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二章 最初の犠牲者

 探索に戻った私達は、遊技場と酒場の間に通路を見つけ出した。

「分かりにくいね……何かあるのかな?」

 ユウヤさんがそう呟く。

 通路は明かりがついていないらしく、暗い。シルヤに手を握ってもらいながら、その先に赤い光が見えたのでそこまで歩いてみる。

「……扉?」

 鍵はかかっている。どうやらパスワードが必要らしい。

「あとで調べようか」

 ユウヤさんの言葉に頷き、私達は別のところを探索する。

 食堂に入ると、そこには箱と花瓶があった。近くにある紙には、

 真の友情を捧げよ。

 そう書かれていた。真の友情……ゼラニウムのことだろうか?それなら、壁に飾られている。それを一輪取り、花瓶に活けると箱が開いた。その中には――。

 ――右腕が入っていた。

「きゃあ!?」

 思わず叫んだ私に、二人は慌てて近付いた。

「どうした!?スズ!」

「えっと……箱の中に……人形の腕、でしょうか?」

「……そうみたいだね」

 震える私に代わって、ユウヤさんが確認してくれた。人形であることは分かったが、私は直視出来ない。

「ボクが預かっておこうか?」

 ユウヤさんがそう言ってくれたので私は頷いた。

 椅子を調べていると、脚に違和感を覚えた。なんか、外れそうな……?しかし、なかなか外れないのでそのままにする。

「それにしても、二人は本当に似ているよね」

 探索中、ユウヤさんがそう言った。「そうっすか?」とシルヤが応じる。

「うん。確か、親友なんだよね?いつからの知り合いなの?」

「オレとスズは生まれた時からの知り合いっすよ。なんでも、親同士が知り合いだったみたいで」

「そうなんだ。じゃあ、お互いのことはよく知っているんだね」

「もちろん。スズは最高の「親友」だ」

 ニコッとシルヤは笑った。私も「笑い返す」。実際、彼ほど素晴らしい「親友」はいない。

「なるほどね。ボクにはそんな人いないから、少し羨ましいや。面倒な幼馴染はいるけどね」

 ユウヤさんは本当に羨ましそうに私達を見た。

 これ以上食堂を探索しても意味がないと悟った私達は別の場所を探し始めた。トイレに向かう通路の途中に自販機があった。

「これ、何かないかな?」

 ユウヤさんがそれを観察して、告げた。確かに何かありそうだ。

「……自販機の下。多分、千円札があります」

 私が伝えると、シルヤが調べて「ホントにあった……」と見せた。それを自販機に入れると、ガゴンと何か重いものが落ちた音が聞こえた。……予想はしていたが、落ちてきたのは左足だった。

「カラダアツメ……なんか、嫌だね……本物に見えるし……」

 ユウヤさんの言う通り、全てが本物に見えて「不気味」だ。

「そうっすね。スズ、大丈夫か?」

「……あぁ、大丈夫だ」

 シルヤに聞かれ、私は頷く。彼は「……ヤバくなったら、すぐに言えよ」と小さな声で言った。

 もう一つの部屋には、何も置いていなかったが……机の上に、何か置かれていた跡があった。大きさ的に……パソコン、だろうか。

 引き出しを確認すると、そこには「4317」と書かれた紙が入っていた。もしかしてこれは、あの隠し扉のパスワードだろうか?

 その紙を持ち、隠し部屋のところに向かう。そしてパスワードを打ち込むと開いた。

「……入る?」

 ユウヤさんに聞かれ、首を縦に振った。何かないか、調べる必要があるのだ。

 部屋はピンクに統一されていて、なんというか……。

「女の子らしい部屋だな……」

 シルヤが呟く。確かに。

 ……私はこんな部屋ではないけれど。

 なんか、これを見ていると私って女じゃないのかなぁ……なんて思ってしまう。

 なんて、そんなことを考えている暇はない。部屋の中心にあるのは……人形の胴体だろうか?これ以外は何もないように思える。

 扉を開けたまま部屋を出ると、右の壁に違和感を覚えた。

「……あの、ユウヤさん。ここ……」

 私がユウヤさんに声をかけると、彼はすぐに来てくれた。

「ここ?」

「はい。何か、ある気がします」

 壁を叩くと、穴があった。これは……。

「扉、かな?」

「多分……。入れませんかね?」

 その穴を外側に引っ張ると、そこが開いた。どうやら隠し部屋だったらしい。

 シルヤも呼び、その中に入る。そこにはパソコンが置いてあった。

「これ……」

「使えそうですね。でも、予備電源で動いている状態、か……」

 パソコンの充電は満タンだが、予備電源のことも考えるとあまり使えない。ほかに、どこかで使えそうな場所はあるだろうか?

