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姫雫  作者: 赤坂秀一
第一章 蔵元の娘
4/20

4 ご挨拶

お待たせしました第4話を更新しました!


今回は両家に挨拶に行きますけど、果たしてうまくいくでしょうか……


 後日、北御門(きたみかど)さんから連絡がありました。

「あっ、郁美(いくみ)さんご挨拶の件ですけど……」

「郁美さんじゃないでしょう! 二人の時は」

「うん…… まあそうなんだけど、照れ臭くて」

「それで、いつ来るの?」

「うん、今度の日曜日はどうかな?」

 今度の日曜日か、たぶん何も無かったよね。

「えーっと、イベントとかは確かやってないから大丈夫だと思う。確認してからまた連絡するね」

「うん、それで実は…… 僕のお母さんも郁美に会いたいらしいんだけど…… 良いかな?」

「うん、別に良いよ! それっていつにするの?」

「だから、今度の日曜日、郁美の家に挨拶したあと、夕御飯をうちの母と一緒に…… という事なんだけど」

 そうか、うちだけじゃなくて清君(きよくん)の家にも挨拶しないとね。

「うん、良いけど、結構急だよね! それじゃまた後で連絡するから」

 なんだか話がトントン拍子に進んでいるんだけど…… 良いのかな?

 私はその事を母に話しました。

「ええ、今度の日曜日は何もないから良いわよ!」

「それでね、その日のうちに先方さんにも挨拶するから」

 父も母もなんだか戸惑っているかな?

「郁美、先方さんに行くのなら手土産くらい持って行きなさいよ」

「それくらい解ってますよ」

 母は相変わらず私の事を子供扱いです。


 そして、日曜日です。私は途中まで北御門さんを迎えに行きます。

「郁美!」

「あっ、清君」

 清君は何かを買おうとしてるみたい。

「郁美のご両親は甘い物とか好きかな?」

「うん、好きだよ! 私もだけど」

「それじゃ何が良いかな?」

 私も一緒にお菓子を見ていたら私の大好きなお饅頭を発見!

「これが良いよ、家でもよく食べてるし、私も好きだから」

 このお饅頭は中にカスタードクリームが入っていてふわふわのお饅頭とよくあって美味しいんですよね。

「うん、それじゃこれにしよう」

 手土産を買っていざ私の家へ!

「車はここに止めて良いかな?」

「うん、ここで良いよ」

 清君は酒蔵の駐車場に車を停めました。

 それでは、いざ両親の元へ……

「ただいま!」

「こんにちは」

 二人で家の玄関へ入って行きました。

「あら、いらっしゃいませ! どうぞおあがりください」

 母が出迎えてくれました。その後、私が座敷の方へ案内します。そこには、父がいました。

「あっ、初めまして北御門清政(きたみかどきよまさ)と申します」

「初めまして郁美の父の木村賢人(きむらけんと)です」

「よろしくお願いします。これ、皆さんでお召し上がりください」

 取り敢えず挨拶も終わりお互い何となく黙り込んでしまいました。その時、タイミング良く母が来ました。

「さあ、楽にして下さいね」

 そう言って母はお茶を出しています。父は何か話さないとと考えているみたいですけど……

「北御門さんはお仕事は何をなさっているんですか?」

「あっ、私は会社員です。家電の販売をしています」

「そうですか、お仕事は大変でしょう」

 まあ、在り来たりの話が続きます。ただ、今日は私達の交際を認めてもらわないと…… 私は実の父と母なので緊張もなにもないですけど清君はガチガチに緊張しているみたいです。

「北御門さんお歳は?」

「はい、私は二十八歳です」

「あら、郁美より四つも若いのね!」

 母のその言葉にはちょっと引っ掛かるところではありますが…… 母なりに清君の緊張を解そうとしてるみたいです。

「でも、郁美さんと一緒だといつも笑顔なので私の気持ちが安らぎます。出来れば結婚を前提にお付き合いさせて頂きたいと思っています」

 えっ! あっさり言っちゃったよ…… なんだか私が恥ずかしくて赤面しちゃいます。でも、とても嬉しいです。

「うん、歳は若いけど郁美よりしっかりしてるんじゃないかな、娘の事をよろしく頼むよ」

 だって! お父さん本当に良いの?

「それで、結婚はいつぐらいを予定してるの?」

 母がとんでもない事を言い出しました。

「お母さん、ちょっと待ってよ!」

「あら、良いじゃない。あなただって早い方が良いでしょう!」

「しかし、そんなに慌てなくてもいいんじゃないか」

「あなたは何を呑気な事を……」

 母の言葉に絶句する父ですけど…… 清君大丈夫かな?

