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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
1章・さらば孤児院。よろしく異世界
9/1993

07

たっぷりの湯で汚れを流し、温かい食事に白湯を片手に明かりの下で本を読む。

実に文明的じゃないか。


ちなみにメニューは、パン(盗品)に塩漬け肉(盗品)の切れ端を湯で戻し、ついでに葉野菜(盗品)も一緒に入れたスープ。

そしてカボチャ(盗品)の千切りを塩(盗品)で炒めたものだ。

ビールでもあれば尚良いんだが、さすがにこの歳ではまずいだろうし、育った時の楽しみに取っておこう。


宿や食堂、倉庫から食品は失敬し色々あったし、フライパンは備え付けが、菜箸もどきは自分で作っていたが、肝心の包丁が無かったからここまで野菜に塩振ったのを食べていたからね…

【影の剣】の最初の獲物は塩漬け肉だった。

その後野菜を切ったのだが…。


学生時代一人暮らしを始めたばかりの頃の話だ。

カボチャを切ろうとしたら包丁の柄が折れたことがある。

攻撃力・防御力どちらも野菜界屈指の存在だ。


そのカボチャを、スパンスパンスタタタタタッと、全く抵抗なく切れてしまった。

茹でたりレンジにかけたりせず、生のままでだ。


面白くてついつい1個丸ごと千切りにしてしまったが…、これ凄くないか?

俺の冒険、最序盤で強力武器をゲットしてしまったんじゃなかろうか?


「ごちそーさま」


さて、食材しか切っていないが【影の剣】の力はわかった。

聖貨ガチャ…これは本物だ。

ということは、よく分からない他の2つもきっと凄いに違いない。


まずは【浮き玉】から調べてみよう!


黒い透明感があり、硬く重い、バスケットボールサイズの玉。

見た感じはそんな物だ。


ペタペタ触ったりゴロゴロ転がすが何も起こらない。

使い方がわからん。

投げるにしてはちょっと重すぎる。

名前からして浮いたりするんだろうか?


【影の剣】は指にはめるだけだったが【隠れ家】の様に何かイメージが必要なんだろうか?

【浮き玉】のイメージ…イメージ…イメージ…。


「浮けっ!」


それ位しか思いつかず、手を乗せ気合と共に叫んd…


ゴンっ!

勢い良く浮き上がった【浮き玉】が顎に直撃した。


「っそ…そう来たか…」


あぁ、後ろがソファーでよかったな~、と薄れゆく意識の中でどうでもいいことを考えながら、倒れこんだ。



ふよふよ


ふよふよふよ


ふよふよふよふよ…


面白いなこれ。


今俺は、【浮き玉】に乗っかり部屋中をふよふよ漂っている。

【浮き玉】の強烈な一撃を顎に食らい、気を失ったあの日から3日。

その甲斐あってか何となく使い方がわかり、練習を重ねた成果だ。


触れた状態で「浮け」と念じると浮き上がり、頭で考えた通りに動いてくれる。

また、乗った状態だと、横向きや逆さまになっても落ちることは無く、それどころか、髪や服が下に行く事も無い。

もしかしたら【浮き玉】に引力でもあるのかもしれない。


室内なので、高さや速さの限界はわからないが、動き回ったところ大分余裕がある。

天井まで楽に浮かび、自分で走るよりずっと速い。

それでいて、一か所で浮き続けたり、ゆっくり動いたりもできる。

地味な事だが、キッチンで椅子に乗らなくて済むのは助かる。

操作はずっと楽だが、ラジコンヘリみたいな感じだ。


【魔鋼】に関しては…。

硬くて重たい塊って事しかわからなかった。

もしかしたら、これも触れながら念じれば何かが起こるのかと、あれこれやってみたが何も起こらなかった。

そもそも只の加工用素材かもしれないし、どのみち重くて動かせないし当面は放置でいい。


【隠れ家】の中で出来ることは概ね終えた。

食料はまだまだ余裕はあるし、引きこもろうと思えばいくらでも可能だが、教会内もモニターから見える範囲では、初日や翌日は夜も人が多くいたが今はもういなくなっている。


幸い今日は曇っていて月が隠れている。

そろそろ外に出てみようかな?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 聖貨がこれだけの価値があるってことは主人公のようにスキルで消費する者がいて、それを権力者たちが自分たちの為に収集してるんだろか? [一言] 主人公この世界に染まっててワロた
[一言] 盗品フルコースだ…
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