「あとから調べてみようか。それまでは他の人達に内緒にしておこう」

「そう、ですね」

 そのまま、三人で隠し部屋から出る。そして、皆と合流して右腕と左足のことを話した。

「実は、私達も人形の部屋で見つけたんですよ」

 エレンさんが右足を取り出した。なんというか……これだけ見るとバラバラ死体を集めているように思える。

 ――不意に、祖母のことを思い出した。あんな、むごたらしい殺され方をされた――。

「スズ」

 シルヤが手を握ってくれて、すぐに現実に戻ってくる。

「あ……ごめん、シルヤ」

 今は余計なことを考えている暇はない。

 本当に?

 誰かの声が頭に響くが、私はそれを無視した。

「左腕だけ、か……」

 そう呟くが……思い出したくないと、記憶に蓋をする。

「ねぇ、スズちゃん。心当たりはある?」

 しかし、ケイさんが聞いてきたので見つかったところを思い出す。

 食堂、自販機、人形の部屋……。そして、頭の中で地図を広げる。

 一つだけ、見ていないところがある。

「一番右端の部屋……」

 ――かつて、バラバラ死体が置かれていた位置と同じだ。

「……どうしたの?酷い顔してるけどー」

 ケイさんが真面目な顔で聞いてきた。そこまで、青くなっていたのだろうか。

「…………いえ」

「スズ、尋常じゃないほど顔色が悪いぞ。何か、分かったんじゃないか?」

 シルヤにまで言われてしまっては、言わざるを得ないではないか。

「……十数年前の、惨殺事件……バラバラ死体が置かれていた場所と一致するんだ」

「おい、それって……」

 それを聞くと唯一知っているシルヤはすぐに顔色を変えた。そして話す必要はないと言ってくれたが、

「大丈夫だよ。私も、そろそろ乗り越えなきゃいけない時が来たってだけだろ?」

 いつまでも過去を引きずっているわけにはいかないということだ。

「……森岡 香江子と森岡 謙治郎って、ご存知ですか?妻がバラバラ死体として見つかって、その後放火魔によって夫が亡くなって、その場にいた孫娘も腕に深い傷を負い、全身に大火傷を負ったという……」

「もちろん。警察になった時に犯罪史上最悪事件の一つとして聞かされているからねー」

 当然だ、この二人が死んだ時の事件はニュースに大きく取り上げられたのだから。私より年上の人ならば、知っていてもおかしくない。元警察官のケイさんならば、なおさら。

「……待ってください。確か、スズエさんの苗字は「森岡」ですよね?まさか……」

 カナクニ先生がハッと表情を変えた。

「……思っている通りだと思います。私は二人の、孫娘です。実際、あの火事の現場にいましたから。その時の傷も、まだ残っています」

「……………………それは、悪いことを聞いたね」

 ケイさんが真剣な顔で謝ってきた。別に構わない、さっきも言ったようにいつかは乗り越えないといけないものだから。

「どういうことぜよ?」

 ゴウさんが疑問符を浮かべる。どうやら彼は孤児院出身ということもあり、そういったことには疎いらしい。

「……お前は、人形の首が入った箱を持ってきただろう?」

「そ、そうじゃな」

 ミヒロさんの言葉にゴウさんが頷くと、エレンさんが続きを告げた。

「その事件では、まず家族に祖母の首が送られてきたそうですよ」

「じゃ、じゃあ、見つかった場所は……」

「胴体があったところを中心として、食堂はゴミ捨て場、自販機は道端、人形の部屋は工場に位置するね。そして、最後の一つは……こじんまりとした小屋の中。ボクも幼かったけど、衝撃的な内容だったからよく覚えているよ」

