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姫雫  作者: 赤坂秀一
第一章 蔵元の娘
3/20

3 郁美の決心

お待たせしました第3話を更新しました!


前回、友達の明奈にデートから帰って来たところを目撃され、なんだか嫌な予感が……


 翌日、店の手伝いをしていると父と母に呼ばれました。何でしょうか?

郁美(いくみ)、先週の日曜日に逢った相手の人とはどうなんだ?」

 父にそう訊かれてしまいました。

「郁美、どんな人なの? 優しい人なの?」

 母もちょっと心配してるみたいです。

「えっと、とても優しくて、真面目な人ですよ」

 私はそう答えました。

「郁美、今度家に連れてらっしゃい!」

 母がそう言うと父は母の事をジッと見ます。

「あら、なんですか?」

「あっ、いや、なんでもない」

 父はそう言うと俯いています。

「うん、じゃあ今度話してみるね!」

「ええ、そうねどっちにしても結婚なんて話になれば先方のご家族様もいらっしゃるのですからね」

「はい、お母さん」

 そうですよね、まだ結婚というのは早いかも知れないけど、先は分かりませんからね……


 早速、瀬菜(せな)からも連絡がありました。まったく情報が早いんだから……

明奈(あきな)から聞いたんだけど、イケメンと付き合っているんだって?』

 また、その情報は大きくなっているような…… そして、杏子(あんず)に出頭命令が出ました。

 夕方、杏子に行くと……

「郁美ちゃん、結婚するんだって?」

 えっ! マスターが私を見るなりそんな事を言います。私はマスターをスルーしてメニューで顔を隠します。まあ、常連だからメニューは見なくても分かるんだけど……

「コーヒーひとつね」

 そう言って顔を逸らしていると……

「それで、日取りはいつよ?」

 まったく、誰がこんな情報をばら撒いているのよ!

「マスター気が早いよ! この間、ドライブに行っただけだから」

 私は溜息を吐きながらそう言います。

「はあ、やっぱり本当だったんだ」

「いや、だから結婚の話はまだ無いから……」

 この小さい町ではどんだけ偽情報が出回っている事やらです。

「郁美、お待たせ」

 瀬菜と明奈です。

「あんた達、旦那さんほっといて良いの?」

「大丈夫、大丈夫! 真相を訊くように言われているんだから」

 まったく、もう!

「あんた達でしょう偽情報流したの!」

「そんな事してないよ、私は郁美がイケメンとデートから帰って来たのを見たって瀬菜に言ったのよ」

 ここまでの話は間違っていないようです。

「ええっ! 明奈は郁美がイケメンとキスしてたって言ったじゃん」

 もう、この辺がまったく違うようです。私は頭が痛くなりました。

「やっぱり、あんた達が話を大きくしてるじゃん、それにキスなんてしてないし、したとしてもこの町ではしないから」

「じゃあ、やっぱりしたんじゃない!」

 危ない、瀬菜の誘導尋問に引っ掛かるとこでした。

「だから、してないちゅうの!」

 するとマスターが注文したコーヒーを持ったまま……

「もう、やっちゃったの?」

 マスターはもう完全に誤解してます。

「マスター、何もしてないから、変な事言わないでよ!」

 もう、困った人達です。

「それじゃ、どこまでいったの?」

「だから、マリンパークまでドライブしただけよ」

「いや、そうじゃなくて」

 私は顔を真っ赤にして……

「馬鹿! ドライブしただけだって……」

 もう、どこまで馬鹿なの?

「なんだ、デートしただけなんだ、帰ろうか明奈」

「だから言ったじゃん」

 やっぱり、瀬菜が暴走したのね! それで帰ろうとした瀬菜と明奈をマスターが引き止め三人でお茶をする事に……

「でも、蔵元は継いでもらえないんでしょう」

「まあ、それはやっぱり無理だよ! 何も解らない人がいきなり出来る訳ないから」

「それじゃ、どうするの? 酒蔵やめちゃうの?」

 瀬菜も明奈もちょっとは心配してるみたいですけど……

「郁美んとこの酒蔵が無くなると姫雫が飲めなくなる訳だから困るんだよね!」

 困るのはそこかい!

