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パーティー

 

 多くのドロップアイテムだけを残し水柱は弾けて消え水面は穏やかになる。


「倒しましたね、今までの敵より時間かかった気がします」

「初期装備の魔法の杖は混乱属性持ちだから、二人いれば早く混乱する。このモンスターは核に当てなければ全くダメージを当てられない面倒な敵なんだ。ただ混乱値はどこに当ててもたまるから、混乱させて一気に叩いて勝負をつける予定だった」


「どうだった、魔法は? 最初の戦いだから不慣れで遠距離攻撃だけだったし、マジックパワーもほとんど使い切ったんじゃない?」

「そうですね、すっからかんです。あと立ったまま杖を振るので戦いは思ってたより地味でした、攻撃力もありませんでしたし」


「絵面的には杖を振るだけだからね。あと座って撃ったり寝ころんで撃てたり、撃つ体制は一応変更できるよ。魔法に派手さを求めるなら装備を変えるか、使い込んでいけば強力になるから」

「でも私は剣を振ってる方が好きかな、私は戦っている感じがして好きです」


「他にも武器はあるし、いつか他のも教えてあげる。つっても槍と籠手は私じゃなくてフルムーンの担当だけど。まぁ、フルムーンに動きを教わって私が説明を足すって感じでいいかな」

「その時はまたお願いします」


 周囲にモンスターの姿もなく4人は水に浮かぶドロップアイテムを回収して水から上がると近くの倒木に腰掛けて休む。

 ゲームとはいえ1戦に使う集中力は大きく、空気感や緊張感から情報の大きさから疲労する。


「フルムーンのところへ行ってきます」


 フルムーンは周囲を歩き回りその辺から素材アイテムを拾っていてルールーが彼女のもとへと歩み寄っていく。

 人の頭ほどある大きな虫を両手でつかむフルムーン。


「さっきラオも拾ってたし髑髏カナブン多いな、レア素材だ持ち帰ろう」

「よくそんな大きな虫つかめるねフルムーン」


「作りこみがすごいよ、足の間接も目も触覚もしっかりしてる」

「わっわっ、こっち向けないで!」


「ごめん、ボク別に脅かす気はなかった」

「びっくりした。大丈夫」


 ルールーが去っていったため、ラオは近くにいたアイテム欄を確認するエクレアの方へと向かう。

 ラオの接近に気が付きエクレアは手元の操作をやめて顔を上げた。


「エクレアは、今の戦いはどうだった?」

「楽しかった。が、教えられて改めて思った。ラオさんよ、1人で魔法使いをやっていくのは無理なんだろうか?」


「無理ではないけど、杖はマジックパワーの制限があるから1人で戦っていくなら刺突属性で弱点を攻撃しつつ属性値を溜めていくしかないね。で混乱したら溜め攻撃、大型の敵だとあちこちにダメージ判定があるから範囲攻撃できる斬撃属性がいいかな」

「なるほど」


「もちろん魔樹の木の葉みたいな魔法攻撃力や砲緑地付与の強化の装飾品も必要。パーティーで戦うなら味方に複数の敵を集めてもらっての、広範囲攻撃や大型の敵の高所にある弱点を攻撃する狙撃魔法が光って来るよ」

「無理ではないなら、我は魔道を極めていこうかな」


「なら私と一緒だ、ようこそ茨の道へ。派手なエフェクトと誰も誉めてくれない苦難とそれを上回る達成感が君を待っている」

「フフフ、逆境に燃える我にふさわしい」


 すっかり仲良くなったラオとエクレアは強く握手を交わした。

 そして4人は街へと帰還しコンテナの中で報酬をもらいパーティーは解散する。


「今日は本当にありがとう、これで我はようやく星1になれる。今日はもう落ちるけど明日か明後日にでも」

「まだ昇格試験みたいなクエストがあるけどね。頑張って、星1も強いモンスターがいるけどめげずにね。昇格クエストのボスクエは出来れば4人で挑んだ方がいい、戦いに慣れてないなら最低でも二人はいないと厳しいよ」


