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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
23章・春である!

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903 セリアーナ・side

「奥様、セラ様。お客様がお帰りになりました」


客の見送りに部屋を出ていたイザベラが戻ってきた。


加護で外の様子を軽く見てみると、馬車はもう大分離れたところを走っている。

位置でいうなら、そろそろミュラー家の屋敷を超える所だ。


街の外を走るような速度ならともかく、この近所を走る馬車は、人が歩く速さと大差ない速度で走る事になっている。

イザベラは馬車が敷地を出るまで見送っていたのだろう。


「ええ、ご苦労様。今の分で朝の面会予定は終わりね。貴女も下がっていいわ」


午前に入っていた面会の予定は全て消化した。

王都に滞在するのも、もうあと1週間も無いし、最近は面会の申請もさらに増えてきている。

もっとも、その大半は断ることになっているが……。


ウチほどではないが、身分の高い相手も増えてきたし、これがただの面会なら断るのも難しい。

ただ、セラの都合と言えば簡単に相手も引くだけに、手間がかからずに済んでいる。


相手も、私……というよりは、リアーナ領の領主夫人と繋がりを持つという目的もあるが、それだけではなくて、セラの施療が目当てだったりもする。

むしろ、私との繋がりを持つだけならば手紙だけでも済むし、多少印象は薄れてしまうが、わざわざ屋敷を訪れなくてもいいだろう。


にもかかわらず、これだけの面会の申請が来るということは、セラの施療が目当ての者が、それだけ多いという事だ。

これまでに受けたことがある者もそうでない者も、どちらもいるが……相変わらずの評判だ。


それだけに、セラに無理をさせられないと言えば、セラが比較的高い頻度で、王都を訪れる事が出来る事は知られているし、簡単に断ることが出来る。


その対応はイザベラに任せているが、来年以降のセラの調整は、正式に家に入ったミュラー家に任せることになるし、セラの名前を使った社交が出来るのは今年までだ。

まだまだ王都屋敷での社交の経験が浅い彼女にとっては、いい経験になるだろう。


頭を下げて、部屋を下がっていくイザベラを眺めながら、そんな事を考えていると、隣から小さなため息が聞こえてきた。


「……ふぅ」


「疲れたかしら?」


「んー? そこまで疲れてはいないけど……緊張はしたかな。今日の奥様たちって、皆偉い人たちなんでしょう?」


疲れていないと口では言っているが、実際はどうなのか。

セラは、だらしなくズルズルとソファーの背もたれを滑っていた。


……これは疲れているわね。


「偉いかどうかは一概に言えないけれど、身分は比較的高いわね」


今日の相手は、主に城の各部署で文官たちを束ねる立場の夫を持つ、夫人たちだった。

爵位は伯爵家が中心で、領地こそ持っていないが、外交・内政・それぞれに影響力を発揮出来るし、国を運営するにあたって、重要な位置にいる者たちだ。

身分が偉いかはともかく、立場は重要な事に間違いない。


「でも、私やリーゼルの方が上だし、お前も家格では対等よ。偉ぶる必要は無いけれど、お前目当てに来ているのだし、少なくとも下の振る舞いをしなくていいのよ」


セラは、私の言葉を聞いて、眉根を寄せて変な表情をしている。

立場が変わってまだ数日だし、それで慣れろというのは酷な話だろうか?


「今日って、この後はもう面会ないんだっけ?」


話を変えたかったのか、セラは午後の予定を訊ねてきた。


「事前の面会申請は来ていないわね。昨日渡したファイルでも読みたいの?」


「うん。いいかな?」


「好きにしなさい。全てを頭に入れておく必要は無いのよ?」


昨日渡したファイルに記された情報も、何も全てが重要なわけではない。

記憶するのは、関わる可能性がある店だけで十分なのだが……。


「うん……。まぁ、一応覚えられるだけ覚えておこうかなって」


この娘は、普段は大雑把なのに、妙なところは細かかったりする。

もちろん、覚えておいて困る事はないし、本人がそれでいいのなら好きにさせてもいいだろう。


もっとも……。


「王都の滞在期間は限りがあるのだし、何でもかんでも覚えようとしたら間に合わないから、ほどほどに……ね」


覚える事ばかりに気を取られて、日程を忘れられては困るし、念のため釘をさしておくことにした。

セラは小さな声で「はーい」と言ったが……まあ、また後日訊ね返せばいいか。



さて、昼食をとった後セラと別れた私は、リーゼルが普段使っている談話室に向かうことにした。

朝は出かけていたが、先程屋敷に戻って来てから、そこに居るのは分かっている。


「おや? 今日はセラ君は一緒じゃないのかい?」


「ええ。部屋でファイルを読んでいるわ。外の用事は片付いたのかしら?」


「つい先程ね。ファイルというと……昨日、君が派閥の御婦人から頂いたと言っていた物かな?」


「そうよ。その事で少し話があるわ」


昨晩軽く触れただけの事なのに、相変わらずよく覚えている。

現物はセラの手元にあるが、この分なら口で説明するだけでよさそうだ。

セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙い
[一言] セラさんは本当に疲れてると溶ける( ˘ω˘ )
[良い点] セリア様やっぱり優しいな
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