「大丈夫だよ、私がやるから、私が蔵元になる。もう、お父さんには言ってあるから」

 瀬菜も明奈も今度は目を見開いています。

「郁美、出来るの?」

「解らないけど…… でも生まれた時から酒蔵に住んでるんだから全然解らない訳じゃないから」

「そういう事ならもっと早く結婚出来てたかもね」

 瀬菜、それは言わないで…… やっとの思いでお父さんを説得して、何とか結婚も出来そうなんだから。まあ、そんな訳でその日はこのくらいで話は終わり解放されました。


 日曜日、私は北御門(きたみかど)さんとショッピングへ行きます。というか私の買い物に付き合ってもらっているんですけど……

「何を買うんですか?」

 私は頬に人差し指をあてて……

「夏物の服を買おうと思っているんだけど…… そうだ! トゥインクルに行きたいんですけど……」

「トゥインクル…… ですか?」

「洋服の専門店です」

「あっ、郁美さんがたまに見ているファッション雑誌ですか?」

「うん、そうだよ!」

 それを聞いて北御門さんはちょっと困った顔をしていますけど……

「…… はい、お供します」

 そういうやり取りの後で私はトゥインクルでウインドウショッピングです。

「あっ、これ可愛い」

 私はスカートやブラウスなどを物色中です。あれ、北御門さんはどこへ行ってるんだろう? 向こうは女性用インナーのコーナーだけど……

「北御門さん、どこに行くの?」

「えっ、いや僕も折角だから自分の洋服を見ようかなと思って」

「ふーん、でもそっちには女性用のインナーしか無いよ」

「えっ、そうなの?」

「うん、紳士服はあっち! それとも私に身につけて欲しいブラとかパンツを見に行こうとしてたのかしら……」

「えっ、そ、そんなんじゃないよ!」

 なんだか居心地悪そうです。

「ねえ、それより試着するからそこのテーブルのところで椅子に座って待ってて」

 そう言って私はさっき見つけたフレアスカートとワンピースを持って試着室へ入ります。

「北御門さん、覗かないでね」

「そんな事しないよ!」

「それとも一緒に入る?」

「郁美さん! 揶揄わないでください」

「ふふ、冗談よ」

 私はカーテンを閉め、まずはフレアスカートから試着します。まあ、上が半袖のシャツだからな…… 私は試着室のカーテンを開け北御門さんに感想を訊きます。

「ねえ、どうかな!」

「うーん、綺麗ですよ……」

 そう一言ありました。それって、スカートが綺麗なの、それとも私が綺麗なの?

「ねえ、似合ってる?」

 北御門さんは俯いたまま「はい」と答えるだけです。よし、今度はワンピースに着替えてみます。もう一度カーテンを閉めてワンピースに着替えます。

「北御門さん今度はどうかな……」

 私は再度カーテンを開けて感想を訊きます。

 すると今度は私の事をジッと見て……

「とても綺麗で良いと思います」

 だって! まあ、男の人ってこんなものかな…… そんなところで私のファッションショーは終わりです。この二つは好評だったみたいなので買っちゃいます。あとはブラウスを買って終わりかな!

「ねえ、洋服を見るなら一緒に見ようか?」

「でも、終ったんでしょう」

「うん、私はね!」

「それじゃ、もう良いんじゃない」

「折角だから北御門さんのも見ようよ」

 そう言って半ば強引に彼を引っ張って行きました。

「これなんて良いんじゃない!」

 私はスカイブルーのポロシャツを手に取ります。

「あっ、でも待ち合わせが無いからやっぱりまた今度にするよ」

 なんてことを言うので……

「それじゃ私が買ってあげる! それなら良いでしょう」

「いや、いいよ」

「いいじゃない! 折角来たんだから」

 彼は頭を掻きながら観念したようです。

「それじゃ、ポロシャツじゃなくてカジュアルシャツがいいかな」

 そうか、彼はそっちが好きなんだね!

