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魔法

 


 勉強の終わったルールーはテーブルを片付けてゲームの中にログインする。

 すでにログインしていたラオがすぐに合流してきて、その日はフルムーンも合流し初日以来久しぶりに三人そろった。


「三人そろうなんて久々だね」

「そうだね、僕とラオはなかなか時間が合わない」


 見知った中であるラオとフルムーンは軽く手を上げる程度のあいさつを交わす。


「こんにちはフルムーン」

「こんにちはルールー」


 まだ数度しか一緒にいないルールーとフルムーンはお辞儀をしてあいさつを交わした。

 皆が集まったルールーの部屋は三人が入ると窮屈なため、ラオが部屋の中を歩きまわっている間フルムーンは部屋に入り口で立っている。


「そういえば、このゲームの人口20万人超えたって」

「ああ、小さい記事だったけどネットニュースになってたね」


 いくつか増えた部屋の家具を興味深げに見て回るラオ。

 そして彼女はテーブルの上に置かれた瓢箪型のモンスターのぬいぐるみを取り、それを抱きしめた。


「似たようなゲームも多いなか、期待の新作とはいえフルムーンは発売日からやってるよね」

「そうだよ、ボクはPVPがしたくて発売初日からやってるもの」


「装飾品とかえげつない数溜まってそう」

「すごいいっぱいあるよ。部位別に分けられるけど、それでも多いから結構装備するのが大変。しかもほとんどがスキル未解明だし、使えるやつはいつでも呼び出せるよう装備のマイセットに登録してある」


 ルールーたちと一緒に遊んでいるときと違い別のサーバーでは籠手を使っている、フルムーンは拳を前に突き出して見せる。


「すごい数の人たちがやってたんですね」

「この手のゲームだとまだまだ少ない方だけどね、グラもきれいだし今のところ不具合もなく続いてる。これから広まってもっと人気になるよきっと」


 ルールーはラオの隣に座ると彼女の抱きしめるぬいぐるみを取り上げ元の場所に戻す。

 部屋の入口に立つフルムーンの横に移動してラオに振り返った。


「ところでラオ先輩、今日は何をします?」

「またルールーをリーダーにしてレベル上げかな。そろそろ星1になるよね」


「はい、あと今までの経験値の貰い方からすると、クエストを1つか2つ受ければレベルが10になります」

「よしよし、なら今日中に目指しちゃおうか」


 頷くルールーに入り口に立っていたフルムーンが歩み寄ってきて話しかける。


「星が上がって新しいマップいけるようになったら、ルールーさんが喜びそうな綺麗な場所を案内してあげるよ」

「本当ですか、ありがとうフルムーン」


 親しくなり手を握り部屋から出ていく二人の後ろ姿にラオは悪戯じみた笑顔を向けた。


「私がいない間に仲良くなったねぇ」


 少し遅れてからラオも部屋を出て三人は町へと向かう。


 霧に囲まれた森を進む。

 先頭を歩いていたラオが後からついてくるルールーに話しかける。


「あ、そうだ今日は魔法使いでもやるかい?」

「私がこのゲーム始めた時にラオ先輩が魔法使っていましたね。あれですか?」


「そうそう、魔法少女で戦おう」

「かわいい服装はあるんですか?」


「ないよ、そういった装備も実装されてない。重ッ苦しい厚手の探査服と重厚な鎧だけ。装飾品と組み合わせられれば魔女服っぽいローブもあるけど」

「残念です、小さい頃憧れたことがありました」


「大丈夫私もだ、でも魔法もかわいくないのが多いけどね」

「私今日も剣を持ってきたんですけど、変更しに今から家に戻ります?」


「大丈夫かえられる場所はホーム以外にもあるから」


 町はつくと真っすぐ大きな建物へと入り階段を下りロビーでクエストを受ける。


「今日も森です、ラオ先輩の言った通りのクエストを受けました」

「オーケー、じゃあクエストに行こうか。フルムーンはいつも通りの回復お願いね」

「わかった」


「たまにはフルムーンにも他の武器を持たせてあげないんですか?」

「フルムーンが代わりに魔法使いになる?」

「いいよ、ボクはサポートで。二人で暴れておいで」


 クエストを受け3人が離れようとすると、近くにいた頭頂部だけ茶色く染めてある黄色い髪のおかっぱ頭の女性アバターのキャラクターが近づき話しかけてきた。


「ねぇねぇ、そこの人たち。火力にお困りないだろうか? もしよかったら我もクエストに連れて行ってほしいんだけどダメかな? 理由はね、受けなければならないクエストがもう我1人でクリアできないの。つおい、急にモンスターが強い、バランス壊れてる、バランス調整はよ」


 早口でまくし立てる彼女を見てラオはルールーを見る。

 彼女のその眼は新しいおもちゃを見つけた子供。

 ルールーは自分がこのゲームを進められて始めようか断ろうかを迷ったときにラオが見せた表情を思い出す。


「リーダーはルールーだから、任せる」


 そうは言うが彼女の眼は断ることを許していない。

 少し困りながらもルールーは返事をする。


「わかりました、クエストを受け直しますね。あの、パーティー申請しますので名前、自己紹介を」

「ありがとうござっす!」


 深々と頭を下げおかっぱ頭の彼女は頭を上げた。

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