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フォーカスモンスター ~カメラで撮られたら死ぬ~  作者: 七宝正宗
第四章 死ぬべき基準
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昔のクラスメイト1



 翌日、まといはまた同じ時間帯に病院に来る羽目になった。


 ガンが見つかったとかではない。担当医から、脳も診てもらうよう指示が出てしまったのだ。MRI検査というやつである。

 碧にはもちろんこの事は言ってない。今日はバイトと言ってある。




 

 MRI検査には30分ほど時間を要した。

 



 

 今日診てもらった医師は他にも何人か患者を抱えていたので、検査結果の時間になるまで1時間ほど時間を要した。

 そして診察室にて…………。



 

 「脳に腫瘍もありませんし、脳梗塞の疑いもありません。ただ………」


 「ただ?」


 「健康ではないですね。ストレスをとても抱えやすく、自律神経も乱れがちです。これはいただけない」


 「つまり、心の問題だと?」


 「ええ。心療内科に通う事をお勧めします」


 「……………………………」


 「精神科や心療内科をバカにする人は多いですが、大切な事なんですよ。心と体は繋がっている。だから、どちらかをおろそかにしてしまうと、心も病んでしまいますし、体をボロボロにしてしまう事もある」


 「そう……ですか」




 別に、精神科や心療内科をバカにするつもりはない。でも、通ったところで意味なんてないとわかっていた。

 失ってしまった者は2度と戻ってはこないのだから………。





 そのあとのまといは、医者の話を上の空でしか聞く事ができなかった。





 そしてようやく会計を済ませ、ため息をつきながら病院を出て行こうとする。

 

 すると、女性の声で、まといの事を呼び止める者がいた。



 

 顔色は白かったが、御影テンマではなかった。でも、見覚えのある顔だった。




 「やっぱり蒼野さんだ、元気?」


 「ああ、上辺(うわべ)さん……」



 上辺美鈴(うわべみすず)。高校時代、まといと同じクラスメイトだった子だ。

 だいの仲良し……とまでは行かないが、気軽に話し合える友達ではあった。卒業をきっかけに疎遠になってしまったが………。


 上辺美鈴はバリバリのギャルみたいなタイプではなかったため、まといは苦手意識をあまり持つ事なく話す事ができたというわけである。



 「円城寺さんの件は……残念だったね」


 「えっ………うん」


 「わたし、いまでも信じてないよ。あの子が麻薬をやってたなんて」


 「…………ありがとう」



 ネットの情報を鵜呑みにしてしまう人が多い中で、信じてくれる人が1人でもいてくれるだけで奇跡みたいなものである。

 それでも、失ってしまった者はもう戻らないが………。




 「上辺さんは……顔色悪いけど大丈夫なの?」


 「うん。病み上がりだから顔色が悪いだけだよ。まあ、電車通勤とかはまだ無理だけど、テレワークの仕事には就けたから、今まで兄貴に苦労させた分、頑張らないとね」


 「そっか、よかった」


 「でね、兄貴とはこの先の公園で待ち合わせてる。ここで兄貴と待ち合わせちゃうと、散歩もできないまま家に連れていかれちゃうから」


 「でも、いいお兄さんって感じだね」


 「うん」



 でも、顔色がとても悪そうだ。

 日が経てば徐々に健康的な顔色にはなっていくのかもしれないが………。



 「ねえ上辺さん。私も一緒に公園まで行っていい?」


 「うん、いいよ」



 という事で、2人は歩き始めたのだった。

 

 

 

 

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