「それじゃ、これなんか良いんじゃない」

 私はグリーンの柄の入ったシャツを手に取ります。

「あっ、それ良いね! 僕の好みかも」

 彼もやっとその気になったみたいです。

「それじゃ、一緒にチノパンも買っちゃおう!」

「えっ、ちょっと郁美さん……」

 私は薄いグレーのチノパンを手に取りました。

「これどうかな?」

「郁美さん、僕はシャツだけで充分ですよ」

「まあ、良いから試着して」

 私は北御門さんの背中を押して一緒に試着室へ行きました。

「それじゃ、外で待ってるからね!」

 しばらくして試着室のカーテンが開きます。

「どうかな……」

「うん、そのシャツにそのチノパンは合うよ! 決まりだね」

 そう言うと私は彼の意見も聞かずに店員さんを呼んで裾上げをお願いしました。

「郁美さん、ちょっと貰いすぎですよ」

 彼がそう言いますので……

「そのうち何倍かにして返してもらうから大丈夫よ」

 そう言って私は微笑みました。でも、彼は苦笑いです。その後もちろん私が会計しましたよ!

「郁美さんありがとうございます」

「ううん、いいのよ! 私が強引にやった事だから、それよりお昼にしようよちょっと遅くなっちゃったけど」

「はい、郁美さんは何が食べたいですか?」

「そうね、私はパスタとかで良いけど…… 北御門さんは足りないよね」

「あっ、僕もあまり食欲がなくて……」

「それじゃ、パスタでいい?」

「はい」

 そういう事でパスタ専門店のポワトロに行きました。

「北御門さんはなににする?」

「あの、郁美さんそろそろその言い方やめませんか! なんだか堅苦しいから」

 確かにそうかな…… 私は頬に人差し指をあてながら考えました。

「それじゃ、清君(きよくん)はどう?」

「えっ、うーん…… 良いですよ…… それじゃ僕はなんで呼んだら良いですか?」

「えっと、別になんでも良いんだけど、友達からは郁美って呼ばれているから…… やっぱり郁美でいいよ」

「えっ、いきなり呼び捨てですか?」

「うん、いいのいいの、そっちの方が私も気楽でいいから」

「うん、じゃあ、郁美は…… なに食べたい……」

 彼はちょっとぎこちなさそうに、少し照れ臭そうに俯いてます。可愛い!

「私はキノコと野菜の和風パスタにしようかな…… 清君は?」

 うん、私もちょっと恥ずかしいかな……

「じゃあ、僕は明太子パスタにしよう」

「あっ、それ美味しそう」

 私はつい、言ってしまった。恵子(けいこ)叔母さんがいたら『なんですか、端ない』と言われていた事でしょう。

「それじゃ、シェアしようか!」

 清君がそう言ってくれたので……

「うん、するする。女子同士だとよくするんだよね」

男性とは初めてかな…… 折角だから私は彼の言葉に甘える事にしました。

 注文も終わり、私は彼に言わなければいけない事が……

「ねえ清君、実はね、うちの母が清君に会いたいって、言うんだけど……」

 なんだかこれって、照れるな…… でも今日はこれをこれを言わなければいけなかった訳で……

「あっ、そうですね…… きちんと挨拶はするべきですよね」

 彼は普通にそう言ってくれました。

「じゃあ、会ってくれる?」

 彼はその言葉を聞いて、ちょっと躊躇したみたいです。でもちょっと考えたあと……

「また後日、日程を連絡します」

 という事でした。まあ、言いたい事は言えたので取り敢えずオッケーかな。


 その後、私は彼の車で家まで送ってもらいました。その時玄関先にはタイミング良く母がいます。これは良い機会かも……

「あれ、母です」

 そう言って私が車から降ります。

「ただいま!」

「おかえり郁美」

「お母さん、こちら北御門さん」

 母は顔を上げちょっとフリーズしています。回復するまで時間が掛かるかも……

「初めまして、北御門清政と言います」

「は、初めまして…… 郁美の母です」

 母は少しは回復したかな? でも二人ともかなりぎこちないないです。

「あの、日を改めてご挨拶にお伺いします」

 そう彼が言ってその日はそこで話が終わりました。でも、私の結婚は着実に近づいているみたいです。

なんだかすべてがいい感じに進んでいます。今回は少しづつ結婚に近づいているみたいです。

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