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ボス戦 3

 

 吹き飛ばされた二人が戻ってくると、クラーケンが剣を振りながらルールーに尋ねた。


「お前、盾を持っていたのか」

「ええ、まぁ、運よく出たドロップアイテムです」


「お前ほんとに星0か? サブ垢?」

「私は先輩たちとここでしかプレイしていませんよ」


 振り上げた拳がルールーとクラーケンを叩き潰した。

 ルールーは盾で防いだが大ダメージを受け、一緒にいたクラーケンはヒットポイントがゼロになった。


「ねーちゃん!」


 反射的に叫んだベヒモスの声に驚き思わず振り返るルールー。


「え? おねーちゃん?」


 クラーケンのヒットポイントはゼロになりその場に倒れた。

 そして起き上がらなくなった体から光の球体が飛び出る。


『おつった。面目ない』


 光の球体はフワフワとベヒモスの周りを浮きまわり、攻撃は範囲から離れて回復するルールーの方へと飛んできた。


『すまない油断してやられた』

「大丈夫です、まだ回復アイテムもあるし戦える」


『だが敵はヒットポイントが多い、アタッカーが1人消えて攻撃力が落ちた。1人は魔法使いだ火力が足りない』

「大丈夫、エクレアは主力だから!」


 攻撃を躱しルールは背中に飛びつき駆け上がる。

 ルールーに向けて巨人の頭が回転しビームを放つ。


「流石に無防備ってわけじゃないか。でも動きもわかってきた、頼むよエクレア! なんか強そうなやつ!」

「任せろ、急所を貫け、シャイニングバースト!」


 ビームを避けるために巨人の背から飛び降りるルールー。

 光の束がエクレアの末の先端から放たれ大岩の巨人の頭を貫く。

 再び大岩の巨人の動きが止まった。


「二度目の混乱! ここで一気に削るよ!」

「フレイムストーム!!」


 地面から吹き上がる炎とルールーの強力な一撃。

 ダメージを受けた場所が火の粉を散し大岩の巨人がドロップアイテムまき散らしながら崩壊していく。


「倒した!」『倒した!』

「やっつけた!」「終わった」


 広場にはやられたクラーケンと大岩の巨人が残したドロップアイテムが残る。

 ルールーとエクレア、ベヒモスが順に散らばったドロップアイテムを回収し最後に魂となったクラーケンがアイテムを拾った。


「あの状態でもアイテムは拾えるんだ」

「おや、他の2匹はドロップアイテムを落とさなかったか」


 他にアイテムがないか周囲を見回すエクレアに近寄って来るルールー。


「お疲れ、すごいね魔法」

「だろう、装飾品を探しながら頑張っていたら増えたんだ。今回も装飾品ゲットだ、目的のものではないけど」


「でも、技名叫ぶ必要あるのは恥ずかしいね」

「いや、別に叫ばなくてもいいけど……迫力があるから」


 フワフワと浮かぶクラーケンの魂がベヒモスを連れて話しかけてくる。


「ところで何だよ混乱って?」

「打撃攻撃や特定の魔法を一定の値まで当てると、相手を一時的に行動不能にできるんだ。我の魔法は混乱値を特化させた杖だ、攻撃性能は混乱値の蓄積型の杖で一定確率で混乱値の上昇。装飾品も黒装、魔樹の木の葉、混濁の指輪と魔法と混乱値の確率上昇アイテムで身を固めた」


「装飾品なんて見た目を飾るもんじゃないの?」

「装飾品には隠された能力があるそうです。ところで、おねーちゃんというのは……? クラーケンさん女性?」


「あ、ああ。まぁ、リアルの話。いいじゃん、ゲームの中で性別が違うくらい」

「いや別に何とも、ただビックリしただけです。声も見た目も男の人だから」


「キャラクリにたっぷり時間をかけたからね。ところでさ、ルールーも俺ら2人で倒した中ボスを1人で倒してただろ。回復してるところもあまり見なかった、どうやってあんなに早く倒した」

「盾での防御以外に回避を使って避けてますし、攻撃も溜めで弱点を積極的に狙っていったくらいしか」


「ほんとに初心者なんだよな?」

「はい、一緒にプレイしている人にいろいろ教えてもらってるんです」


「なぁ、もう1戦一緒に戦ってくれないか? 俺ら攻略動画を見るくらいなら自分たちで戦ってプレイしてたいって思ってて、いままで見てこなかったから何も知らなかったんだ」

「いいですよ。私も教えてもらうまで何も知りませんでしたし、綺麗な世界ですしずっとプレイしていたいという気持ちはすごくよくわかります。いいよね、エクレア?」


 エクレアは深く頷く。


「それじゃあ、もう1クエストお願いします」

「こちらこそ」



 皆で帰還し報酬を受け取るとボスクエストをクリアしたエクレアのプロフィールに星が1増えた。


 クエストに参加しただけのルールーの星は上がらなかったため、4人は同じクエストを受け直すと素早くバスに乗りマップへと移動する。


「今度は私のクエストです、よろしくお願いします」

「よろしく、教えてもらう見て聞くのもなんだがこのクエストでよかったのか? 敵が強くなる奴だぞ」

「俺も剣に変えてきた、俺にも教えてくれ」


 遺跡のマップに降り立つとベヒモスも武器を槍から剣に変えて戻ってくる。

 2人は盾をもっておらず鞘に収まった剣だけ、三人の横に立つエクレアがつぶやく。


「……我、槍に変えておくかな。そうなると衣装も変えねば」

「ありがとうエクレア」


 ベヒモスに続いてエクレアも装備を変えた。

 軽装な水色の鎧に青地に白い模様の入ったローブに着替える。


「いっぱい持ってるね、……課金?」

「いいやドロップしたのと、素材集めて町で作ってもらったやつだ」


 彼女の持つ槍自体は初期の状態のまま。


「我も準備できた、さすがに杖しか装備は揃えていないからこっちは最初の槍だが。後この杖は使い込んでいないから回復しかできない」

「大丈夫、無理させるかもしれないけどお願い」


 準備が整うと4人はボスのいる広場へと向かって歩き出す。

 行動で消費するスタミナの話、連続攻撃以外の溜め攻撃の話、混乱値の話などをしながらすり鉢状の広場に入る。


「では話した通りの方法で戦っていきましょう」


 ルールーの声に剣を素振りしていたクラーケンとベヒモスが前に出た。


「いっちょやってやるか」

「このゲームただ剣を振るだけじゃなくて、こんな戦い方があっただなんて」


 接近に岩の巨人たちが動き出す。

 盾を持たないクラーケンとベヒモス、それと杖を持つエクレアが岩の巨人を相手取り、もう1匹をルールーが相手をする。

 あまった大岩の巨人から引き離しながらそれぞれの戦闘が始まった。


「さて、1人でどこまでできるか。戦い方を教えたけどラオ先輩みたいにちゃんとは伝えられなかった、負けちゃったら謝ろう」


 ルールーは剣を構えて突撃する。


「さぁこい、一度できたことは何度でもできるはず」


 ルールーに習った通りに剣を振り方を変え打撃や刺突などの属性攻撃を加えていく。

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