最終話 八代目襲名
大変お待たせしました。姫雫最終話を迎える事が出来ました。皆さん最後までお付き合い頂き有難うございます!
私達は結婚三年目を迎えました。知らない人もいると思いますが結婚三年目は革婚式というそうで由香里さんから私はバックを買ってもらいました。清君は財布を買ってもらったようです。それと、私と清君の子供も生まれました。男の子だったので清君の名前から一字取って政和と名付けました。うちの父は九代目が出来たと喜んでいますけど…… 母はただ孫が出来た事を喜んでいます。そんな中、父から清君の襲名の話が出ました。今年の春、蔵開きが終わった後に八代目の襲名式をする事になりました。清君はちょっと緊張してますけど、酒飯会社さんや酒屋さん、蔵人の人達からも信頼されて今は一生懸命頑張ってますから大丈夫でしょう…… たぶん……
襲名式の前に蔵開きです。父は七代目として最後の蔵開きです。
「お父さんどうしたの?」
父は黙って蔵を見ています。
「俺ももう最後なんだな……」
ちょっと力ない父ですけど……
「ちょっとお父さん、まだまだやらなければいけない事があるでしょう!」
「これ以上俺に何をやらせようというんだ」
「清君のアドバイザーと政和のお爺ちゃん」
「なんだそんな事か、おまえに言われなくてもちゃんとやるよ! この蔵はまだまだ終わらせる訳にはいかないからな」
父は蔵元は引退しますけどサポートはきちんとやってくれるみたいです。政和についても私が何を言わなくても可愛がってくれてますしね。
「お父さん、清君のアドバイザー本当によろしくね」
「うん、解った! でも清政君はもう立派にやってるよ」
そう言って店の方に戻るお父さんはなんだか淋しそうです。
蔵開きの方は地域の皆さんや酒販会社の人達で賑やかです。
「郁美ちゃん、清政君が蔵元になるんだって!」
酒販会社の社長さんですけど……
「あなた、もうそんな言い方は失礼よ郁美さんは若奥様なんだから」
社長の奥様からそう言われてなんだか恥ずかしいですね……
「郁美、おめでとう!」
瀬菜と明奈も来てくれました。
「来てくれて有難う」
「良いのよ! 今年の姫雫を買わないといけないしね」
やっぱり瀬菜は飲んべーです。
「郁美、私も買ったよ」
明奈も一升瓶と冷酒を買っています。
「ねえ、まさかとは思うけど試飲のところでおかわりしてたのはあなた達じゃないよね……」
「だって、スタッフさんが薦めるのに断ったら悪いでしょう」
やっぱりそうだった…… どうりで二人とも顔が赤いよね…… そうです。今年の姫雫を試飲という事で皆さんに振る舞っていますけど、瀬菜と明奈は二人で樽一つ分くらい飲んじゃうんじゃないかな…… まあ、そんな感じでいろんな人達が私にも声を掛けてくれます。もうこの蔵は清君と私が守って行かないといけないんですね。
蔵開きのイベントスタッフはみんながオレンジ色のジャンパーを着ています。お客様には商品説明もしますけど、やっぱりここは試飲してもらう事で沢山の人達に姫雫の良さが伝わりますよね、やっぱり触れ合いながらの販売は良いですね! 今回も沢山の方々に喜んで頂きました。これが終わるといよいよ襲名式です。
四月の中旬、本日は襲名式です。沢山の蔵の関係者が紋付袴でお見えになります。私も今日は振袖と言いたいところですがもう、既婚者ですからね…… でも、和服で皆様をお迎えします。
「郁美、おめでとう」
恵子叔母さんです。
「叔母さん来てくれて有難う」
「来るに決まっているでしょう! あなたと清政君の晴れ舞台なんだから」
今の台詞は結婚式の時も聞いたような…… でも有難い事です。
「恵子叔母さんも上がって」
「うん、じゃあ後ろの方で」
いよいよ襲名式が始まります。
「えーっ、皆様、本日はお忙しい中襲名式にお越し頂き有難う御座います……」
父の挨拶です。七代目最後の仕事ですね、その後八代目として清君が挨拶をします。
「私が八代目を襲名しました北御門清政です。これからも木村酒造と姫雫をよろしくお願い致します」
あとはもう宴会状態です。うちの襲名式はそんなもんだよって母が言ってました。まあ、お酒が主体の蔵ですからね!
「さあ、八代目」
皆さんからお酒を飲まされてますね! この後酔って動けなくならなきゃ良いけど…… そう心配しましたけどなんとか大丈夫そうですね! いざという時は由香里さんもいますから大丈夫でしょう。由香里さんは底なしにお酒は強いですからね! 私は到底足元にも及びませんけど…… こうして清君は木村酒造八代目蔵元になる事が出来ました。
「いや、清政君有難う!」
父です。
「君が蔵元を継いでくれたおかげで、まだ酒蔵をやっていける」
「いえ、こちらこそ、蔵元の仕事は楽しいしやり甲斐があります」
なんだか清君も変わったね! でも、清君が八代目を継いで無かったら…… 木村酒造は無くなっていたかも知れません。そうやって酒蔵は少しづつ無くなっているのです。
「清君、お疲れ様」
「うん、郁美も疲れたでしょう」
「うん、今日は普段合わない人達が多かったからね」
「まあ、これからが大変かな」
「大丈夫、私が支えるから」
「本当に、大丈夫?」
「うん、まかせなさい」
そういう事で私も精一杯サポートします。だって、今からが大変なんだから! 清君と私と政和の三人で蔵を盛り上げて行かないとね! お父さんじゃないけど政和に九代目を継いでもらわないといけないからね…… そうする事でうちの蔵は安泰です。
皆さん最後までお付き合い頂き有難うございました! 今後も何か良いお話を思いついたら書いていこうと思います。
ありがとうございました。
赤坂秀一




