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チュートリアル 4

「いでっ!?」


 ダメージを受け頭の上にダメージ数値を浮かべながらしりもちをつくルールー。

 背後に控えていたフルムーンが槍を構えて飛び出すと石人形の頭めがけて突き刺す。

 頭部に金色の槍は深く突き刺さるが跡を残して剣と同じく透過し突き抜け、通り過ぎ背後に回ってもう1度突くと石人形は砂となって消えた。


「ルールーさん大丈夫?」

「痛かった。あ、いや強い振動だけで痛みはないんですけど、体力ゲージが減りました」


「ああいう時は回避か防御しないと」

「石の塊で殴られたらってちょっと怖くてびっくりしただけです。防御ですね、防御防御」


「スタミナの減りにも気を付けて。スタミナなくなると無防備状態になる」

「気を付けます」


 視界の端に移るルールーの体力ゲージはわずかに減っている。

 その下にあるスタミナのゲージも減っていたが時間経過とともに回復した。


「でも、なかなか怖いですね。自分より大きなものは迫力が……」

「戦って慣れるしかないね。剣だったらもう1回攻撃してれば倒せたよ。あとこのステージだけは赤ゲージになると救済措置で無敵になるから死なない」


「敵がリアルすぎて身がこわばっちゃうんですよ」

「そこがいいとこでもあるんだけどね、現実では味わえない刺激がある。こういうゲームしたことない?」


「何年か前にやったのが最後、その時は兄が持っていた戦う感じのはモンスターテイム系のものと町作り系のものでした。もっとポップでメルヘンチックな。……あとホラーな物、あれはトラウマ。怖すぎてあれが最後にやったゲームです」

「だとしたらこのゲームは辛いか。みんなラオが悪い」


「でも、みんなでワイワイするのは楽しいです」

「無理そうなら行って、近接戦闘だけが戦いじゃないから」


 フルムーンは槍をルールーへとむけると、何の説明もなく穂先に光の球体を作り出し撃ちこむ。

 避ける間もなく光の弾はルールーに当たり、わずかに減った体力が回復した。


「これが回復魔法」

「おおー、なんか暖かいです」


「チュートリアルであるここで死ぬことはないけど、ボス戦はやられると部屋の前からやり直しにされるから気を付けて」

「ああー……」


 戦闘が終わり振り返り後ろで戦闘に参加せず手を振っているラオちらりと見ると、彼女を置いて二人は遺跡の中に入る。

 敵はリアルだが動きはどれも同じ、攻撃パターンも一緒で相手の強ささえわかれば恐れることもなくルールーは前に出た。

 奥に進むにつれ数が増えるがフルムーンが石人形を誘導し1度に戦う数を調整し、剣を振り回すルールーは石人形を1体ずつ倒していき戦いを覚えていく。


「頑張れー」


 その間も、ラオは戦闘に参加せずずっと後ろから声援を送っていた。


「ラオは何してるの?」

「応援、バフ効果なし」

「先輩が手伝ってくれない!」


 戦いの中で回避の仕方も覚え、ルールーはこの遺跡に現れる石人形相手には1歩も引かない戦士となった。

 最初にルールーが水を掬って遊んでいた木漏れ日の差し込む部屋へと戻ってくる。

 先への道はこの場所へ初めて来た時と違って閉ざされており、また部屋の中央には同じく先ほどはなかった岩の山が転がっていた。


「あれ扉が閉まってる。行き止まりですか?」

「さぁ、ボス戦だ」


 三人が部屋の奥へと進むと床から壁がせりあがって唯一の出入り口も塞がり、逃げ場のなボス部屋が出来上がる。

 そして扉が閉まると同時に部屋の中心にあった岩の山が動き出し、ゴツゴツと音を立てて組みあがっていくと大きな岩の巨人へと姿が変わった。


「これがボス。石人形よりは大きいけど、思ってたよりかは小さい?」

「いきなり馬鹿でかいのだしちゃうと後々が大変だから中ボスみたいなサイズにしたんじゃないかな?」


 大きさは部屋のギリギリ天井にぶつからない6メートルほど、角の取れた丸い体をしていたが、腕には半透明の結晶が生えていてその部分だけギザギザに尖っていた。

 その結晶の生えた大腕を振りまわす巨人。

 しかし、動きは遅くボスである岩の巨人は石人形の大型版といった印象。


「行け、ルールー!」

「はい!」


 岩の巨人の背後に回り剣を構えるとルールーは岩の巨人に飛び掛かった。

 ボスとはいえ最初のステージ、ボスの攻撃パターンは少なく単調でフルムーンが岩の巨人の攻撃をひきつけている間にルールーが剣を振り攻撃を続ける。

 斬りつけるたびにボスの体から数字がこぼれ空中に浮かぶ。

 連続で斬れはその分新たな数字が浮かんでは消えていく。


「なかなか死なない」

「一応はチュートリアルの最後、攻撃と回避をうまく組み合わせて戦えば大丈夫」


 フルムーンがひきつけそのすきにルールーを岩の巨人に攻撃させ、ルールーに標的を変えればフルムーンが槍で突く。

 前も後ろもわからない岩の巨人は体をひねり腕を左右に広げて振り回すと、回避が遅れたルールーとフルムーンが攻撃を受けゴロゴロと転がり壁まで弾き飛ばされた。

 視界には赤い文字でダメージ15と出て、視界端に移っていた緑色のバーが4分の1近く削れる。


「痛っつつ、防御し忘れた」

「全周囲攻撃の予兆を見逃したか、スタミナ使い切ってた。うわっ、初期ボスでもダメージ大きいな」


「でも、あと少し」

「行け、ルールー!」


 攻撃後の硬直時間を見計らって剣を構えルールーが飛び掛かろうと駆け出す。

 だがルールーが剣で斬る前に、突如地面から吹きあがった火柱が岩の巨人を足元から炙る。


「どーん!」


 戦闘でフルムーンの位置とボスの岩の巨人しか見えていなかったが、見回せば部屋の隅にいたラオが杖を高く掲げていた。

 数秒で岩の巨人の真下に現れた火柱は消え、ラオの1撃がとどめとなって岩の巨人は砕け砂になり消えていく。


「ふふふ、見てられないなぁ」


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