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夕食の席で行われた、明日の移動の打ち合わせは、その後もいくつか議題を変えながらしばらく続いたが、それもひと段落して解散することになった。
食後は適当なお喋りをする事もあるんだが、明日は今日と違って何かと慌ただしくなるかもしれないしな。
ってことで、俺たちは今日泊まる部屋へとやって来た。
女性用の貴賓室で、前回も泊まった部屋と同じ場所だな。
ただ……。
「どう?」
部屋の真ん中で【小玉】に乗っているセリアーナが、壁に張り付いている俺に向かって声をかけてきた。
ちなみに、俺は今部屋に何か仕掛けられていないかの捜索をせっせと行っている。
一度泊まったことがある部屋だとはいえ、ここは他の者も利用する事が出来る部屋だ。
何かを仕掛けようと思えば、その時に仕掛けることも可能だし、油断する訳にはいかないからな!
「うーん……うん。とりあえず、こっちは大丈夫だね」
「お前は相変わらず細かいわね」
「まーねー」
「お前も立場が変わったし、そろそろこの役目も解除した方がいいのかしら……」
セリアーナは俺を見ながら頬に手を当てて、そんな事をボヤいている。
まぁ、元々俺がその役目を行っていたのは、当時の俺がセリアーナの護衛兼侍女みたいな感じだったからなんだよな。
今はちょっとその立場から変わったしな。
これがもう少し低い爵位の家だったならまた別なんだろうが、一応伯爵家の人間になったわけだし、あまり俺が警備や捜索までやってしまうってのはいい事じゃないのかもしれない。
だが……。
「んー? いや、オレは自分で調べた方が安心出来るし、そのままでいいんじゃないかな?」
滅多にその機会は無いが、基本的に外泊する際は、俺とセリアーナの部屋は一緒になっているんだ。
それなら、自分でやってしまうのが一番確実だ。
俺個人の能力ならともかく、恩恵品やヘビたちも使えるからな。
「そう。なら、今後も任せるわ。まあ……その機会もそうは無いでしょうけどね。じゃあ、隣に行きましょうか」
「はいはーい」
俺の言葉に、セリアーナは肩を竦めながら返すと、そのまま隣の寝室へと向かって行った。
◇
寝室に移ると、同じく俺はそちらのチェックを行った。
結果は、こちらの部屋も問題無しだ!
ってことで、俺たちは寝巻に着替えて部屋で過ごすことにした。
明日の出発も今日と同じく昼からだから、寝るにはまだ早いし、セリアーナにベッドで横になってもらい、マッサージをしつつ適当な事をお喋りだ。
今日はずっと座りっぱなしだったから、腰や背中をメインに施療を行っている。
いつも通りだな!
そして俺は、ベッドの上にうつ伏せになっているセリアーナの腰に乗り、背中に手を当てながら話をしている。
これも、いつも通りだ。
「ねー」
「どうしたの?」
セリアーナは、枕に顔を埋めたままのくぐもった声で答えた。
普段だとまずこういった気の抜けた振舞いは行わないんだが、セリアーナも慣れてきたからなのか、最近のマッサージ中はこういった感じになってきているな……。
「明日も出発はお昼でいいの? 到着はまた今日と同じくらいになっちゃわない?」
明日の移動距離も今日と同じくらいだし、大体同じくらいか……あるいは襲撃の具合を考えたら、さらに遅れるかするだろう。
一般的な出発の時間と合わせて、早朝から出たりしなくていいんだろうか?
「ああ……。どうせ港についても船の出発は夜よ? 下手に早めについても街で待機することになるし、そうなったらもし残党がいた場合、面倒なことになるでしょう? もちろん、必ずそうなるわけじゃ無いけれど、極力他家が治める街で騒動は起こしたくないわ」
「なるほど……。荷物はもう送り届けているし、街に着いたらそのまま港に行くんだね」
「そういう事よ。もっとも、私たちが必ずそこを目指す事は分かっているし、既に街中で潜伏されていたら、どうしようもないかもしれないけれど……そこはもう考えても意味が無いことよ」
「それもそうだねー」
これだけ備えていても、結局相手次第ってなってしまうのがアレではあるが……とりあえず、こちらも倒し方を選べる程度には戦力はしっかり整えているし、とりあえずは何とかなるか。
「そういえばさー……」
もう船に乗るまでの間に俺が何か出来る事は無さそうだし、この話題はここまででいいだろう。
俺は話を船に乗ってからの事に切り替えることにした。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




