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「うぬ……?」
ベッドでスヤスヤと寝入っていたはずだが、何かの気配を感じたのか、目を覚ましてしまった。
部屋には明かりが灯っているし、セリアーナだろう。
「あら、起こしたかしら……」
「うん……どっこいしょっと。おや? まだ寝ないの?」
体を起こしてセリアーナの方を見ると、楽な髪形に結い直している最中だった。
ただ、服装はラフなものではあったが寝巻じゃないし……まだまだ寝ないようだ。
今何時なんだろうね?
「ええ。書いておきたい手紙があるのよ。眠るのはそれを終えてからね」
「……そっかぁ」
また向こうに向かうみたいだし、それじゃあ俺は再び布団に潜ろうかな……と、横になろうとしたところ、セリアーナは何かを思いついたのか「そういえば……」と呟いた。
「オーギュストから話を聞いたわ」
「ぬ? ……あぁ。夜のね」
セリアーナが言っているのは、夕食後に彼女と別れた後に、オーギュストと話をした時の事だろう。
「ええ。明日から面会の予定はいくつか入っているけれど、どうするの?」
「んー……明後日にしようかなって思ってるよ? 行くならお昼過ぎからでしょう?」
リアーナの騎士団は、朝は朝礼みたいなことをやっているし、夕方になると朝と昼の任務報告の取り纏めを行ったりと、忙しい時間帯になっている。
丁度時間が空いているのは、昼食を終えた後から1時間くらいだ。
だから、事前に予定に入れていないような用事の場合は、その時間帯に埋めるようにするのが、マナーだったりする。
それはリアーナだけじゃなくて、この国の各地の騎士団も一緒で、当然王都にある騎士団本部もそうだ。
俺の用は総長か隊長のどちらかに会って、挨拶とオーギュストに頼まれた、王都の警備状況なんかの話を聞く事だけだ。
時間がかかるような事でも無いし、便宜上とはいえ俺は彼等の部下になるわけだから、向こうもわざわざもてなすような事はしなくていいわけで、そんなに互いに構えるような事でも無い。
フラッと行って、簡単に済ませてくる……そんな感じでも問題無いと言えば無いんだが……マナー的にはよろしくない。
折角リーゼルたちが、他家に配慮して大人しくしているのに、たかが挨拶とはいえ、俺が突っ込まれる様な隙を作っちゃうのは駄目だよな。
「そう……わかったわ。こちらで適当に面会の時間は調整しておくから、何時にするかはお前が好きにしなさい」
それだけ言うとセリアーナは立ち上がり、俺の返事を待つことなく部屋の明かりを消して、出て行った。
「……寝るか」
話をしていると何となく目が冴えてきたが、セリアーナもやる事はあるだろうし、邪魔しちゃーな……。
俺は、寝直すために気合いを入れて布団に潜った。
◇
俺が貴族になった翌日。
セリアーナが面会客と対談をするついでに、俺も施療を行うスタイルで立ち会っていた。
俺たちが王都に着いた当初にも、オリアナさんが選別した相手と対談していたが、セリアーナのお貴族様的振舞いのリハビリ代わりの、比較的気やすく接する事が出来る相手だった。
ただ、そのリハビリももう十分だろうってことで、今日からは中々身分が高い相手がお客さんだ。
会話に出てくる人名とかも、俺ですら知っているような人だったりするからな……。
施療に集中している事にして、何も聞こえないふりをしているが、中々スリリングだ。
彼女たちの仲が険悪だとかそんな事はないんだが、一々出てくる単語が物騒なんだよな……。
普通に他国の王族とか貴族がどうのこうのって話をしている。
セリアーナは、俺以外領地から側に置く人間を連れてきていないから、侍女代わりにイザベラを同席させていたが、彼女や相手が連れてきた侍女も、心なしか表情が硬かったもんな……。
俺も領地でのセリアーナの対談に同席する事が多々あるが、その相手は、基本的に領内の貴族がほとんどだ。
こういう雰囲気の場に同席するのは、何気に初めてかもしれない。
とはいえ、その緊張する対談も、今日の分はつい今しがた一先ず何事も問題無く終了した。
セリアーナはもちろん、イザベラだって緊張してはいても、流石は王都の屋敷を任されているだけあって、しっかり話についていけていたし、振舞いにも問題は無かった。
恐らく、滞在中はあと何回かこういった対談があるだろうが、上手くいくだろう。
さて……それはそれとしてだ。
「これどうしようか……」
「お前の好きにしたらいいでしょう」
「好きにってもなー……」
俺たちが対談をしていた談話室のすぐ隣にある控室に、今俺たちは来ているのだが、その部屋には大小様々な箱がいくつも積まれていた。
俺への贈り物だ。
名目は……なんなんだろうな?
養子入りってのは別にお祝いするような事でも無いし、親衛隊の加入かな?
昨日の今日でこれだけ用意出来る、高位貴族の情報網。
油断はできないよな。
セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】
恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚
セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚
エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚
アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚




