみた。くえすと?」


「はい、クエストを受けようと思って」

「彼は?」


 合流したフルムーンはルールーと一緒にいたメビウス8を見る。


「今、クエストについて教えてもらっていたんです」

「友達か?」


「一応は、一緒に遊んでいます」

「そうだったのか、待ち合わせていたんだな。邪魔したか?」


「大丈夫です、フルムーンさんも一緒に行きましょう」

「だとしたら、クエストを変更だな。青のファイル、パーティー推奨の物に切り替える。ちょっと待ってろ」


 受注しかけていたクエストをキャンセルし、メビウス8は再検索で青いファイルを並べる。


「フルムーンさんもそれていいですよね?」

「うん、任せる」


 クエストを選ぶと視界の端にメッセージが届く。


「クエストは、小型モンスター複数体の討伐。場所は拠点近郊の森だ、どうだ二人とも」

「わかりました、頑張りましょう」

「ボクもそれでいい」


 パーティー申請とクエストが表記され二人は承認し、視界の端にメンバーの名前が表記された。


「ところで、メビウスさん。メビウスさんはこのゲームを初めてどの程度何です?」

「三か月、リリース日からだがどうした?」


「ボクと一緒か、いえなんでもないです」

「ああ、装備が初期装備だからか。大丈夫、そのゴテゴテした色の装備より、こういう野暮ったいのが好きなんだ。スキルも平凡だし変に目立たないしな」


「たしかに、初回特典スキンは色が派手だったり目立つの多いですからね」

「さて、ここで喋っているのもなんだ、受けたクエストに出発するか」


 建物奥へと進むとさらに下に続く階段があり、三人は階段を降りる。

 メビウス8とフルムーンに連れられ建物を出て階段を降りると、そこには駐車場があり運転席のないタイヤの大きなバスが何台も止まっていた。


「さぁ、この装甲車に乗ってルールー」

「これに乗るんですか?」


 見慣れた形は箱型でタイヤが付いているくらいで、例にもよって運転席の見当たらないSFチックな見た目な乗り物。


「そうだよ、自動運転で目的地まで送ってくれる」

「世界観壊れるなぁ……」


 車内には壁に折りたたんでしまうタイプの椅子と、武器や所持アイテムを変更できるように用意された箱が二つ置いてあるだけ。

 三人がバスに乗り込むと、メビウス8は受注したクエストの情報をバスの機械に読み取らせ扉が閉まると運転手がいないバスは発車する。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