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「んで、どーよ?」
俺のざっくりとした聞き方でもしっかり伝わったようで、ウチの兵たちはリーゼルの方を気にしつつも、答えてくれた。
「確かに、旦那様方をお守りするのにこの恰好で十分かと言われたら……十分とは言えないだろう」
「あ、やっぱり?」
少々濁してはいるが、どうにも彼等は自分たちが軽装のまま出発する事に、不安に思っている様だ。
まぁ、そりゃそうだよな。
「ああ。魔物の脅威はリアーナほどじゃないし、俺たちが移動するだけならこの恰好でも問題無いが……やはり護衛の任務だとな。もちろん、こっちの連中を信頼していないわけじゃ無いんだが……それでも、リアーナの兵と比べると、どうしてもな」
そう言って彼等は黙ったり、王都の兵や冒険者たちの方を見たりしている。
兵の方は上半身は金属の鎧で、後は手には槍を持ち、腰には剣をといった、まぁ……普通の装備だ。
そして、イザベラが雇った護衛の女性冒険者たちは、何かの革の鎧に剣と弓……後は杖かな?
槍じゃなくて剣をメインにしているのは、彼女たちが魔物相手の戦闘では無くて、護衛任務がメインだからだろう。
だが、それを除けば、彼女たちも冒険者としてスタンダードな装備だ。
年も20代半ばか後半ほどで、
「ほぅほぅ……。駄目そう?」
少々声を落として、あちらさんはどんなもんかを訊ねてみた。
今俺は目もヘビも出していないから、他人の実力がわからないんだよ……。
見た感じだと、両者ともおかしなところは無いが、どうなんだろうな?
「どちらも腕は悪くないだろう。特にあっちの女たちだ。流石にエレナ様には及ばないが、似た系統の冒険者だし、護衛としてなら十分過ぎるくらいだ」
「……へー。それは頼もしいね」
実績はあるようだし、イザベラの事を信用していないわけじゃ無いんだが、彼女たちはお飾りとかじゃなくて本当に腕が立つのか。
ありがたいじゃないか。
「だな。明日以降はこんな頼りない装備じゃなくて、もう少しマシな物を纏えるが、今日はこの程度だからな。周辺を色々動いてくれてはいるそうだが、直接護衛に付くのは俺たちだけだ。精々あいつらに働いてもらうさ。とはいえ、組んだことの無い相手だし、俺たちは気を抜いたりはしないが……一応あんたも奥様をしっかり守ってくれよ」
「大丈夫大丈夫。任せてよ」
元々そのつもりだ。
彼等の言葉に気軽に答えた。
◇
「セラ」
「む?」
俺がウチの兵たちとの話を終えてすぐに、セリアーナから声をかけられた。
兵たちに一言告げて、俺はそちらに向かうことにした。
彼女は俺が話をしている間に、イザベラと一緒に冒険者たちと何やら話をしていたが……それもいつの間にやら終わっている。
リーゼルは、使用人や屋敷の警備の兵たちに声をかけているが、セリアーナはもういいのかな?
「なにー?」
「そろそろ私たちは馬車に乗り込むわ。お前はもう挨拶は良いの?」
「うん」
即答したはいいが、マイルズ夫妻とも一言二言、言葉を交わしただけだったりする。
俺の場合、もうここに積極的に関わる事は無いだろうしな……今後王都に来た時も、精々手紙を届けるくらいの関係に落ち着くだろう。
チラっと二人の方を見ると、俺に向けて小さく頭を下げているので、俺もそれに倣って一礼した。
ふむ……。
イザベラとは……もしかしたらミュラー家の屋敷の方で、何かしら関わる事もあるかもしれないが、今回の滞在ではこんなもんでいいだろう。
「うん、大丈夫」
「そう。なら、リーゼルはまだ少し話をするようだから、私たちは先に馬車に乗っておきましょう」
「ほいほい。俺たちが乗るのは……どれかな?」
「アレよ。並びはまだ適当だけれど、敷地から出る時には隊列を整えるから気にしなくていいわ」
セリアーナが指したのは、最後尾に並んでいる馬車だ。
俺たちが領地から乗ってきた馬車とは違うが、荷運びや囮用の馬車と違って、造りも豪華だし家紋も彫られているし一目でわかるな。
「よいしょっと。ほい」
先に馬車に乗ると、セリアーナに手を伸ばした。
セリアーナがその手を掴むと、「ふんっ!」と力を入れて、彼女の体を引き上げた。
そして、セリアーナが馬車に乗り込んだのを確認して、馬車のドアが閉められた。
これで、この馬車は密室だな。
「セリア様、【小玉】使う?」
俺は【妖精の瞳】やヘビたちを出しながら、セリアーナに訊ねた。
「まだ必要ないわ。王都を出てからしばらくしたらお願いするわ」
わざわざ馬車の中を覗き込むような者はいないだろうが、外から全く見えないって事は無いし、注意は必要か。
人目が減るのを待たないといけないな。
「はーい」
そう納得して、俺はセリアーナに返事をした。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




