後日談 ラン視点
ラン視点の後日談です。スズエに救われた彼はあの後、何を思いながらどんな生活をしているのかというのがわかると思います。
皆さんもぜひ、物語を読んでみんなの後日談を考えてみてくださいね。これだけがすべてではないのですから。
あのデスゲームから解放され、オレはいつもの生活に戻った。
……あぁ、「いつもの」というと、少し語弊がある。
「ユウヤさん、行ってきます」
「うん、気を付けてね」
そう、ユウヤさんと一緒に暮らしているのだ。なんでも、スズエにオレのことを頼まれたらしい。
――このデスゲームから脱出出来たら……ランをお願いします。
オレの家庭のことを伝えて、頭を下げたという。本当に……最期まで自分より他人のことを考えるバカだ。
他の人形達は、あの場所に残ると言っていた。自分達はもう死んでいるのだからと、スズエに守ってもらった人形としての命を抱えて生きていくと。
生き残った人達も、前の生活には戻ることが出来ないが自分に出来ることをと一生懸命生きているらしい。特にキナは、姉の死を乗り越えてスズエの通っていた高校を受験しようと勉強しているらしい。
ミヒロさんの無実に関しては、スズエがあの会場内で調べられる限り調べ、それをユウヤさんが引き継いだ。そして、無実の証拠をマミさんに送ったという。
オレの方も、父親の虐待に関して調べてくれたようでユウヤさんが引き取る方向で動いたらしい。そうしてオレは晴れて父親から解放された。
オレは、一つの墓の前に立った。
「……スズエ、オレ、ちゃんと生きてるよ」
彼女が好きだったという花を置きながら、オレは伝える。
「お前が守ってくれたこの命、ちゃんと抱えてこれからも生きていくから」
だから、シルヤや兄貴と一緒に見守っていてくれよ。
スズエが、きょうだい達と一緒に笑っている気がした。