表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/41

属性

 

 小さくガッツポーズを決め彼女は自分の胸に手を当て自己紹介する。


「我はエクレア、この世界をCMでみて即買ってきて毎日入り浸っていたけど、強いモンスターには勝てないまったくの初心者です。よろしくお願いします」

「私はルールー、私も初心者です。こっちが一緒に遊んでいるフルムーンと誘ってきてくれたラオ」


「よろしくお願いします」


 パーティー申請を了承する操作をしてエクレアの名前が加わる。

 視線を上にあげパーティーの参加を確認したエクレアは、ルールーの手を握り握手を交わす。


「助かった、もう心折れそうだった」

「一緒に頑張りましょう」


 後ろでこっそり喜んでいたラオが話しかけてくる。


「よろしく、ソロでやってたのなら。5匹のモンスター討伐で躓いていたのかな?」

「そう、クリアでできるものからクリアしていったら、残ったのが難易度高めのばっかり。特に顎の無いカバみたいなモンスターが強くって。あとのも似た感じで」


「このゲームこうやって初心者同士で協力してクリアしてほしいみたいだよ。1人で進めなくもないけど、よっぽどこの手のゲームに慣れてないと厳しい」

「やはりか、我が勝てなかったのは我が弱いからではなかったのか。ほっとした」


「それでエクレアさんは武器は何を使ってる?」

「基本は剣と槍、少し杖も」


「そう、なら杖に持ち替えてもらっていいかな。今日はリーダーのルールーに杖の使い方を教えるところだったんだ」

「な、なら、我にも教えてもらえないだろうか! 魔法をうまく使いこなしたい」


「もちろん、いいとも」


 4人はクエストを受け建物を出てバスに乗って移動する。

 外は木と霧しか見えないマップ移動のその間に、エクレアとラオは意気投合しておりこのゲームの良さについて語っていた。

 武器はバスに設置されていた箱から変更でき、忘れていた回復アイテムの補充などもそこで行う。

 そして装飾品の魔樹の木の葉を頭の上に乗せた。


「あ、魔樹の木の葉! 私それほしくて何度もクエスト受けたのに」

「はい、ラオ先輩が探してるってフルムーンが言ってました」


「羨ましい、魔法を主力そしている私にぴったりの装飾品なのに」

「いりますか? どうやって渡すのか知りませんけど」


「いいよ、フルムーンと一緒に自分で探す。探すはこのゲームのコンセプトであるから」

「そうですか」


 しばらくしたのち森のマップに付き、四人は武器を持って森に降り立つ。

 幹の太い木々が生い茂り湿っぽい匂いのする場所、奥で烏ほどある大きな蝶が数匹ほど光沢をもつステンドグラスのような色鮮やかな羽根を木漏れ日でキラキラと反射させながら舞っていた。


「さて、目的地は森の奥の沼地だ。素材を回収しながらのんびり向かおうか」

「よろしくお願いします」


 3人が杖、フルムーンだけ回復要因として補助のできる槍を持つ。

 ラオは課金で装備を買っていて捻じれた水晶のような杖を持ち、ルールーとエクレアの二人は始めたばかりということもあり白と黒のマダラ模様の金属っぽい杖。


「今日のこの森、湿度濃いよね。普通に蒸す」

「最近のゲームすごいですよね、温度も匂いもしっかり感じる」


「味や触感もね、そういやルールーはここで食事してないか。何かその辺の生き物倒して食料調達でもしようか」

「このゲームも食事ができるんですね」


「食べるのは実際には存在しない生き物だから、他のゲームの精密に再現された高級料亭の味や世界の料理の食べ比べみたいなのとは違うけどね」

「おいしいご飯が食べられるゲームがしたいなぁ」


「安心しなよ、痛んだ食材や寄生虫がいる食べ物を食べるゲームよりよっぽどましな味だから」

「何ですそのゲーム……そんなのもあるんですね……」


 紫色のトゲトゲした肉厚な葉の植物を見つけラオが近寄っていく。

 人の腕のように太い棘のついた葉をして、タンポポのように葉を四方に広げた植物。


「何ですその色違いのアロエみたいなのは、こんな感じのヒトデいましたよね?」

「これもモンスターだよ、討伐対象外の妖精ではない奴だけど、今はなしてた食べられる奴」


 そういってラオは杖を振り上げ葉を叩く。

 するとダメージエフェクトとともに叩かれた葉が身じろぎし、地面の下から球根の形をした体を出す。

 土のついた茶色い球根は心臓の様に脈打ち、そのたびに少しずつついていた土が落ちる。


「陸イソギンチャクだ、名前無いからそう呼んでる。ルールーとエクレアはそこで見てて。フルムーン」

「ボク甘酸っぱいの嫌いなんだけど」


 名前を呼ばれフルムーンが槍を構えてラオのもとへと歩いていく。

 植物型のモンスターは葉をうねらせ器用に攻撃してきたラオに向かって歩き出す。

 ふと周りを見れば同じ様のモンスターが5匹ほどが、同じように葉をうねらせラオを狙って歩いて来ていた。


「いーい、2人とも見ててよ。攻撃には、斬撃、刺突、殴打の三つの種類がある」


 1番最初に攻撃を受けたモンスターは棘のついた葉を振り回し、初心者2人に説明するラオへと振る。


「これは、それぞれに攻撃補正があり戦う敵によって弱点も異なる」


 モンスターの攻撃範囲は小さくラオは後ろに下がって攻撃を躱す。

 そして杖をバットのように振りかぶると、迫ってくるモンスターたちに向かって薙ぎ払う。


「斬撃は弱攻撃でも大きなダメージを出しやすく弱い敵には有効だが、硬い殻を持った敵にはまるでダメージを与えられない」


 1匹倒し他に迫ってくる5匹にも気を付け、囲まれないように距離を取りラオは葉の付け根目掛け杖を振り下ろす。

 攻撃を受けたモンスターは体力がなくなったようで葉が急速に枯れて行き脈打っていた球根だけが残る。


「打撃は攻撃時相手に怯み値を付与する、怯み値が溜まると敵の攻撃を強制的にキャンセルさせることができる。しかしスタミナを大きく使った強い攻撃でないと良いダメージが出ないため1撃離脱の戦法になりやすい」


 スタミナの回復のためラオは距離を取り、代わりにフルムーンが槍を構えてモンスターに突き刺す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >蒲公英 可能ならふりがなが欲しいです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