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ゲーム 1

ルールーも散らばったアイテムを拾い地上へと上がった。

視線を動かしパーティーメンバーの体力ゲージを確認する。


『どうした?』

「ダンテさん帰っちゃったかな?」

「欄に名前はないし戦闘が終わってもパーティ内に戻らないし、そのようだな」


『私らも帰ろう、イベントはまだ始まったばかり早く次に行こう』

「え、また戦うんですか?」

「そりゃ、何度も倒して素材を集めなければイベントアイテムが手に入らない。同じ相手と戦うのはしんどいこともあるが、戦っていくうちに慣れても来るだろう」


「大変だなぁ、イベントって」


来るときは全員一緒だったが帰りは個別なようで、バスの止まる駐車場には誰もいない。

バスへと乗り込みバスに乗って霧の中を走り町へと戻ってくる。

町へとつくと戦いで敗れたラオも復活し、エクレアと一緒にルールーの手を引いて階段を上がっていく。


「さぁ、報酬貰ったらすぐにクエスト受けてガンガン回ろう」

「一戦にかなりの集中力使うから丸一日続けるのは難しいし、どこかで休憩もはさみたいな。最初の一戦で我はかなり疲れた」


「あれね、イベント始まった瞬間にクエストの中にPVPのところの人間が混じっていただなんて驚きだよ」

「今日中は無理だけど、今週中にはイベント装備が欲しいね」


更に人が増えておりクエストを受けるためのロビーは人で溢れかえっていた。

ルールーたちはコンテナの中で報酬を受け取って出てくると、猫背でポケットに手を入れ一人階段を上がって町へと戻っていくダンテの後姿を見た。

ラオとエクレアはクエストを再び受けに行くために背負向けていて気付かず、その後ろ姿を見たルールーは後を追いかける。


「ラオ、エクレア、ちょっと行ってきます」

「え、どこに? トイレ?」


ルールーはイベントに向かうプレイヤーをかき分けて階段を駆け上がっていくと、去っていくダンテを呼び止めた。


「ダンテ! ……さん」


突然名前を呼ばれ驚き振り返るダンテ。

呼び止めたのが黒い衣装のルールだとわかるとため息をつく。


「なに、文句? 結果的に勝ったんだから問題ないでしょ?」

「違くて、その……」


「なにさ?」

「一緒にクエストに行きませんか」


「3対1であたしと戦う? ここはPK出来るんだっけ? あたしが煽ったからあの先輩に言われたの?」

「違います」


「なら私を誘う理由ってなに?」

「今度は一緒にクエストに行きたいんです。さっきはなんかいろいろあって戦うことになっちゃったけど」


「クエストって、そのさっきのイベントでしょ? またあたし戦いたいの?」

「違くて、今度はそうもっと楽しいの」


「楽しい? ……別にどうでもいいんだけど、あたしもPVPのところに戻って戦うだけだし」

「私たちと戦う時つまらなそうな顔をしていたから。気になって」


「友人に話を聞いて来てみただけ。でも、思ったより面白くはなかった、イベントとかなら面白いかなって参加してみたけど。それもさっぱり」

「普段は一人?」


「友達がいれば一人でいないよ。なに、馬鹿にしてる?」

「違くて、だから……」


指を動かしルールーはフレンド申請を送る。


「なに?」

「友達になりませんか?」


ダンテは送られてきたフレンド申請を断った。

即座に送りなおすルールー。


「いらないよ、何であたしがあなたと一緒にクエスト受けないといけないの?」

「わかんないけど、なんか放っておけなくて」


再び断るとルールーと今度は3つになって帰って来る。

急に増えた数に戸惑うダンテ。


「うわなにっ!?」


驚くダンテをみていたルールーの背中をたたくラオ。

その後ろからエクレアも顔をのぞかせる。


「ルールーが友達づくりしてるから、参加しようと思って」

「我も」


ルールーたちを見てダンテはため息をつく。


「鬱陶しい、余計なおせっかいだよ先輩」

「知ってる。でも、私の遊ぶゲームは遊びつくして一片の悔いは残したくないの。私たちが原因かわからないけどそれでゲームをやめてしまったらそれは私としても悲しい」


「別に人がゲームをやめる理由は何であろうとあんたには関係ないでしょ」

「だから一緒に遊ぼう」


「おい先輩、聞いてないな?」

「みんなでワイワイ戦うのも楽しいよ」


この後も何度か繰り返されるのだろうと思うとため息をついて諦め、ダンテは3人分のフレンド申請を了承する。


「わかったよ。でも別にゲームはやめないよ元の場所に戻るだけ。PVPに少し疲れたからこっちに普通に遊びに来ただけ、でもここにきてまたPVPをやらされてつまらなく感じただけだから」


ついに諦めてフレンド申請を受け入れるダンテ。

フレンドになったことを喜び取り囲むように寄ってくるルールたちは、ポケットに手を入れたままのダンテの腕を引いてロビーへと引き戻す。


「なら星1のクエストに行こうか。ルールーは上がったばかりでまだクエスト行ってないんでしょ。ちょっと待っててイベントのクエスト断ってくる」


ダンテを連れてくる役目をルールーとエクレアに任せ、ラオは先に階段を下りていく。


クエストを受けやってきたのは丘のマップ。

空はところどころ曇っており、丸く大きな灰色の雲が大小問わずゆっくりと流れていく。


「すごいね天気も、自然っぽい。綿菓子みたいな雲がいっぱい」

「雨の匂いもするな、もしかしたら戦闘中に振って来るかも。我は雷嫌いだからゴロゴロならないといいんだが」

「なんかのほほんとしてるなぁ」


ルールが前着た場所と同じ岩に囲まれた場所で停車し、先にバスを降りたラオは後に続いて降りてくる皆に振り返る。


「到着! 皆様に大事なお知らせがあります、今回は負けます」

「なんで?」


みんなで楽しくといっていた矢先で受けたクエストで負けると聞き乗り気でなかったダンテが混乱し尋ねた。



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