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クエスト

 

 勉強を終わらせたルールーはノートやパソコンなど机の上を片付けゲームにログインする。


 --ずっとゲームのこと考えてて授業に集中できなかったな……。


 ロードのための白い空間が晴れて行くと、ルールーは積もった落ち葉の上で目を覚ます。

 始めてプレイした時の景色と感動を忘れられず気が付けばゲームの中へと戻ってきた。


「我慢できず、1人で来ちゃった……」


 場所はログアウトした時にいた廃墟の一角にあった石造りの建物の中。

 大の字になっての転がっておりルールーは起き上がり、落ち葉の絨毯をガサガサと音を立てながら部屋の中を歩きまわる。


「昨日みんなと別れたところかな?」


 唯一この部屋にある人工物、壁にかかる鏡を見ると髪型などの身だしなみを変更するかどうかとアイコンが出た。


 --あ、そういえば何かアイテムを手に入れたんだった。


 選択肢のはいを押すと装備できるアイテムが表示される。


 体中いくつもある装備スロットが表示され、耳の部位に『新』という文字が浮かんでいた。

 チュートリアルのボスからドロップした灼熱の耳飾りというアイテムを選択しコマンドの装備するを選ぶ。

 すると耳にオレンジ色に輝く小さなピアスが出現した。


「おおー」


 名前の通りに炎を思わせる輝きを放つ小さな石。

 現実世界では作るのが困難、または不可能なものもゲームの世界なら安全に作れ身にまとうことができる。

 長い髪でやや隠れてしまいがちにはなってしまったが、動いたときに耳飾は光を受けてきらりと光った。

 小さくはあるが綺麗な装飾品にルールーは感動し、いろんな角度から鏡に映る自分の耳を観察する。


「きれい」


 他に手に入れたアイテムはなく、空のアイテム欄をスクロールさせたあとルールーは鏡から離れた。


 二つに増えた箱を調べると1つはコンテナで見た武器や防具などの装備を変えるもの。

 装備を変えるつもりはなく、すぐに箱のふたを閉め隣の箱の前に立つ。

 箱に触れようとすると同じように箱が勝手に開き底がせりあがる、同時に視界の隅にアイテム欄のウインドウが開いた。


 色以外は装備を変更する箱とまるっきり形の同じな、もう1つの箱の中には小瓶ほどの小さなスプレーが数本入っていた。


 --ラベル違うだけでみんな同じ容器だ。


 表記されるタグに視線を合わせると回復アイテムの文字。

 ・回復薬、体力がわずかに回復する。

 ・増強薬、少しの間攻撃力が上がる。

 ・俊敏薬、少しの間素早さが上がる

 ・守護薬、少しの間防御力が上がる


 --ほーん、戦闘ゲームではおなじみの薬かな? 今は薬草とか飲み薬とかじゃないんだ。何だろスプレー、傷口に吹きかけるのかな?


 心の中でポツリと呟き、箱の中にあるスプレーを1つ手に取ってみる。

 すると手にしたスプレーはつかんだ蓮の手のひらから消え、視界の端に移っていた画面にスプレーが表示された。


 --これで、手持ちに入ったことかな?


 残りの回復アイテムを手に取ると、それらはすべてアイテム画面に中に移動していった。

 他に室内に増えたものはなく、ルールーは最後に鏡を見て髪型を整え石造りの部屋を出る。


 --さて、どこへ行けばいいのかな。


 外は日当たりのいい森の中の空き地。

 ただしそれは家の周囲だけで少し進むと、大きく育った木々とぼんやりとかかる薄い霧が森の先の見通しを悪くしていた。

 周囲の他の遺跡の建物は崩れていて、家としての機能が残っているものはルールーが出て来た物を除いてはない。


 --とりあえず、向こうかな。


 拠点を出て真正面に森の木々より高く大きな建造物が見えそちらの方へと向かって家から道が伸びている。

 ルールーはその建物を目印に歩き出すことにした。


 周囲が霧に包まれるが正面に道は続いていてルールーは剣に手をかけて進む。


「何か出てきそう、幽霊とかホラーも嫌だなぁ。調べるか、ラオ先輩に聞いておけばよかった」


 遠く空の上から見た城か宮殿を思わせる建造物にたどり着く。

 周囲には遺跡の町が立ち並び、清掃、改築、飾り付けが行われ多くの人が往来している。

 敵の出現はなくルールーは剣から手を放し張った気を緩め深呼吸した。


「ついた……ここ、町だ」


 見慣れない草木が街路樹として植えられ、道の左右に様々な商品が並ぶ露店。

 小さなアクセサリー類から大きな置物のようなものまであり、商品は取り扱っている店によって異なる。

 皆忙しそうにどこかへと向かって歩いたり走ったりしていた。


「この人たち、みんなプレイヤーなのかな?」


 通行人に焦点を合わせるとタグが現れプレイヤーネームとレベルが表示される。


「すごいこの数、ほんとにプレイヤーなんだ」


 人や町を見ながら歩くルールー。

 露店は大きな建物の正面の大通りだけでなく横に延びる小道にも点在していた。


「いろんなお店があるなぁ」


 大勢のプレイヤーたちは吸い込まれるように大きな建物へと向かっていっては、出てきて別の場所へと向かっていく。

 多くの人が1か所に向かう都会の朝にも似た光景に、ルールーは流されつつ古い石壁に苔むした大きな建物に向かう。


「みんなが向かうからには、あの建物に何かあるのだろうなぁ……行ってみるかな」


 ルールーはまっすく賑やかな町を突っ切る。

 活気ある町にも興味が湧いたがひとまず早く世界を回るためクエストに出たかった。

 大きな建物は神殿を思わせる作りで地下へと続く大きな階段が口を開いている。


 --この町もそのうち探索しないとなぁ、家ってどこら辺にあったんだろう。


 建物に入り階段を降りるとそこはロビーとなっており近未来的な物資が山と運び込まれ、建物のあちこちに設置されていた。


 ロビーにはあちこちに取り付けられた眩しい照明、立体映像を映し出すモニター、大きな通信機。

 そして目立つ大きなコンテナとそれを囲むように何本も刺さる金属の支柱。

 多くのプレイヤーが往来しており建物の中は遺跡というより、何かしらの基地を思わせるような場所。


「ここだけ見るとSF映画だ」


 遠目から見た宇宙船やアイテム箱、コンテナと同じような近未来的な白い金属製の二本の支柱へと歩み寄った。

 人が近づけば反応して支柱の間に文字や画像を表示する。

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