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楽しみ

 

 ぬいぐるみが並ぶ場所で足を止めるルールー。


「ルールーぬいぐるみ好きだよね? リアルも集めてたっけ?」

「いいえ、家にあるのは先輩が前に誕生日でくれたやつだけですね。お、なんか前より品ぞろえ増えてる?」


「ここらのぬいぐるみもどこかのギルドが作ってるんだと思うよ、多分こういうのを作ってるのは生産ルートかな。売り切れたらまた次が仕入れられるまで欠品、ほとんどのアイテムはプレイヤーの生産にゆだねてる」

「なるほど入荷したばかりだから品ぞろえがいいのか、いっぱい買っちゃおう」


「ルールーの機嫌が直ってよかったよ」

「いつまでも拗ねてもいられません、戦って新しいのをドロップしますよ。次は服はもっとキラキラしたやつが良いです。フルムーンのやつみたいな」


 自分の真っ黒な装備を見て、そのままラメの入った黄金色のフルムーンの鎧を見比べる。


「フルムーンの着ている防具、神託の英雄は初回特典だから難しいね。もし売りに出されてもすぐに誰かが買っちゃうだろうし」

「あ、そういうのも売れちゃうんですね」


「ちなみに神託の英雄のスキルはモンスターの注意を引くことと会心率の上昇。他の衣装にもこのスキルはあるけど、見た目もきれいだし初回特典だから価値が高い」

「確かに町で見るほかの防具より目立ちますね」


「だからモンスターだけでなくプレイヤーからのヘイトも高い。大体蛍光色とか原色みたいな派手な色使いは課金装備なんだけどね。課金装備やイベント装備はプラスよりデメリットのスキルの方が大きいけど、性能が偏ってる分うまく使えれば効率の良い戦闘ができるんだけどね」

「派手な色にそんな意味が」


「PVPだと課金プレイヤーは無課金プレイヤーにすぐ囲まれるよ、妬まれてる。注意を引くのはモンスターだけじゃないってことだね」

「わぁ……」


 ラオと話しながらルールーは赤い目がたくさんついた烏、真っ赤な帯のついた柱、四本の脚で立ち二本の大腕を持つ獣などいくつかのぬいぐるみを衝動的に買っていく。


「次は、歩くたびにガサガサいう落ち葉じゃなくて床に敷く絨毯が欲しいです」

「はいよ、お嬢様の言う通り。今日は私ルールーのご機嫌取り頑張るから」


「ラオ先輩、そのあとおいしいものを味わいたいです」

「私にお任せあれお嬢様」


「そういえば、私だけ買い物してますけど、ラオ先輩やフルムーンは買い物しないの?」

「私たちはメインでやってるサーバーが違うから、こっちの部屋では長時間は過ごさない。いつもルールーの家に集まってるでしょ。ここのサーバーのマイルームにはいないから、ここで買う必要もないんだよね」


「でもクエストは私より進んでいるんですよね?」

「まぁね、それぞれのサーバーごとに出る割合の違うアイテムがあるし。お金はPVPルート、レア食材は生産ルート、装備や家具に必要な素材は通常ルート、ここは装飾品のドロップ率が他より高い。だからここには装備集めに来ている感じかな、スキルの件もあるし需要は高いよ。ルールーもこのゲームにも慣れて来たしサーバー移動してみる? ここでの星が1になったから移動はできる……移動したらそこでまた星を1にあげないと移動できないけど」


「先輩やフルムーンが普段プレイしている他の場所も気になりますし、でも少しだけ考えてみます」


 キャッキャ騒ぐ2人について来ていたフルムーンが静かに呟く。


「ほんと仲いいんだね、ラオとルールーは姉妹みたい」


 その声を聴いて2人は振り返り少し考える。


「ラオ先輩が進学で引っ越すまでは一緒に遊んだり勉強教えてもらったりしてましたし、お姉ちゃん的な感覚です」

「確かに、年下にやさしいんだ私」


 2人で仲良くしているのを羨ましく思っているフルムーン。

 ずっとラオと二人で話していたことを思い出し、そんな嫉妬をかわいく思いルールーはフルムーンに抱き着く。


「何言ってるの、何度も一緒にクエスト行ってるしフルムーンとももう仲良しでしょ?」

「う、うん……」


 振り払おうと少しだけ抵抗するフルムーン。

 だが、ルールはがっちり抱きしめたまま放さない。


「ごめん、ラオ先輩とばかり話してた。一緒に買い物しよフルムーン」


 2人は手をつないで店を歩き絨毯を選ぶ、今度はラオが保護者の気分でその後ろをついていく。


「それじゃ、たまにはモンスターと戦わない探索クエストでもうけるか」

「何かをいくつ取ってきてってていうお使いクエストですか? 星が上がったのに上のクエストは受けないんですか?」


「星0の方が倒しやすいからね。強いモンスター出ないし、邪魔されずゆっくりすごせる。おいしいもの食べるんでしょ」

「なら賛成です、いきましょう」


 買い物を終え3人はクエストを受けに向かった。

 到着すると何度となくクエストで訪れた森を歩き食材を探す。


「その装備のスキルは今度調べてみるよ、もしかしたら情報あるかも」

「その装備かっこいいよルールー」

「かわいくないとよくないんです」


 ラオが辺りを見回し何かを探す。


「先にクエスト内容の風樹の実を探そう、赤い落ち葉が山になってる場所で採取できるはず」

「NPCいないのにクエストはどこから来るんだろうね」


「乗ってきた宇宙船みたいなところからじゃない? あとは落ちてきた一隻だけとも限らないし、まだ宇宙に何隻かいる設定で後々現れるのかも」

「アプデされていけばそのうちわかるのかな」


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