ボス戦 2
遅れてルールーが剣を抜いて巨人へと向かい、三人の後ろでエクレアが杖を構えた。
「囲まれないよう、手前のやつを1匹ずつひきつけながら戦う! 奥の大きいのが追ってきたら距離を取れ」
「はい、行こうエクレア」
「我はあのでかいのをひきつける、その方が戦いに集中できるだろう?」
「大きいの、攻撃方法わからないからやられないように気を付けてね」
ルールーたち二人はボス戦ということもあって、普段は使ってこなかった能力増加のアイテムを自分にふりかけ岩の巨人たちに立ち向かう。
「我はすでに何度も戦っているのだよ」
「うん、わかった任せるエクレア」
エクレアは紫色の結晶のはまった赤錆色の杖を前に突き出し構えると、杖の先端から光線が放たれ大岩の巨人の頭を狙う。
連続してのパンチや長い大腕を振り回しての攻撃、最初にルールーが戦ったときとまるきり同じ攻撃。
「最初に戦った相手だけ会って動きが遅い」
「だが、体力が強化されていてなかなか死なぬな」
両腕を振る攻撃を盾で構えて防御し隙を狙って剣を振った。
「とりあえず人型ってことは頭が弱点なんでしょ!」
ジャンプし高い場所にある岩の巨人の頭部を突き刺す。
ダメージ表記は2桁を出しそれが有効だとわかると岩の巨人の攻撃後の硬直を狙って積極的に狙っていく。
途中で能力値上昇アイテムの効果が切れるがそれでも攻撃を続ける。
プロテクターをかざし盾で広範囲攻撃を防ぎ反撃、通常攻撃をよけ連撃、剣を振り続け岩の巨人にダメージ表記が絶え間なく浮かぶ。
「ほんとにしぶとい!」
大振りの攻撃を躱しルールーは剣を両手に握って溜めからの渾身の1撃。
髪とピアスが一瞬輝き、握っている剣に炎のエフェクトがかかる。
「うわ光った!」
ボスに与えた傷跡が赤く点滅しそこから火花が散ると追加のダメージ表記が浮かぶ。
さらに攻撃を躱して溜め攻撃を加えると岩の巨人は崩れ消滅した。
「やっと倒した、なんだろさっきの先輩の言ってた属性攻撃!?」
回復アイテムで傷を癒す。
普段ルールーたちがキャッキャ言いながら戦っているの比べて、クラーケンたちは黙々と剣を振り岩の巨人と戦っている。
クラーケンたちはスタミナある限り攻撃スタミナがなくなるとモンスターの背後に回り込んでスタミナを回復する。
槍を持つベヒモスも補助魔法や回復魔法などサポートをあまりせず攻撃に進んで参加していた。
--人によって戦い方って違うんだなぁ。……あれ、弱点とか溜め攻撃とかをしてない?
攻撃を受けながらでも負けじと攻撃し続ける2人にルールーが援護に向かおうとするとちょうど大岩の巨人は崩れて消滅する。
回復アイテムを使って一息つくベヒモスがルールーに尋ねた。
「そっちの巨人はどうした?」
「倒しました、ヒットポイントとダメージが上がってましたけど新しい攻撃もなかったみたいですし」
「倒した!? おいおい二人がかりでやっとな相手に、そんなわけないだろ!」
「それよりエクレアのもとへ行きましょう、話は戦いが終わってから」
三人は体力を回復し武器を構えると、エクレアが魔法を撃ち続ける最後にのこった大岩の巨人へと立ち向かう。
「どうやって倒したか後で話を聞かせてもらうぞ!」
「かまいません、クエスト手伝ってもらってますし」
ルールーは大岩の巨人へと向かいその足元に剣を向ける。
ベヒモスが槍で巨人の足を突くが弾かれて後ろによろめく。
「おい、ルールーこいつの肩に上るぞ。そこならほとんどの攻撃は受けない」
「この大きいのは登れるですね」
動きながらも大岩の巨人には足場判定がありクラーケンが取りついて登っていく。
それを見てルールーも背中に飛びつきモンスターの背に上った。
「ふぅ、登れた」
エクレアの光線とともにクラーケンと一緒に大岩の巨人の頭部に斬撃を加える。
大岩の巨人は力が抜けたようにその場に立ち止まった。
「止まった?」「バグか?」
「混乱です、ぼさっとしてないで一気にけしかけて!」
ボスと同じ様に立ち止まる二人を一括するルールー。
そして回避で接近し勢いをつけて大きな体に剣を突き立てダメージを与える。
遅れてクラーケンとベヒモスも攻撃した。
「吹き上げろ、フレイムストーム!」
大きく杖を振りエクレアが巨人の下から火柱を立ち上げる。
足や胴体、両腕ににもダメージ判定があり混乱中ということもあり多大なダメージを与え、頭の上に乗る木の葉が頭の上で回るエクレアはガッツポーズを決めた。
少しして改めて大岩の巨人は動き出す。
動き出す反動でかたに上っていたルールーたちが振り落とされた。
「体力が減ったときの大技が来るぞ!」
「攻撃範囲から離れろ!」
大岩の巨人は拳を握り大きな腕を伸ばして周囲を払い、攻撃範囲から逃げきれなかったクラーケンとベヒモスを遠くへと吹き飛ばす。
攻撃の動作で巨人の上から落ちたルールーは、盾でダメージを減らし攻撃で吹き飛ばされず耐える。
後ろでエクレアが全力の回避で攻撃範囲から飛び出た。
「あぶなかった、大丈夫かルールー」
「うん、援護お願い」




