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報酬

 

 帰るために来た道を戻っている最中に足が長く何十本も生えている巨大なゲジゲジを見かけ、ルールーだけでなくさすがのフルムーンも悲鳴を上げて逃げ出す。


「あれが……例の怪物ですか?」

「違うと思うけど、気持ち悪かった。なんかのボスキャラだろうね……」

「あれは星1にあるクエストで戦うモンスターだな、強くはないけど数匹まとめて相手にするタイプのボスのはず」


「私、今日でこのゲーム辞めるかもしれません」

「ボクもあんなのと戦いたくないからPVPに戻って籠ろうかな」

「まぁまぁ、嫌ならクエストを受けなければいいだけだから」


 万が一にもゲジゲジと戦闘にならないよう遠回りをして見つからないように移動した。

 予期せぬ遭遇にげんなりしたルールーとフルムーン。


「あんな感じのがいっぱいこれからも出てくるのかなぁ。うぅ、兄に騙された時のトラウマが」

「ゲジゲジだけじゃなく、かわいいのとかもいるから」


「かわいいモンスターを囲んで叩けと? 鬼ですか?」

「ごもっともだが、それを真顔で言われるとなぜか心に刺さる」


 バスに戻ると来た時と同様に白い霧霧に囲まれた森の中を走り町に戻ってくる。

 停車し町に帰ってきてバスを降りるとメビウス8が手を差し伸べてきてルールーと握手を交わした。


「一緒にクエスト受けてくれてありがとな。クエストの回転率を上げるために採取場所は時間経過で復活はしない。だから何度もクエストを受けないといけないわけで大変だったんだ。一緒にクエストに出る人数が多いほど、採取系のアイテムの出現数が増えるんだ助かったよ」

「いえいえ、楽しかったですし勉強になりましたメビウスさん」


「5回クエスト受けて2匹出るかどうかだったレアな鱗玉虫もまとめて手に入ったし、ほんと感謝しかない」

「お役に立ててよかったです」


「クエストは終わったから後は個別でさっきの場所で報酬を受けるだけだ。俺は先に盾を仕上げてもらいに行く。ここでお別れだな、それじゃまたどこかで!」

「はい、また一緒にクエスト行きましょうね」


 パーティーを解散しメビウス8と別れる。

 二人きりになったところでフルムーンが尋ねた。


「とりあえず報酬でも受け取りに行こうか。そのあとどうする、アイテム屋や家具屋でもみてみる?」

「家具?」


 遠くからでも目立つ大きな建物の中に向かう。

 駐車場から建物の中へクエストに向かうプレイヤーたちとすれ違いながら、階段を上がりロビーに入る。


「この人たちみんな今からクエストに出るのか」

「あるいはボクらみたいに、クエストが終わってお金貰って町に戻るかのどっちかだね」


 大きな建物の真ん中に置いてある大きな立体モニターに集まる人々。


「あれは何ですか?」

「インフォメーション。イベント情報とかお知らせを流してる、地形が解放されるとアナウンスもされるかな。ゲームの進め方に困ったらあそこで、施設やクエストの説明を見るといい」


「地形?」

「そうそう、マップのどこかに隠しマップが用意されていて何らかの方法でその中に入ると新たなマップが解放される。これはどこのルートにもあるらしい」


 コンテナを囲むように刺さっている支柱にクエスト終了の報告をすると経験値が振り込まれコンテナが開き中に入れるようになる。

 早速二人はコンテナの中に入るとそこには見慣れた宝箱が置かれていた。


「またこの宝箱、ファンタジーの気分を壊してくるんだよなぁ」

「ダンジョンに行けば別の宝箱があるよルールー。ダンジョン探索は星1以上のクエストだけどね」


 宝箱を開けると見慣れた底がせりあがってくるシステムで、中に見えるのはコインの山。

 それは赤や青、黄色など色とりどりで真新しい金属の光沢のあるものや古く鈍い輝きを放つものが入り混じっている。


「初期の方だからしょっぱいな、700G程度か」

「何ですかこのコイン? すごくカラフル」


「ゲーム内マネー、ギャラクシー。通称G。そのコインよく見ると絵柄が書かれてるでしょ」

「はい、なんか丸いのが書かれています」


 そういわれコインを1つ手に取って絵柄を見るルールー。

 色別に細かい模様と絵が描かれた精巧なコイン。


「そうそうそれが重要。なんでもいいけど、……ああ、水色のコインを見てこれが1番わかりやすいかも」

「はい? これですね?」


「よく使うこの世界での100円硬貨。有料装備を買う課金コインとは違うけどね」

「これがこのゲームのお金なんですね」


「ゲーム内のお金だから現実のお金と価値は少し違うけどね、その認識でいいや、その絵柄、何だと思う?」

「他のコインと一緒で丸い絵が描かれて……あれっこれ何か見たことある」


「太陽系、第三惑星といえば?」

「これ、星の順番なんですか!」


「そうそう水金地火木土の順に価値が変わってくる」

「あとの二つは? ええっと、天王星と海王星だっけ」


「無い」

「無いの?」


「うん、無い。7桁の硬貨って、現実で言うところの100万円札ってことだよ、そんなもんある?」

「無いですね。でも10万円のほうがあるのはどうして?」


「ふっしぎ~」

「ふっしぎ~。……フルムーンさん?」


 報酬のコインを受け取りコンテナを出る。

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