イベント 3
最後にエクレアが着地をすると唸り声のようなものが空間に響き始め、探索していたプレイヤーたちが一斉に武器を構える。
そして皆が降りてきた穴の上から追ってくるように降ってきて大型モンスターが出現した。
黒いローブで頭から足まで覆い、顔は動物の骨を被っている4脚の怪物。
それが2匹。
「ケンタウルスみたいなボスだ」
「2匹か、片っぽを集中攻撃して倒していった方がいいか?」
「弓ではなく杖を持っているようだけどね、大人数で戦うんだ広範囲魔法ぐらい持つか人に隠れて攻撃モーションが見えなくなるのは怖いな」
4本足の怪物は閉じられたマップ内を馬のように走り出し、上半身に手にした杖を振って魔法を繰り出す。
プレイヤーたちはそれを二手に分かれて追いかけ攻撃を当てていく。
範囲攻撃を繰り出しプレイヤーたちはそれを躱したり防いだりする。
「とりあえず、我も戦いに参加してくる!」
大きな体も複数人に囲まれ見なくなり、複数の魔法が上半身にも当てられて見えなくなった。
「わぁ、フルボッコですね」
「何もさせない、何かされる前に倒す、それが戦いの鉄則」
「我らも攻撃に参加しないと」
ボスが杖を振ると赤く点滅する光球がプレイヤーたちを飛び越えマップの端に落ち2本の木が生える。
その木は左右に揺れ瓢箪型のモンスターを生み出した。
離れた場所から攻撃パターンを見ていたラオとルールーは、それに気が付き走り出す。
「あれ、一番最初に戦ったモンスター」
「あれは厄介だ、皆ボスを倒すことだけに夢中になってる放っておくと面倒くさいことになるぞ!」
瓢箪型のモンスターの攻撃も依然と変わらず噛みついたり体当たりするだけの単調なもの。
2本の木から次々と現れる瓢箪型のモンスターをルールーたちは倒し、モンスターを生み出す本体へと向かう。
近くで同じように剣を振り瓢箪型のモンスターと戦うプレイヤーの姿。
それはメビウス8で戦いながらもルールーは声をかける。
「メビウスさん、一緒にあの木を叩きましょう!」
「ボス討伐に貢献したかったが仕方ない、こいつは放置しておけないもんな。二匹いる、初見のボスだけど十分戦えている倒せそうだ。俺らはこの雑魚に邪魔させないように一匹ずつ倒していこう」
剣を振り2人の剣士は盾を構えて守りながら瓢箪型のモンスターを蹴散らしていき、本体に斬りかかる。
2匹いる木のモンスター、そのうちの1匹を狙って確実に攻撃を加えていく。
「なんか昔戦った時より与えるダメージが減ってる気が?」
「プレイヤーの数が多いから、強化されてるのかもな?」
「応援が欲しいですね」
「ああ、でもみんなボスに夢中だ俺らで戦うしかない」
ラオが範囲魔法でもう片方の瓢箪型のモンスターをまとめて吹き飛ばす。
ボスのもとへといっていたエクレアも戻ってきて、木のモンスター本体に向かって魔法を放つ。
「がんばれー、剣士組。応援だけならするよ~」
「我らも裏方で貢献しよう」
「向こうは任せて大丈夫そうだ。イベントだけあって倒しやすいようで、もうすぐボスも倒される。私らはこのままこいつを止めよう」
「小物処理とは、誰にも見てもらえない悲しい裏方だな」
二匹の木のモンスターは処理されるとボスは新たにモンスターを召喚し、マップの端に次の敵が出現する。
顎の無い熊のような巨体の怪物が4匹。
召喚された怪物はゆったりとプレイヤーたちめがけて歩き出す。
「次が来たか、どうやら星0のモンスターを従えているようだ。星1以上しか受けられないというのはこういうことだったのかもな」
「メビウスさん、これってボスが倒されるまでどんどん湧くんですかね?」
「多分な、駆除し続ける限り俺らはボス攻略には参加できなさそうだ」
「残念ですけどこいつらなら戦ったこともありますし、戦ってやられる心配はなさそうです。任せましょう」
「ああ、残念だがボス戦は次にしよう。この一戦限りってわけでもないしな。今回はあいつらの掃除を担当しよう」
「行きます!」
数が多く1人1匹を相手にすることになったがエクレアやラオも怪物と戦う。
過去の戦闘で正面に入れば大ダメージを受けると聞いているため、何とか背面に向かって回り込む。
「一対一なら負けない、けど早く倒してエクレアたちの援護に行かないと」
ラオとエクレアは杖を装備する魔法使い。
魔法を使う杖が攻撃に使うマジックパワーは限りがあり、すでに一匹モンスターを倒している。
一匹目は難なく倒せたとしても敵モンスターの出現は何匹出てくるかわからず、このまま戦えばマジックパワーは枯渇してしまう。
「よそ見し過ぎてやられるなよルールー。こいつの攻撃は痛い、強化されているなら手ごわいぞ」
「大丈夫です、動きはそれほど上がっていないみたいですし倒せます」
ルールーたちが召喚されたモンスターたちと戦っている間にボスのヒットポイントが2割を切る。
するとボスの目が光り咆哮を上げ杖を高く振り上げ地面に叩き付けた。
その攻撃にダメージはなかったが、すべてのプレイヤーがボスの元から弾かれ大きく飛ばされる。
「何だ大技か?」
「ダメージはないな、何だったんだ?」
地面から赤い靄が噴き出し数人のプレイヤーのアイコンが敵アイコンに変わった。