 フウが顔を真っ青にすると、ユウヤさんが答える。

「私、その事件は怖くて見られませんでした……」

「仕方ないだろ。あたしだって、あの時ばかりは見られなかったさ」

「……何か、その事件とか、今回のこととかに心当たりはあるかなー?」

 ケイさんの質問に、私は首を横に振った。

「少なくとも、私にはありません。私の一家は研究員なので、もしかしたらその関連であるのかもしれませんけど。あぁ、でも……」

「でも?」

「……祖母が殺される直前であろう映像を、祖母の首と共に送られてきました。確か、ここみたいに白い壁に……ロッカー室のようなところで、首を……」

 ……恐ろしいことを、思い出す。

 そうだ、あの映像は……ここみたいに、白い建物内だった。では、まさか……。

「香江子さんは、ここで殺された可能性があるのかなー?」

「……わ、からない……」

「そうだろうねー。でも、もしそうだとしたら……本当に、殺されるかもしれないね」

 ――皆の死が、急に現実を帯びてきた。無事に出られる保証なんて、ない。

 駄目だ、皆は、生かして帰す。

 この命に、代えてでも。

「……スズエ、ここで休んでいたらいい。あたし達が見てきてやるさ」

「キナとフウも、ここにいな。ユウヤさん、三人を頼んでいいっすか?」

「もちろん。すぐに戻ってくるんだよ」

 マミさんとシルヤに言われ、この場には、私を含めて四人が残った。

「その……大丈夫?」

 ユウヤさんに聞かれ、私は頷いた。……正直、よく分からないけど。

「その……スズエさん……」

「どうした?キナ」

 紫色の髪の少女が私に伝える。

「わたしも……最初の試練というものでおねえちゃんを……亡くしたんです……」

「……そう、だったんだな……」

 それは、相当な苦痛だっただろう。それなら、さっきのゲームとやらでキナの姉の人形を撃ち抜いてしまっただろう。

 ……悪いことをしたな……。

 形は違うとはいえ、二度も殺してしまったようなものだ。私は……耐えられない。

「にゃ……」

 フウがネコのようにすり寄ってきた。撫でていると、シルヤ達が左腕を持って戻ってきた。

「予想通りだったな」

「……あまり当たってほしくないものだったけど」

 それらを持って、私達はピンクの部屋に向かった。

 部屋の中に入ると、何があるか分からないと扉を開いたまま人形を組み立てた。私は嫌な予感を覚えながらもそれを見守っていた。

 組み立て終わると、煙が部屋中を充満する。やがてそれが収まると、その人形が動いていた。

「やっと組み立て終わったんですね!アタシはルイスマ、「笑い人形」です!」

 なるほど、確かにずっと笑っていて「気色悪い」。なんというか……「不気味さ」を感じる。まるで嘲笑うような、それでいて悲しげな……。

「……あら?スズちゃん、アタシを見てどうしたんですか?」

「……なぜ私の名前を知っている?」

「うふふっ。必要な情報は既にインプットされているんですよ。ねぇ?「正の異常者」さん?」

 正の、異常者……?

「どういう意味かなー?」

「こちらの話です。ご自分で分かっているんじゃないですか?彼女のことですから」

 ケイさんが尋ねても、人形はただ笑っているだけだった。……自分で、分かっている。

 ――確かに、心当たりはある。

 だが、なぜこいつが……いや、こいつらが知っている?それは家族と、シルヤしか知らないハズだ。

「ふふふ……。スズちゃんのその顔、かーわいい!ポーカーフェイスが少しだけ崩れる様を見るの、ワタシは好きなんですよ」

「……ポーカーフェイスでやってるわけじゃない」

「スズにこれ以上何か言ったら、オレが承知しないぞ」

 シルヤが私の前に立ってルイスマを睨んだ。彼女は「あらー!親友想いなところ、素敵ですねー!」とやはり笑った。

「あぁいや、あなた達は厳密には「親友」、ではなかったですねー!」

「……何が言いたいんだ?」

「それをアタシの口から言うのは違うでしょう?うふふふふ!」

 ……どうやら誘拐犯は私とシルヤの本当の関係も知っているようだ。幸いなのは、それを皆に言うつもりはないということか。

 私はシルヤの肩を掴み、「私は大丈夫だ、シル」と告げた。

「……お前が言うならいいけどよ」

「そもそも、ただ守られているだけっていうのも私の性に合わないさ」

 かつて「サムライ女」と言われていたのだ、守られているだけは嫌だ。

「それで?何をさせようとしているんだ?」

 私は目の前の人形を睨みつける。ルイスマは「きゃー、こわーい」と全く思ってなさそうに言った。

「簡単ですよ。皆さんには多数決で不要な人間を選んで殺してもらうんです」

「はぁ?何言ってるぜよ?」

 ゴウさんが掴みかかろうとしたが、私はそれを止めた。

「……下手に攻撃しない方がいい気がします」

「じゃが……」

「よく分かっていますねー、スズちゃん。フロアマスターに逆らったら首輪が爆発しますよ」

 ルイスマが笑いながら答えた。フウが「爆発かニャ!?」と真っ青にした。

「そんなこと、出来るわけないだろ。この首輪に人一人が死ぬほどの爆発が出来るとは思えない。火薬も入らないだろ」

「さすが。すぐに見破ってしまうなんて。そうですね、爆発「は」しませんよ」

「……含みのある言い方だな」

 拍手を送るその姿でさえわざとらしい。絶対に、何かある。

「まぁまぁ、百聞は一見にしかず。早速やってみましょう」

 ルイスマは私にタブレットを渡してきた。画面には自分達の名前が書かれている。

 私は自分のところにタップした。「そうしないといけない」と思ったからだ。

 他の人達も、押していく。

「皆さん、投票が終わりましたね。結果は……」

 ――カナクニ先生に三票入っていた。

「うふふ。カナクニ先生が選ばれましたね」

「……それが、どうした?」

 私は背中に汗を流していた。そう、私達は今、取り返しのつかないことをしてしまった気がして……。

 目の前の人形は、相変わらずニコニコしている。それが恐ろしくて……。

「……待ってくれ、お前、何をしようと……」

 思わず、私は口をついてそう告げた。背中に、冷たい何かが流れる。ルイスマは「あらあら?スズちゃん、自分で爆発はしないと言っていたでしょう?」といやらしく笑っていた。

