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姫雫  作者: 赤坂秀一
第一章 蔵元の娘
2/20

2 初ドライブ

お待たせしました、第2話を更新しました!


今回は初デートでドライブです。果たして上手くいくでしょうか!



 木曜日の夕方、北御門(きたみかど)さんからドライブのお誘いがありました。

「有難う、北御門さん今から会うのが楽しみですよ」

 私がそう言うと……

「僕もあなたみたいな綺麗な方とドライブに行けるなんて幸せです」

 なんて言われちゃいました。もう、どうしましょう! そういう事で今度の日曜日は父に言ってお休みを頂きました。なんといっても八代目修行の身ですから……

「まあこれで、おまえが結婚出来るなら俺は何も言わないからな」

 そう言って快く承諾してくれました。

「お父さん大好き」

 そう言って抱きついたら……

「馬鹿! やめろ」

 そう言われてしまいました。もう、照れちゃって!


 日曜日私は、待ち合わせのカフェに行きます。だからって杏子(あんず)じゃないですよ! 馴染みの店で待ち合わせなんかしたら、この界隈の人達みんなに知れ渡ってしまいますから、それこそ木村酒造の一人娘が…… この辺りで私の事を知らない人はいませんからね! 名前は知らなくても酒蔵の娘ってくらいは知られています。

「あれ、郁美(いくみ)ちゃん綺麗な格好してどこ行くの?」

 ほら、杏子のマスターです。こんな具合で訊かれてしまうのです。

「うん、ちょっと橋本市(はしもとし)まで、じゃあね」

「いってらっしゃい!」

 こんな感じで手を振って見送られました。「はあー」顔見知りでもたまには知らん顔してもらった方が良い時もあるんだけどな…… 私が住んでいる所は城北川(じょうほくがわ)の下流にある柳瀬町(やなぜまち)です。この城北川周辺には酒蔵さんがいくつかありまして昔はまだ沢山あったらしいのですが今は、私が知る限り三軒かな…… 柳瀬町はそういう所です。さて、待ち合わせのカフェに到着しました。来てるかな北御門さん…… 私が店の中に入ると北御門さんはもう来ていました。私が手を振って彼がいるテーブルへ行きました。

「早かったんですね」

 そう話しかけると……

「いや、なんだか待ち遠しくて早く来てしまいました。郁美さんも早かったと思いますよ、まだ時間前ですしね……」

 そう言いながら彼はそっとメニューを渡します。

「私もコーヒーをお願いします」

 そう注文します。

「郁美さんって、僕よりお姉さんなんですね!」

 私は顔を上げそっと北御門さんを見ます。

「そうよ、今日は何処に連れてって頂けるのかしら?」

 私がちょっと眉をひそめて彼を見ます。

「あっ、ごめんなさい、そうですね…… えっと、水族館とかどうですか?」

 ちょっと可愛いかな、ドギマギしてる!

「あっ、良いですね」

 私がそう言うと、彼はスマホを見ながら……

「それじゃ橋本市のマリンパークへ行きましょう」

 そういう事になり私は彼の車に乗りました。彼の運転で車を走らせます。

「北御門さんは年上の女性は嫌ですか?」

 私がそう訊くと……

「嫌という訳では無いけど、前までは年下の女性が良いかなと思っていた時期もありましたけど、今は僕の事を好きになってくれる人なら…… それに郁美さんは僕にはもったいないくらい綺麗だから」

 ちょっと顔を赤くしてますよ、やっぱり可愛い!

「お上手なんですね」

「いえ、そんなんじゃ」

「うふふ…… 分かってるよ」

 彼は本当に真面目そうです。そんな話をしながらドライブを楽しみます。


 マリンパークに到着です。

「えっと、入口は……」

「ほらこっち、行くよ!」

 私は、彼の腕を引いて入口へ行きます。その後も私が彼を引っ張ってみて回ります。気が付けば、私が先立って仕切っていました。

 あっ、またやってしまった! 相手がおとなしいとつい、行動してしまう。彼は呆れてるだろうな……

「郁美さんって行動的なんですね!」

「あっ、ごめんね、つい地が出ちゃった」

 あーあ、もう駄目かな…… 私みたいな女。

「どうしたの? さあ、この先に良いところがあるから」

 北御門さんはそう言って私の手を握り引っ張って行きます。あっ、なんだか良い感じですね!

「あっ、うわー! 凄い、水槽のトンネルだ」

 その水槽には小さくて色とりどりの魚が沢山泳いでいます。とても幻想的です。その後も彼と手を繋ぎ、ウミガメがいるところやサメがいるところ、イルカのショーとかを見て楽しみました。


 今日はとても楽しい一日でした。これからも私は彼とお付き合いしたいけど……

「北御門さん今日は一日有難う。とっても楽しかったよ」

 私はニッコリ微笑みました。

「僕もです。郁美さん、もしよろしければ正式にお付き合いしてもらえませんか?」

 彼はそう言って車を止め私を見ます。

「えっと、私…… 四つも年上なんだけど良いの?」

「年齢は関係ないです。それに僕の事を引っ張ってくれる人が良いかなあって……」

「あっ、でも……」

 私は私の家の事を言ってませんでした。

「僕みたいな男は、駄目ですか?」

 彼はちょっと俯き肩を落とします。

「ううん、そうじゃないの、私の家は昔ながらの酒蔵で…… その、私が八代目をやらなきゃいけないの…… そんな女でも良い?」

「僕はお手伝いが出来ればいいんでしょう! それだったら大丈夫ですよ」

 ここで彼に八代目になって、なんて言ったら…… また終わっちゃうよね。

「うん、そうしてもらうと助かるんだけど……」

「はい、それくらいなら大丈夫ですよ、八代目になってとか言われたら無理ですけど……」

「あっ、大丈夫! それは無いから……」

 本当に無いのかな? うちのお父さんやお母さんに紹介して大丈夫かな…… 一応私が八代目という事で話はついてるけど……

「それじゃ、これからもよろしく」

 そういう事で私は家の近くまで送ってもらいました。

「それじゃ、またね!」

 私は手を振って彼と別れました。

「郁美! 今の誰?」

 あっ、明奈(あきな)に見られてしまった…… 瀬菜(せな)じゃないだけ良いけど……

「ひょっとして彼氏が出来た? どんな人」

「うん、男の人」

 そう言って私は歩き出しました。

「そりゃそうよ、女の人な訳ないでしょう」

「ごめん明奈、もう少ししたら紹介するから、今日は見逃して……」

 そう言って私は家へ帰りました。今日はなんだか疲れました!




初デートは、取り敢えず成功です。彼も正式に付き合って欲しいという事でしたけど……

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