12 バージンロードを歩く日
お待たせしました第12話を更新しました!
いよいよ、結婚式です。ここまでの道のりは長かった郁美と清君ですが、これからがまた、大変なのかもしてません……
明日は、結婚式です。今まではもう三十過ぎたから早く結婚したいと思っていましたが、それが今日で独身生活も終わるのかと思うと、ちょっとセンチメンタルな気分です。
「郁美、明日は早いんでしょう! 早く休みなさいよ」
「うん」
でも、こんな気持ちで眠れるかな、そう思ってましたけど……
「郁美、早く起きなさい! 準備に時間が掛かるんでしょう?」
えっ、私眠ってたの? 大変です。急いで式場に行かないと…… 私は父の運転でアルマジェル橋本へ向かいますが今日に限って街は大渋滞です。
「なんで、どうなっているの? このままじゃ遅刻しちゃうよ!」
まったくどうなっているのか…… 私は一時間遅れでアルマジェル橋本に到着しました。
「遅いよ郁美! 何してたの?」
由香里さんも清君も、もうご立腹です。
「清君、ごめんね…… 道路が混んでて」
「もう、次のカップルの準備をしないといけないからって今日は中止になったから」
えっ、結婚式が中止だなんて聞いたことないんですけど……
「郁美は本当は僕と結婚したくないんだよね!」
「えっ、そんな事はないよ、ごめんね清君」
「やっぱり、この結婚は無かった事にしよう」
えっ、そんな清君、待って! お願い、待って……
「郁美…… 郁美、早く起きなさい! 遅刻しても知らないわよ!」
えっ、私はパジャマ姿でお布団の上に寝転がっています。
「夢だったの…… もう、焦ったよ」
私は着替えて部屋から降りて来ました。
「おはよう!」
「おはよう、どうしたの? 浮かない顔して」
「変な夢を見て……」
「気持ちが不安定なのね、仕方ないわよ」
私は軽めに朝食を食べます。
「おはようございます」
清君が来ました。
「おはよう、どうしたの?」
「うん、郁美と一緒に行こうと思って」
清君…… 良かった。何だか涙が出てきました。
「郁美、どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
何だか最近は涙もろいです。この後、私は清君と二人でアルマジェル橋本へ行きました。
早速、私は控室へ連れて行かれ変身します。と言ってもプリキュアになる訳じゃないですよ! 清君のお嫁さんに変身です。鏡の前でヘアメークさんが私にメークをしていきます。少しずつ私が綺麗になっていきます。何だか嘘みたいです。するとまた、涙が出てきました。
「あら、大変! 折角メークしたのに」
涙を拭いてまた、メークをやり直してもらいます。
「すみません……」
「ううん、良いのよ! 結婚式前の花嫁さんは色々と複雑なのよね」
このメークさんの一言で私の気持ちは落ち着き心が楽になりました。
「郁美」
清君が私のところへやって来ました。フロックコートを着た清君はカッコ良いです。
「それではチャペルへ行きますので……」
私達は担当の小林さんに連れられチャペルへ向かいます。もう本番、何だか緊張して来ました。
「あれ、お父さん?」
「おお郁美、綺麗に化けたな!」
お父さん言い方…… 小林さんはちょっと苦笑いです。
「それでは入場の練習をします」
入場ってただ手を繋いで歩くだけじゃないの?
