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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
24章・王都出発。いざリアーナへ!

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「……セリア様?」


 セリアーナは俺に手を向けたまま、今度は目を開き瞬きもせずに固まっている。

 何か起きたのか、それともこれから起きるのかわからないが、まぁ……なんかあるんだろう……。


 セリアーナが何か言うのをそのまま待ち続けていると、「ふう……」と大きく息を吐いて、こちらを向いた。


「魔物の群れがいるわね」


「……ほぅ?」


 魔物……か。

 そりゃー、いくら比較的安全なこの辺でも、少し離れれば森や川があるし、夜になれば魔物の群れくらいは出てくるだろう。


 だが、この言い方だと……。


「ぶつかりそう?」


「ええ。まだ距離はあるけれど、街道に向かって移動してきているのが見えたわ。大型の魔物はいないし、どれも強さは大した事は無いけれど、馬車を守りながらだと少々面倒なことになりそうね」


 具体的な数こそ口にしなかったが、この言い分だと相当な数がいそうだな。


 大型の強力な魔物はいなくても、小型の魔物は10数体以上で群れを作ったりもする。

 この一行なら、その魔物の群れをただ倒すだけなら、たとえ夜でも容易いことだろうけれど……、馬車を守りながらとなると、むしろ小型の群れの方が面倒かもしれないな。


「セラ」


「ほい!」


 セリアーナは勢い良く返事をする俺を見ながら指示を始めた。


「前方の街道北側に小型の魔物の群れが複数。戦闘は確実だから、備えるように。リーゼルにそう伝えてきて頂戴」


「魔物の群れとぶつかるから、備えるように。だね? りょーかい!」


 俺なら、さらに詳しい情報を得るための偵察だったり、なんなら討伐だって可能かもしれないが、今は一先ず指示に従おう。


 セリアーナの指示を復唱すると、【祈り】を発動して馬車から飛び出した。


「……ぉぉ、結構冷えるな」


 諸々の気候の変化に強い【風の衣】があるが、この加護は暑くも寒くも無い季節だと、あんまり防寒効果は発揮してくれない。

 この春の2月の夜っていう、微妙な季節だと何とも肌寒い。

 上着を着てきたらよかったかもな……。


 などと、そんな場合じゃないと分かっていつつも、呑気な事を考えてしまっている。


 一応緊急事態なのは間違いないんだが、俺にとっての脅威かどうかっていうとまたちょっと違うんだよな。

 ヘビたちも別に警戒態勢に入っていないし、意外と余裕があったりもする。


 とはいえ、魔物は魔物だ。

 油断はいけないし、気を引き締めておかないとな!


「セラ様!?」


「すぐ戻るから、そのまま走ってて!」


 走る馬車からいきなり俺が飛び出してきて、御者の彼は随分驚いた様だ。

 上ずったような声で俺の名を叫んだが、申し訳ないが説明はちょっと後にしてもらおう。


 ってことで、10メートルほど前を走る、リーゼルが乗った先頭の馬車に向かって【浮き玉】を進めた。


「お」


 その馬車のさらにその前に騎乗したオーギュストがいて、馬に乗りながらも俺の接近に気付いたようだ。

 こちらを向いているが……彼への説明も申し訳ないが、やっぱり後だ。


 先にリーゼルから……と馬車を指すと、その意図はしっかりと伝わったようで、右手を掲げて合図をしてきた。


 うむうむ。

 察しが良くて助かるな。


 それじゃー、馬車に入るか……と、その前に御者に一声かけておかないと……。


「…………っ!? これは、セラ様。どうかされましたか?」


 馬車に並走しながら、御者席に顔を見せた俺に気付いた御者は、俺たちが乗っていた方の御者と同じ様な反応を見せた。


 まぁ、走っている馬車に宙を飛びながら並走してくる人間がいるなんて、普通は思わないもんな。

 俺だって飛んでいる時に横から声をかけられたら、叫んでしまうかもしれないし驚くのも仕方が無いか。


「ちょっと中に用事がね。気にしないでそのまま走らせといて」


「は? はっ……」


 中を気にしながらよそ見運転をしていて、事故でも起こされたら大変だもんな。

 しっかり釘を刺してから、俺は馬車のドアをノックした。


 驚かさないように、念のため声もかけておこうかな……。


「旦那様ー! セラでーす!」


 馬車の音に負けずにしっかり中に伝わるように大声でそう言うと、俺がここにいる事に既に気付いていたのか、すぐに中から返事があった。


「鍵は開いているよ。入ってきてくれ」


「はーい!」


 リーゼルの声に返事をして、俺は馬車のドアに手をかけた。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[一言] セラさんの伝令!
[一言] これ味方だから大丈夫だったけど敵だったらセラを呆然と見てる間に壊滅してるよなあ
[良い点] 更新乙い [一言] 夜道を車で走ってて、窓の外に併走してる何かが居たら、そらびっくりするよって
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