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フォーカスモンスター ~カメラで撮られたら死ぬ~  作者: 七宝正宗
第二章 御影テンマと稲辺頼宏
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稲辺頼宏のその後1



 頼宏は千葉県にいた。


 本当は青森まで逃げたかったのだが、かなりの交通費がかかるので、とりあえず千葉に移動したのである。

 電車は使ってない。ほとんど徒歩だ。



 今後としては、徒歩で少しずつ移動しながらバイトをしつつマンガ喫茶で夜を明かし、最終的には、山口県か、青森県のあたりで落ち着きたいと思っている。



 仕事はもちろん、短期バイトでその日暮らしだ。



 カチカチ。


 

 頼宏は今、マンガ喫茶のパソコンを使いながら、ちょうどいい仕事を検索していた。



 だが………………。



 パソコンが突然ブラックアウトした。



 「えっ?」



 頼宏は動揺した。

 そして弁償代の事が頭によぎり、次に、残り少ない貯金額の事を心配した。



 でも、すぐにブラウザ画面に戻ったので、頼宏はほっと胸をなでおろしたのだった。



 だけど、求人広告のサイトは消えていた。

 そのかわりに、福神新聞のWEB専用記事がなぜか開いていた。


 福神新聞。

 スポンサーなどの縦のつながりがないため、忖度をいっさいしない切り込んだ記事が多い。

 たとえば、マスゴミ(・・)の醜態など載せたりもしている。



 いま開いている記事は、鮫山組が壊滅したといった内容だった。

 記事の内容によると、鮫山組は、昔からボクシングの勝敗を裏で操作していて、八百長賭博で儲けていたらしいが、その金の一部が、与党のとある政治家にも流れていて、証拠もすでに警察が押収したという。

 しかも、ホームレスをうまい具合に使って、暴力による立ち退きもしていたそうだ。

 その犯罪に加担したホームレスもすでに逮捕された。



 そして、ある花屋(・・・・)が、その鮫山組のせいでこなごなにされてしまった事についても書かれてあった。



 写真も載っていた。




 そう………花屋ペイズリーが瓦礫と化した後の、その悲惨な光景だった。 




 頼宏は、パソコンの電源を落とす事すらせずに、そのマンガ喫茶から急いで出て行った。





 自分はバカだと、頼宏は思った。

 彼女を巻き込まないためにあの花屋から去ったのに、自分の愚かな選択によって、結局彼女からすべてを奪ってしまった。


 そもそも、7ヵ月以上も長居すべきではなかったのだ。

 


 それでも…………それでも幸せだった。

 だから、あと1日、あと1日と先延ばしにしてしまった。




 彼女が好きだった。





 あの記事には、彼女がどうなったかが書かれていない。


 彼女には死んでほしくない。

 自分はどうなってもいい………。

 だから……………。





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