「まずはお父様と花嫁さんが一緒に歩きます」
何だか歩き方とかがあるみたいでちょっと面倒なんですけど…… まずはお父さんと腕を組んで歩きます。歩く時は、まず右足で一歩左足を右足に揃え今度は左足で一歩そして右足を左足に揃える…… 何だか足が縺れそうです。
「えっ、どうだって?」
「お父さん右足で一歩左足を揃えて左足を一歩右足を揃える」
「うーん、頭で分かっていても足がその通りに動かん」
だよね…… だって私も間違えるもん。
「ねえ、清君は大丈夫?」
って、ひとりで一生懸命練習してるよ……
「あ、あの…… それなりでいいですよ、間違ってもそのまま歩いてください」
小林さんもちょっと諦め気味ですね……
「えっと、それで入口からバージンロードの半分までお父様と歩いて頂いて中間で新郎様と交代します。後は新郎新婦一緒に前まで歩いて行きます」
はあ、何だか緊張して来ました。私出来るかな……
「それじゃ、やってみましょう」
では、練習します。まずは父と腕を組み歩きます。
「おい郁美あんまりくっつくなよ」
「腕を組むんだから仕方ないでしょう」
「うん、胸が当たってるんだよ」
「もう、エッチ!」
そして、中間で清君と交代です。私は清君と腕を組んで歩きます。
「郁美、その…… 胸が当たってるんだけど……」
「嫌じゃないでしょう! 気にしないで歩きなさい」
まったく、揃いも揃って何言ってんだか……
「はい、そのまま前まで来てください」
ここで愛の誓いをします。まずは指輪の交換です。これは清君とジュエリーショップで二人で選んで来たものです。
「ここで誓いの接吻をします」
えっ、人前でやるの! 何だか恥ずかしいんだけど…… すると、清君は私のベールをあげて……
「はい、頬にちょっと触れるくらいで良いですので」
ここまで打ち合わせをしていよいよ本番ですけど、その前に休憩です。でも何だか緊張でどうにかなりそうです。
「はあ、お腹すいたなぁ、早く披露宴にならないかな……」
「えっ、清君は緊張しないの?」
「少しはするけど…… 朝食パンだけじゃ駄目だね」
清君は楽感的でいいね!
「それでは始めます。新郎様はこちらから先にお願いします」
清君は先に行ってしまいました。あっ、中間で交代だったね! チャペルの扉が開きました。いよいよ入場です。チャペル内はみんな拍手で祝福してくれます。
「お父さん、大丈夫?」
「ああ、しっかり俺について来い」
何だかこんな父は初めて見るような…… ちょっとカッコいいかな!
父とバージンロードを半分歩いたところで清君と交代です。もう、やっぱり足が縺れそうです。
「郁美! 綺麗だよ」
えっ、誰! この声は瀬菜のようだったけど…… 神父さんの前に到着です。神父さんは聖書を持って色々話してますけど…… この人、式場のスタッフさんなんだよね…… まずは誓いの言葉です。あの悩めるときも病めるときもという例のやつですよね!
「はい、誓います」
清君は誓ってくれました。もちろん私も……
「はい、誓います」
「それでは指輪の交換を」
準備していた指輪を清君が私の薬指にしてくれました。私も清君の薬指に指輪をつけます。この後、あの儀式です。
「それでは、誓いの接吻を……」
練習通り清君はベールをあげて私の頬に…… えっ、ちょっと…… 清君は私の唇にそっと触れるくらいのキスをしました。
ちょっと清君、話が違うでしょう! もう、恥ずかしい…… 私はたぶん顔が真っ赤になってると思います…… 顔が熱いです。
そのあと私と清君は、チャペルの外に出て鐘を鳴らします。そのあとお約束のブーケトスです。私は後ろむきでブーケを投げそれを受け取ってくれたのは小学生の女の子でした。彼女も十何年後に誰かにブーケトスするのかな!
「はあ、終わった!」
「いや、まだ今から披露宴だよ」
まあ、そうなんだけど、私と清君は控室で衣装チェンジです。私はグリーン系のドレスです。清君はたぶんタキシードかな!