「あの、その……また何かあれば連絡していいですか? 逆境は好きだけど心折れやすいので……」

「ああいいよ、フレ登録もしたしいつでも連絡して。プレイ時間が合うかどうかわからないけどアドバイスはできる。またルールーとも遊んであげて」


「ありがとう」


 町に戻りエクレアと別れる。

 そしてルールーたち3人は街で使った回復アイテムなどの補充などを行いルールーの家に戻る。

 テーブルを囲むように腰かけ三人は休む。


「フルムーンさんと一緒にクエストしててだいぶお金溜まってきた、また何かぬいぐるみを買おうかな。あ、ラオ先輩、装備は杖から剣に戻しました。ごめんなさい、杖は合わなかったです」

「別にいいよ好きな武器を使いな。でも、魔女っ子パーティーは楽しかったな、面白い子とも知り合えたし」


「エクレアさん面白い人でしたね、また遊びたい。そういえば、さっきの戦いでなんか装飾アイテムが手に入りました」

「何て名前?」


「アケボノ、髪型みたいです」

「それたぶんレアドロップだね、髪の色を変えられる特殊なアイテム。サイトで名前だけ見たな。羨ましい、つけてみてよ。私はまた素材しかももう5つも持ってる、素材アイテムなら太陽琥珀とかのレアものがいいんだけど」


 ルールーは鏡の前に立つと魔樹の木の葉を取りアケボノを装備した。

 使用するとサブカラーという表記と色を選べる画面が表示される。


 枠は二つあり1つはすでに埋まっていて髪色の赤、考えるより試してみようととりあえずオレンジを選ぶとすぐに反映され外見に変化が現れた。

 ルールーのキャラクターの髪の毛先が燃える炭の先端のような色の濃さが揺らぐオレンジ色に染まる。


「ほぉ、うらやま、いいジャンきれいだよルールー」

「赤い髪とよく似合ってる」


 賛辞の声を送られ鏡の前で1周まわって変わった色の髪を見た。

 揺れる髪とそれに合わせてわずかに舞う火の粉。


「この世界、細かいパーツがみんなドロップ頼りなんだよねぇ。初期の髪な長さと髪留め以外は髪型や小さなアクセサリーも、課金の物も多いし欲しいのが出るまで粘るとあっという間に時間が溶ける溶ける。刺青とかはお店で入れられるけどお金もかかるし稼ぐのにも時間が……」

「レベルが上がっても能力値が上がらないゲームだからね。強くなっていくという爽快感ではなくクエストの達成感やレアアイテムの所有欲を刺激してくるゲームだ。カードゲームに近いのかなぁ」


「それと隠されたスキルやクエストを見つけ出す探究心」

「そっちはあくまでサブに振られてるよ、ネットで調べれば誰でも知ることができるから。ラオみたいに熱心に情報を集める人も多いみたい。ボクも少し調べたけどまとめサイトとか結構あったよ、なんか会員限定とか有料とかもあったし」


「それはギルドでの話だな、人海戦術で集めさせて売るための価格の参考にするため」

「普通に楽しく攻略する為やわかっているスキルでの最強装備の考察もだよ。なんせボスを倒さないと装飾品が出ないんだ倒しやすいボスやドロップの確立を熱心に調べるさ」


「もうすぐルールーも星1、より強いモンスターとの戦闘が君を待ってる。そこでたくさん戦闘経験摘んでもらってから星2を目指す感じかな」

「でもそろそろ、最初のイベントが始まりそうだよ」


「だね、まだ情報公開されてないし近々あるよってだけだけど。でも楽しみだねイベント~」

「それまでにはルールーを星1にしておきたいね。イベント何が起きるかわからないから戦力的に。おっと、ボクはもうそろそろ移動する、ギルドで呼ばれてるんだ」


 別れとともにフルムーンはログアウトし消える。

 残ったルールーとラオは顔を見合わせた。


「なら私たちも解散かな、それともルールー私と二人で戦う?」

「なら、私は街に買い物に行きます。もっと部屋を何か綺麗にしたくて」


「なら星を1にあげれば家がグレードアップするよ。もっと広くきれいな場所に」

「本当ですか、なら早く星を上げたいです」

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