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聖貨を集めて、ぶん回せ!【2巻発売中】  作者: 青木紅葉
23章・春である!

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 間に置かれたテーブルに手を付けて軽く身を乗り出すと、俺も右手を伸ばした。

 そして、セリアーナと握手。


「……なんか握手は初めてな気がする」


 普段からちょくちょく手を繋ぐことはあっても、こういう風に面と向かって握手をするってのは、これまであったかな……?

 まぁ、どうでもいいか。


「そうだったかしら? まあ、今更ね」


 セリアーナも似たような事を考えたのか、小さく笑ったかと思うと肩を竦めている。


「だね。それにしても、なんかご機嫌だよね。今回の件で、よっぽどいい事でもあるの?」


 先程も思ったが、やはり今日のセリアーナは機嫌が良さそうだ。


 昨日までと何か変化があったかっていえば、俺の養子の手続きが完了して、ちょっと公的な関係が変わったってことくらいだが、今更だよな?

 昨日の王妃様の話とか、色々面倒な事が片付いたってのはあるけれど……。


「うん? そうね。教会関連の問題が片付いて、これからリアーナの発展に力を注ぐことが出来るようになったでしょう? その事は領民だってわかっていたし、何があっても変更する事はなかったわ。お前の件も問題無く片付くことはわかってはいたけれどね」


 そう言うと、セリアーナは頭を上に向けて、大きく息を吐いている。

 つい今まで機嫌がよかったのに、一気に疲れたような仕草を見せた。


 領地にいた頃は、全然そんな素振りを見せていなかったが、よっぽど王妃様との件が気がかりだったんだろうか?


「前もって言ってくれたら、ちゃんと伝えてたのに……」


「アレは、話がどう転がるかはもうわかっていたから、言っても仕方が無かったでしょう? そもそもお前を親衛隊に入れるって話が出ていた時点で、王妃様もお前に無理強いをするつもりはなかったようだし……」


「どゆこと?」


 そりゃー、王妃様は元々俺が他家に対して、敵対意識を持ったりしていないってのは分かってはいただろうが、それでも、万が一に備えての次善策的な意味合いで、俺の婚約云々を考えていたそうだ。


 それで東部側との関係が多少悪化したとしても、西部との関係が良好である方が、国にとって利益があるって判断で、その策を用意していたそうだが、王妃様自身もその策の出番が来る事はないって考えていたらしい。

 保険だな。


 また新たな情報が出てくるんだろうか?

 それも親衛隊が関わっているとか……。


「ウチにはレオとリオがいるでしょう? 2人はリセリア公爵家の子であるけれど、同時に王族の血を引く子供でもあるの」


「まぁ……そうだね」


 父親のリーゼルが第4王子なんだ。

 それも、正妃の。


 この国の王家や王族ってのが、どこらへんまで適用されるのかはわからないし、あの子たちに王位継承権があるのかどうかはわからないが、それでも王族の血を引く子なのは確かだ。


「もしかして、俺に護衛を命じるつもりだったとか?」


 王族の血を引く子と親衛隊……その二つから思いつく事といったら、これかな。


「ええ。妃殿下も男女の双子が生まれることは想定外だったでしょうけれどね。お前が親衛隊になれば、私の護衛名目でリアーナに送ることも可能だし、それなら婚約や結婚自体は済ませても、お前を東部に置けるでしょう?」


「そうなの……かな?」


「そうなのよ。だから、特例でお前を親衛隊に入隊させたのよ。本来なら貴族学院を出ていない者を入隊させたりはしないわよ」


「……ぉぉぅ。言われてみれば確かに」


 親衛隊は女性の王族を専門に守る事が任務なんだ。

 ってことは、つまり王族と接するわけで……。

 しっかり教育を受けた者じゃないと、仕事を任せられないよな。


 ……なるほど。

 俺はずっと貴族学院には興味が無いと言っていたし、にもかかわらず親衛隊に入れるってのは、何かしら考えがあってもおかしくはない。


「どのみちお前に問題が無いことは妃殿下も理解していたでしょうし、その準備も無駄に終わる事は分かっていたはずだけれど……まあ、もう終わった事よ。これでウチと中央との関係も良好なままね」


 そう言うと「フフッ」っと笑っている。

 どうやら、また機嫌が戻ったらしいな。


「そか……。まぁ、それは良かったよ」


 聞いた感じ、あっちもこっちも色々考えてはいたんだろう。

 俺が居ようと居まいと関係無しに、国の東と西で対立しかねなかったんだ。

 皆が皆、互いに利益を維持・確保しようとしているところに、たまたまどっちにも利用しやすそうな立場に俺がいてしまったから、皆困っちゃったんだろうな。


 随分前から東部の開拓については考えていたんだろうが、俺が悪いわけじゃ無いが、結果的に引っ掻き回しちゃったか。

 ちょいと、申し訳ないな。


 しかし、まだ騎士団本部への顔見せは残っているが、これでようやく俺の身分絡みの問題は解決かな?

 思えば8歳の頃から身分偽装していたし、そう考えると随分長い気がするよ。

 これで、俺も大手を振って表をうろつけるってもんだ!


セラ・加護・【隠れ家】+1【祈り】【ミラの祝福】【風の衣】

恩恵品・【浮き玉】+1【影の剣】+1【緋蜂の針】【妖精の瞳】【竜の肺】【琥珀の剣】【ダンレムの糸】【蛇の尾】【足環】【琥珀の盾】【紫の羽】【赤の剣】【猿の腕】・3枚


セリアーナ・【範囲識別】・【】・0枚

エレナ・【】・【緑の牙】【琥珀の剣】・4枚

アレク・【強撃】・【赤の盾】【猛き角笛】・10枚

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― 新着の感想 ―
[良い点] 有能すぎて浮いてる(物理)セラ、立場も浮いていたのを、文字通り地に足をつけさせてサインさせて確定!みんな一安心。 なお本人はこれからも浮く模様。
[良い点] 更新乙い [一言] >>みぶんぎそー さんちぎそーセラちん まぁ、前から保証してたのが領主貴族だったし、表を歩いても問題無かったんじゃないかな
[一言] これまでより、更に大手をふるうのか… 猿の腕の常時使用かな?
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