「あの…… すぐには無理ですけど、なるべく早いうちには……」

「北御門君、なにぶんわがままで世間知らずの娘だがよろしく頼むよ」

 お父さんまでなんでそんな事になるかな……

 そんな話をしながら私達はお昼ご飯を一緒に頂く事に……

「お母さん、お寿司を買ってたの?」

「あら、お寿司が嫌いな人とかいないと思ったけど」

 まあ、そういう人は珍しいと思うけど……

「北御門さん、赤出汁を作ったんですけどお口に合えばいいけど」

「はい、頂きます」

 母は何かと北御門さんにお寿司やオードブルを取ってあげたりしてます。私の立場がないんだけど……


 そんな事で、お昼ご飯も終わり母と私は後片付けです。

「郁美、とっても良い人じゃない! 絶対に逃しちゃ駄目よ」

「うん、分かってる。だからお母さんも協力してね!」

「解ってるわよ、あんなに若くて可愛いお婿さんはあなたにはもったいない。私が貰いたいくらいよ」

「お母さん!」

「冗談よ、もうここは良いから早く出掛けなさい」

「えっ!」

「彼のお母様に会うんでしょう? 失礼のないようにしなきゃ駄目よ」

「うん」

 そういう事で座敷へ戻ると清君の姿が見えません。どこに行ったのかな? すると清君は酒蔵の方からひとりで戻って来ました。

「清君、そろそろ出掛けようか!」

「えっ、あ、うん……」

 なんだか様子が変なんだけど……

「何かあった?」

「うん、出掛けようか」

 なんだか解らないけど私と清君は車でそのまま出掛けました。もちろん清君のお母さんのところです。でも、その前に手土産を買わないと……

「ねえ、お母さんはどんなお菓子が好き?」

「なあ、本当に僕は蔵元を継がなくて良いんだよね!」

 なんだか急に、真剣に言ってくる清君です。

「うん、継ぐのは私だから清君にはたまに手伝ってくれれば良いから」

「郁美のお父さんはそうじゃないみたいなんだけど……」

「えっ、それお父さんが言ったの?」

「さっき、郁美が後片付けをしてるときに、お父さんに蔵を案内してもらったんだけど…… なんとなく逃げ道を塞がれているようで……」

 全くお父さんは今頃になってなんでそんな事をするかな…… 私は急いで母に連絡をします。母もかなりご立腹の様子です。

『郁美、こっちは私がなんとかするから、あなた達は心配しなくて良いからね』

 母がそう言ってくれたので清君の事は大丈夫だと思うんだけど…… 父は…… 血の雨が降らなきゃいいけど…… まあ、自業自得か!

「清君、ごめんね! お父さんが変な事言ったと思うんだけど…… もう、大丈夫だから」

 清君は、ちょっと不安そうですが…… 少し笑みがこぼれているので大丈夫そうです。

「ねえ、お菓子どうする?」

「うん、母さんも甘い物が好きだからケーキとかが良いと思うんだけど……」

 そういう事でケーキ屋さんに寄って行く事にしました。


 私達は手土産を買って清君のお母さんがいるお店に到着しました。

「母さん、連れて来たよ」

「あなたが郁美さんね、初めまして清政の母の北御門由香里(きたみかどゆかり)です」

「初めまして、木村郁美です。よろしくお願いします。あの、甘いものがお好きだと聞きましたので……」

「あら、ありがとう。さあ、食事にしましょう」

 清君のお母さんが待っていたお店はステーキハウスです。

「郁美さん、好きな物を頼んでね」

 そう言われましたけど…… 何にしようかな!

「郁美は何を食べる?」

 清君が私を突きながら訊いて来ます。

「うーん、何が良いかな…… 清君は何にする」

 その時、清君はメニューを見ながらレモンステーキを見ています。写真が載っていますけど…… なんだか凄く美味しそうです。

「私はレモンステーキにしようかな……」

「あら、郁美さんここのレモンステーキは絶品よ!」

 清君のお母さんもおすすめの様なので私はレモンステーキにしました。清君は何にするのかな?

「私は牛タンステーキにしようかしら」

「母さんは牛タン好きだよね!」

「良いでしょう! あなたはサーロインでも食べる?」

 ちょっと呆れ顔の清君ですが……

「うん、それじゃそうしようかな」

 みなさん注文が決まった様ですけど、なんだか贅沢かな……

「郁美さんは飲み物はどうする? ワインもあるけど……」

「母さん酒蔵の娘にワインを勧めてどうするの?」

「あら、良いじゃない、ねえ!」

 まあ、日本酒好きの女子よりワイン好きの女子の方が好感度は良いかな……?

「ええ…… ワインも好きですよ」

「全く、母さんが飲みたいだけでしょう」

 そういう事でみんなで赤ワインを注文しました。ここの店ってなんだか高そうなんですけど大丈夫かな……

「郁美さん、あなた酒蔵の一人娘って聞いてるけど結婚したら北御門家にお嫁に来てくれるのよね?」

「ええ、もちろんです」

 やっぱり、そこは気になるところですよね。

「でも、酒蔵を継ぐんでしょう」

「蔵は継ぎますけど、それと結婚は別です。両親にはそう話していますので……」

 まあ、父が何だか企んでいたみたいだけど……

 その時、ワインが来ましたので三人で乾杯です。そのあとステーキも来ましたので和やかに夕食を楽しみました。清君のお母さんもとっても良い人みたいなので、ちょっと安心しました。



なんだか両家の親からもお墨付きをもらってトントン拍子に進んでいる様です。このままうまくいくのかな……

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