「爆発「は」、だろう?それ以外の、死ぬような機能がついていてもおかしく、ない……」

「……あ、あははははは!せいかーい!」

「何をおっしゃっているのか、私には理解しかねるのですが……」

 カナクニ先生が首を傾げていた。当然だ、普通の人ならば理解出来ないし、理解しようとも思わない。

 頭の中で、警報が鳴っている。危険だと、真っ赤なランプが光っている。

「つまり……こういうことですよ」

 ルイスマが指を鳴らすと、カナクニ先生の首輪が光を帯び始めた。肉が焼けるにおい……。

「が、は……!」

「せ、先生!」

 ハナさんが叫ぶが、カナクニ先生はそれどころではない。必死になって、首輪を外そうとしている。

「やめ……!やめてくれ!」

 私はそう叫んでいた。

 ――祖父のことを、思い出したのだ。

 目の前で、炎に焼かれる祖父……。あの時と同じ、最悪なにおいが漂っているのだ。

 やがて、カナクニ先生が倒れこみ、そのまま動かなくなった。

「きゃははは!こういうことなんですよ!なので、メインゲームでは選択は慎重になさってくださいね!」

 ルイスマは笑い声をあげながら、どこかに消えた。嫌でも、私達は奴らの支配下なのだと、思わされた。

「せん、せい……?」

 ハナさんがカナクニ先生の遺体を揺すると、その首が離れた。

 瞬間、幼きあの日を思い出す。祖母の首が送られてきた、あの日を……。

「うっ……!」

「スズ!?お前、早く部屋から出ろ!これ以上、見ない方がいい!」

 急激に吐き気が襲ってきた。それにいち早く気付いたシルヤが無理やり私を部屋の外に出した。そして、廊下に座る。

「スズ、あまり無理はするなよ。吐きそうならすぐトイレにでも連れて行ってやるからさ。……ばあちゃんの首を最初に見たのは、お前だったんだから、トラウマだろ?」

 彼の言う通りだ。祖母の首が送られてきた時、箱を最初に開けたのは私だった。

 苦悶に満ちた祖母の死に顔……忘れられるわけない。

「……だけど、「失感情症」と「無痛病」は本当に大変だな……。自分では分からないもんな……」

「……そうだな」

 その二つは、祖父母が立て続けに亡くなった後に患ってしまった病気だ。あまりにもトラウマ過ぎて、自分では感情が分からなくなり、痛みも感じなくなってしまった。

「そういうことだったんだねー」

 不意に、声をかけられて振り返った。そこにはケイさんとユウヤさんが立っていた。

「どうりで痛みを感じていないし、スズちゃんから人間みたいな感情もほとんど感じ取れないと思ったよー」

「勝手に聞いてごめんね?でも、やっぱり気になって……」

「いえ……大丈夫です。一緒に行動する以上、いずれ言わなければいけないことでしたし」

 それに関しては、問題はない。どうせ、言わなければいけないことだったのだから。

「……シルヤ君は、スズエさんのことをよく知っているんだね」

「当たり前っすよ。生まれた時からずっと一緒っすから」

 シルヤはニカッと笑う。まるで真逆の私達だが、その絆は誰にも引き裂けない。そのハズだ。

「でも、そうしてみると……二人は本当に似てるねー、顔立ちとか」

 ケイさんが私達を見て、呟いた。ユウヤさんも同じことを言っていた。

 やはり、私達は似ているのだろう。なぜなら――。

「その……無理はしないでね。探索、落ち着いた時に再開すればいいからさ……」

 ユウヤさんはそう言って、ピンクの部屋に戻った。きっと、部屋の中ではハナさんをはじめ、フウやキナもパニックになっているだろう。

 私もそうなれたら、どれだけよかったか。

 よほどのことがない限り、パニック状態になれないこの心は、ケイさんの言う通り「人間らしく」はないだろう。

「……スズ」

「大丈夫だよ、シル」

 私はシルヤの肩に頭を乗せ、少しでもフウ達を心配させないように心を落ち着けた。

「スズエさん」

 後ろから、エレンさんが声をかける。彼は私の隣に座り、頭を撫でてくれる。

「……辛いですね。すみません、あぁなるとは、思っていなくて……」

「い、え……エレンさんのせいではないでしょう……」

 ちゃんと説明しなかったあいつも悪いのだから。

「……あなたは……あなた達は、覚えていますか?私が……だということを」

 うまく聞き取れないところがあった。彼は私の心に深く踏み込むことなく、ただ私の傍にいてくれた。

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