「郁美、入っても良い?」
この声は瀬菜と明奈です。
「瀬菜、バージンロードで声を掛けたでしょう」
「うん、ウエディングドレス綺麗だったよ!」
「ありがとう」
「でも、本当に思い切ったね!」
「うん、ちょっと恥ずかしいけど一生に一度だし」
「分かんないよ! 清政さんと別れたらもう一度着れるかもよ」
「縁起でもない事言わないで!」
瀬菜はやっぱりふざけてます。
「でも、ウエディングドレスも良かったけど、そのグリーン系のドレスも良いね!」
「うん、披露宴の前半はこれで行くから」
なんだか、瀬菜と明奈の顔を見たらホッとしました。二人はたぶん私の様子を見に来てくれたんだと思います。確か、明奈の時も私と瀬菜で控室に行ったような気がします。
引き続き披露宴があります。皆さん会場でお待ちのようです。私と清君は会場の後方から入場します。
「はあ、緊張する……」
「大丈夫、僕がエスコートするから」
何だか頼もしい清君です。扉が開きました。もう緊張で何も分からない状況です。
私達は式場のスタッフさんに案内され進んで行きます。会場では入場の時の曲が流れているはずですが皆さんの拍手であまり聞こえません。そのまま進んで壇上へ…… その時、清君は優しく私をエスコートしてくれました。そして、一礼して着席します。
この後、酒販会社の社長さんがお祝いの挨拶をしてくれました。
「みなさん、今日は木村酒造様から特級酒の姫雫と冷酒も提供させて頂いていますのでご賞味ください」
そして乾杯です。なんと杏子のマスターが乾杯の音頭を取ってくれました。
この後は、しばらくは会食ですが、次々にお酌に来てくれます。
「おめでとう郁美、綺麗だよ!」
それはさっきも聞いたよ明奈! 瀬菜もグラスたっぷりにビールを注いでくれました。非常に迷惑です。清君は食事をしながら友人と話しています。しかし、テーブル下のバケツにはビールやお酒が半分くらい入ってます。私の方はそんなに飲めないので一度交換して頂きました。
この後、初めての共同作業ケーキカットです。皆んながカメラやスマホでシャッターを切ります。なんだか芸能人にでもなった気分です。ケーキは沢山のショートケーキを飾ってある一部をカットして後はご希望の方が食べられる仕組みにしました。もちろん私も二つくらい食べたかな…… そして私と清君はお色直しのため退席します。
「あー、お腹空いた!」
私の第一声です。だって食事をする暇がないんだもん! まあ、主役だから仕方がないけど…… でも、次の入場がキャンドルサービスで清君のお礼の挨拶が終われば披露宴は終了です。よし、もう一息だ! 私はもう一度清君が選んでくれたビスチェタイプのウエディングドレスに着替え清君とキャンドルサービスに挑みます。
「清君、これが終われば何か食べようね!」
「うん、僕は肉が食べたいです」
そして、会場の扉が開くと照明は少し暗くしてあり、私達は各テーブルのキャンドルに灯りを灯します。その度にみんなから拍手を頂きました。
「郁美、頑張って!」
瀬菜です。テーブルのキャンドルに何か細工があるみたいでなかなか火がつきません! まったくもう……
「瀬菜、何をしたのよ!」
「可笑しいね、なんで付かないんだろう?」
瀬菜には本当困ったものです。各テーブルに灯りを灯したあと、壇上のメモリアルキャンドルに灯りを灯します。二人でお辞儀をすると割れんばかりの拍手を頂きました。
「それでは新郎様よりお礼のお言葉を頂きます」
清君はマイクの前に立つとそのまま挨拶を始めます。あれ、紙は見ないのかな?
でも、挨拶を聞いていると両親への感謝、今日お越し頂いた皆さんへの感謝、そして、今日私達のために準備をして頂いたスタッフの皆さんへの感謝の言葉を言っていました。なんだか聞いていて涙が出て来ました。
こうして、私たちの結婚式は無事に終わりました。今日一日空腹と疲れが残りましたが一生の思い出になったかな…… でも、この後二次会をするからと瀬菜と明奈に言われたのでいかないと駄目かな……
取り敢えず、結婚式と披露宴は終わりました。新郎新婦は本当、なかなか食事をする暇がないんですよね…… それでも一生に一度の良い思い出になったかな!




