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フォーカスモンスター ~カメラで撮られたら死ぬ~  作者: 七宝正宗
第二章 御影テンマと稲辺頼宏
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幕間3



 真っ暗闇の夜の中、蒼野まといはひとり、深くため息をついた。



 

 郷田六郎の口から右田常信という名が出たが、まといは、右田がスケープゴートだと知っていた。



 スケープゴートを簡単に説明すると、要するに身代わりである。

 たとえば、不正まみれの政治家が、あかるみになる寸前の横領を、お金と引き換えにして、秘書のせいにしてもらう事を指す。


 一番タチが悪いのは、まったく事情の知らない他人を悪人に仕立て上げ、マスコミにわざとその情報をリークし、周知の事実にしようとする行為である。



 まあ、それに比べたら、右田常信の件は、まだマシな方かもしれないが………。



 

 でも、結局はここでどん詰まりとなってしまった。手がかりがなにもない。

 やはり、素人の身でこの件を追うのは、限界があった。



 「…………………………」




 まといは、もう1度深くため息をついたのだった。




 そしてまといは、23時ごろに自宅のマンションへと帰宅した。

 まあ、自宅といっても、居候の身ではあるが。



 玄関を開けると、電気がついていた。



 「あれ?」



 まといは不思議そうに首を傾げた。

 

 すると、奥の部屋から1人の女性がまといのもとへとやって来る。




 「おかえり、まといちゃん」




 風椿碧だった。





 「風椿さん。今日は夜遅いんじゃなかったっけ?」




 「うん、そうだったんだけどね、共演者のスケジュールが急遽(きゅうきょ)変更になったから、撮影は早めに終わったんだ」




 「そう。じゃあ、夜ご飯はもう済ませちゃった?」




 「うん。だから気にしないで。あっ、お風呂のお湯はまだ暖かいから、入るなら入っちゃって」




 「わかった」




 そう、蒼野まといは、この風椿碧と同居している。

 家事掃除などをする代わりに、タダ同然で住まわせてもらっているというわけだ。だから、早く帰ると知っていれば、こんな遅くまで出歩かず、夕食の用意をしていたのに………。




 「で、まといちゃん。こんな夜遅くまで何してたの?まさか、私が帰らない日とかは、いつも深夜に出歩いているとか?」




 「………………別に、たいした用じゃないです」




 「そう。それならいいんだけど」




 碧は、ニコニコと笑みを浮かべながら、奥のリビングへと戻っていった。





 

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